JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

春の三気に犯されて

2008年03月27日 | m-o

♪ 降りしきる雨の吐息に
 濡れて傾く沈丁花
 ゆるされぬあの人と二人
 忍び歩く坂道
     ・・・・・・・・ ♪

なんだなんだ、石川さゆりの演歌とはジャズブログを自称するログの出だしとはとうてい思えない。
いやね、近年まれに見る花粉症のひどさに、おもてで春の香りを楽しむなんて事が無かったわけですよ。ところが、今朝トイレに入りますと(食事中の方には失礼いたします。・・・・PC見ながら食事ってぇのも無いか)まぎれもなく沈丁花の香りが・・・・母が庭から摘んでさして置いたんです。
そうでした、沈丁花の花ならもうとっくに咲いている季節、花粉症はそんな香りで季節を楽しむことさえ奪ってしまう憎っくき野郎なんであります。

そんなわけで、事を済ませた私はそんな石川さゆりの『沈丁花』を歌いながら出てきたのでありました。
(できればこの春の香りをトイレ以外で感じたかったですけどね。.....笑)

「なに朝から大声出して、しかもトイレで歌ってんの!おもてから良く聞こえるんだからねぇ恥ずかしい。」
「へへんだ、朝から我が美声に酔う小鳥ちゃんだっているやもしれんじゃないの、なんたって春は恋の季節だよ。「あら、朝から何て爽やかな歌声、チュンチュン」なんてね。「ねぇ、こちらのお宅からよ。どんな素敵な殿方がお歌いになってるのかしら」てなもんさ・・・・」
「はいはい、花粉症が脳髄まで犯さないうちに薬でも飲んどけば」

沈丁の香りが紡ぐ恋妄想  バブ

いかんいかん、春の陽気は「眠気、怠気、妄想気」三つの気を一気に運んで来てしまいます。シャキッとせにゃシャキッと。

さて、今日の一枚は、マリアン・マクパートランドです。
女性ピアニストの草分け的存在ですが、日本での知名度は今ひとつのように思います。
同時期に他国からアメリカへ渡った女性ピアニストというと、マリアンが1946年、秋吉敏子1956年、ユタ・ヒップ1955年ですから、彼女が最も先輩ということになります。
余談ですが、マリアンはコルネット奏者のジミー・マクパートランドと結婚後に渡米、敏子は渡米後すぐに結婚、ユタは結婚せずに帰国、このあたりにその後の彼女たちの行方が係わっていたのか?ちょっとそれぞれに訊いてみたいような気もします。

マリアンというと幅広い音楽性をカバーする器用なピアニストというイメージが私にはありますし、後進を支え育てる良き指導者であり、的確な批評を行う評論家といったイメージもあります。
だからでしょうけど1978年から彼女の司会で始まったラジオ番組「Piano Jazz radio shows」には、彼女を信頼して多くのミュージシャンがゲスト出演し、長寿番組となったわけですよね。
ビル・エバンスがゲスト出演したときの様子は音源が残されており(最初レコードでの発売だったのかなぁ?私はCDでの所有ですが)、英語が理解できない私でもなんとなく番組の雰囲気を汲み取ることができます。

今日のアルバムは、ユタよりも以前に、ピアノ・トリオとして出演していたヒッコリー・ハウスでの録音です。
マリアンの時に語り掛けるように、時にダイナミックに聴かせてくれるピアノはもちろん、ビル・クロウの乾いたベースの音も、ジョー・モレロのドラムもじつに軽快で、とても質の高い演奏だと思います。

それにしても、イギリスにマリアン、ドイツにユタ、日本に敏子と、当時の世界には凄い女性ピアニストがいたもんでありまして、おそらくは名も知られずに消えていった名女性ピアニストも数多くいたのだろうと想像できます。

AT THE HICKORY HOUSE / MARIAN McPARTLAND
1954年9, 12月録音
MARIAN McPARTLAND(p) BILL CROW(b) JOE MORELLO(ds)

1.I HEAR MUSIC
2.TICKLE TOE
3.STREET OF DREAMS
4.HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON ?
5.LET'S CALL THE WHOLE THING OFF
6.LUSH LIFE
7.MAD ABOUT THE BOY
8.LOVE YOU MADLY
9.SKYLARK
10.JA DA
11.I'VE TOLD EVERY LITTLE STAR
12.MOON SONG