JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

豆は煎るけど金もいる

2009年02月03日 | m-o

月も朧に白魚の、かがりも霞む春の空、、つめいぇ風もほろ酔いに、心持ちよくうかうかと、うかれ烏のただ一羽、塒へ帰る川端で、棹の雫か濡れ手に粟、思いがけなく手に入る百両・・・・・
 (おん厄払いましょう、厄落とし)
ほんに今夜は節分か、西の海より川の中、落ちた夜鷹は厄落し、豆沢山で一文の銭と違って金包み、こいつぁ春から、縁起がいいわえ~~

お嬢吉三の名台詞ですね。今日は節分、厳密に言えば明日からが春ですから、節分の夜に「かがりも霞む春の空」ってぇのも変なんではありますけど・・・・

人気力士をはじめ、スポーツ選手に俳優さんに歌手にタレントさん、『年男』もいれば『女の年男』も入り乱れ「鬼はそと~~ 福はうち~~」(成田山では「鬼はそと」を言わないそうですが)、福を欲しさに豆に打たれ、福豆拾う善男善女。
毎年の光景であります。

家庭でも、子供たちが大きな声で「鬼はそと~~ 福はうち~~」、「ほんとの鬼はそこにいる」てなことは心にグッとしまいつつ、「ヒェ~」とばかりに鬼の面を付けたお父さんが逃げ回るんですなぁ。つい一ヶ月ちょっと前にはサンタクロースだったのが、今日は鬼ですから、お父さんもたいへんだぁ。

どうにも許せないのは『恵方巻き』
そもそもこのあたりに『恵方巻き』の習慣など無かったわけで、商業主義に乗せられて
「お母さん、うちは『恵方巻き』無いの?」
「お父さんが買ってくるの忘れたのよぉ」
って、そこまで言うなら自分で作れ!てんですよね。

なになに、節分に『恵方ロールケーキ』?!
「てぇげぇにしろってぇの、何かにつけてケーキケーキって、ケーキはクリスマスと誕生日だけで充分!」

あれ?何の話でしたっけ?
そうそう、お嬢吉三の名台詞の話でした。(いやぁ、ここまで長かったねぇ)

「豆沢山で一文の銭と違って金包み」
この例えでありまして、
昔は「家庭で豆まき」すら贅沢なことで、年の数の豆に一銭、または12銭包んで、家の外に捨てる、それだけだったそうですありまして、
これをレゲーのオッサン達が「おん厄払いましょう、厄落とし」と言いながら拾い歩いたという「貧しき者どうし救い合う」現代に最も必要な『助け合い』の仕組みでもあったわけですね。

つまり、盗賊お嬢吉三は「そんなみみっちい金なんかじゃなくて、俺は百両も手に入れた、こいさぁ春から縁起が良い」とそう言ってるわけです。

「あ~あ、俺だってそんな大金が手に入るんだったら、豆に打たれようと、恵方巻き喰おうと、いやいや、恵方ロールだって喰っちうけどなぁ・・・・・豆は煎るけど金はもっといる
って、やっぱりそこかい!

まっともかく、明日からは暦の上とはいえ春です。何か良いことがあるといいですよねぇ。

さて、今日の一枚は、チャールズ・ミンガスです。
昨夜このアルバムをヘッドフォンで聴いていたら、狭~~汚~い何処かのジャズ喫茶が頭に浮かんできました。しかも、アルバムの中身云々ではなく、なんだかとっても寂しかったような・・・・・
そうちょくちょく行っていたジャズ喫茶じゃないのは確かで、名前も場所も浮かんできません。ただ間違いなくこのアルバムが流れていたんですよねぇ・・・・何処のジャズ喫茶だろう????????
またまた、突然のフラッシュバックです。(笑)
きっと一人寂しい時に、「やっぱこういう時はジャズでしょ」ってペコッと入ったジャズ喫茶で、かかっていたのがこの強烈な一枚だったから、なんとなく覚えているんだと思います。

おっと、思い出話ではありませんでした。
ローランド・カークが参加したアルバムを、私が紹介するというのはとても珍しいことだと思います。(おそらく4枚目かな?)
それは、どうにも何本もの楽器をいっぺんに鳴らすというあのスタイルが、未だに許せないからなのかもしれません。
ところが、ここでのカークのソロは許すとか許さないとかそんなんじゃありません。ミンガスの挑発に感化されたそれは、恐ろしいほど私に迫ってきます。

カークだけじゃありませんよ、ハミエット・ブルイエットもなんだか凄い、いえいえ、他のみんなも凄い、これがミンガスの仕掛けたジャムセッションの恐ろしさ?

MINGUS AT CARNEGIE HALL / CHARLES MINGUS
1974年1月19日録音
CHARLES MINGUS(b) JON FADDIS(tp) GEORGE ADMS, ROLAND KIRK(ts) HAMIET BLUIETT(bs) JOHN HANDY(as,ts) CHARLES McPHERSON(as) DON PULLEN(p) DANNIE RICHMOND(ds)

1.C JAM BLUES
2.PERDIDO

おまけ、
今思い出しました。
小田急線の向ヶ丘遊園駅近くにあったジャズ喫茶「ガロ」だと思います。
「汚~い」なんて言ってすいません。
でも、寂しい冬のいつか、私は「ガロ」で「MINGUS AT CARNEGIE HALL」を聴いた、これは間違いありません。