まほろばの泉

亜細亜人、孫景文の交遊録にある酔譚、清談、独語、粋話など、人の吐息が感じられる無名でかつ有力な残像集です

面前の権力と深層の国力  08 5/8再 あの頃は・・・

2012-10-15 10:00:41 | Weblog


以前、新聞のコラムに東工大の芳賀教授の論文が掲載されていた。以来、氏を「深層の賢人」として畏敬している。

抜粋簡記すれば

・・・たかだか努力すれば数値が上がるような評価を国家の国力として観るのではなく、人間の情緒、あるいはそれを培っている自然に添う人の心が崩壊しては国家そのものの存立意義が失われてしまう。この部分こそ深層の国力として社会を支えているものに他ならない・・・



実はブログの全編を通じた縦軸であり、思考の座標としている部分の共感である。
また、昨今の争論となっている憲法論議も、世俗の要求に随ったものではなく、前章を護持する目標、つまり「人間の尊厳」を権力から守護し、「自」の双意にある「自(おのずから)」「自(みずから)」を自在におこなう真の自由思考を目標として存在しなければならない。

此処でいう権力とは便宜法で庇護された、政治(政治家、官吏)、宗教(宗教家と団塊)、教育(教育者と知識人)等が、他においても、自らにおいても良心、徳心を、欲望の増長により毀傷し、存在意義である他に対する貢献を忘却した権力の姿である。

近頃では、食い扶持、貰い扶持なら可愛いものだが、連帯の調和を乱し、公(おおやけ)に存在する意義を毀損しつつ、軽薄不遜な従属の不合理を推し進める輩の集積として権力が構成されているようにも観える。

官域においては特にその傾向がはなはだしい。
面前の権力として最たるものは警察(警察、検察)、徴収(税、年金等の公課)だが、その堕落と公徳心の欠如は目を覆うものがある。
また、その齟齬は国民に怨嗟の念を抱かせ、諦めと背反の気風さえ起こしている。

あの宮元巡査長の献身や地域の名士であった駐在のおまわりさんの姿と、比するに恥を忍ぶような、警察キャリアのパチンコ利権の起法奪取、全国に蔓延する公金横領の裏金備蓄や恣意的立法による業界天下り利権の構築など、枚挙に暇も無い。

徴収も、世情を斟酌しない税法の強圧的行使などは、権力に庇護を求めるべき国民の心を厭世観として沈殿させている。

ある碩学の吐露した言葉だが、『国家は税と警察の姿によって変化する』。
つまり「正義」と「公平」の精神であり、このことは知識や法によって養われるものではなく、津々浦々の深層の情緒に倣われたものである。

消費者金融の利用による自殺は増え続けている。
とくに深層の情緒が涵養されている地方ほどその被害は甚だしい。
女性の射幸心は博打場と化した遊戯店を繁盛させ、隣接した消費者金融の支払機と相まって多くの破綻者を抱え、遊戯店内の自殺者は多くなっている。不思議なことに警察白書はそのことを明記していない。死んだ場所まで・・との応答である。
実態は知っている。ただ隠す理由があるだけである。
貪官議員にその視点は無く、統計が無ければ政策にもならない。

つまり、金融にとっては、勤勉で約束を護り忍耐力のある人々が狙われている。
これが深層の情緒に培われ、拙いながらささやかな安心を望む人間の権力による使われ方なのである。
あの満州崩壊に居留民を棄て、電話線まで切って遁走している官吏、軍人の姿が歴史の真実なのである。











 権力が官吏によって恣意的に操作され、貰い扶持、食い扶持に利用されるのなら、歴史の栄枯盛衰をみても、探す言葉は少ない。

それは、亡国である。

 順々と生活を営む深層の国力を支える人々は、自ずとその帰結するところを知っている。
身近において、欲望に負けるもの、いたずらに名利を貪るもの、知って教えず学んで行わない売文の輩や言論貴族、それらは亡国の瀬戸際にみる「偽」「私」「放」「奢」の【四患】に訊くまでもなく人の世の循環として眺めている。

 とくに流行ごとのように国際金融資本の独善的横暴はグローバルの掛け声の下、立場の本意を亡くした政、官、経、司の阿諛迎合を誘い、かれらの西洋合理主義に載せられた、あたかも合理のように表層を覆い深層との潤い交換をさえぎっている。それは共通欲求である財理数値の合理ではなく無理であり非利なのである。

そのことは、面前の権力の変質と無関係ではないことを、劣化した日本人の問題として眺めている。

眺める・・・それは、いつか悲哀を込めて国民に助力を乞うだろう彼らの姿を逆賭しているからだ。

その助力とは・・・、増税である。
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