防衛とは異なり戦争計画は平時に行なうものである。
そこには色々な想定があり、シタリ顔の評論家や研究者がいう「能力、意図、実績」など昨今の戦闘にはあまり用を成さないほど想定外が噴出する。
其の一つに民族には棲み分けられた文化圏での民癖がある。
アジア、アラブ、欧米、アフリカ、中南米、夫々には特異な民癖がある。
アジア圏でも中国、島礁列島、あるいは海洋に面した大陸周辺や内陸など、いざ土壇場になったときに現れる人々の侵攻なり防御の姿は、民族の誇りや矜持という形で語り継がれている。
つまり守るべきは我国の政治家のいう民族の「命」と「財」だけで表現されるものだけではなく、「命」有るを以て何を行なうのか、「財」が今どきの造幣、造貨のみではなく「財」を用として何を創造するのか、其の意志と、他と異なる情緒を繋げ、伝えるか、このことをして国家守護と謳うのである。
実は此の事には一つの大事な要件がある。これなくして守護なしと云えるものがある。それは死生観と犠牲である。またそれには精霊の存在が必須の条件となる。
此処までくると官制学のアカデミックな理解には到底届かないものだが、リアルに生死と犠牲を考えると、子を守る親が其の命を死守しても、命が絶ったことを確認すると様相は転換し食物としてその子を食する、動物界にはよくあることだ。
日露戦争の白兵戦で日本兵はロシア兵の両眼に指を刺し、ロシア兵は首に噛み付きそのまま絶命した逸話がある。大阪夏の陣では二万人余の町民が惨殺され壮若婦女子は拉致暴行され、男子は首を断たれ褒の具とされている。
伏して瞑するも,観てきたような口耳四寸を例に不礼を恐れるものだが、土壇場の民癖は、例を明とするも、暗とするも明確に表れるものである。
世に戦略、戦術、はたまた地政学という事前情報は有っても、戦闘者の死生観や精霊への情(こころ)まで忖度されるものは無い。それでは勝てない、商売なら儲からないハナシなのだ。
真珠湾攻撃
マッカーサー将軍
「奢れる平家、久しからず」「勝って兜の緒を締める」
イラクのフセインは「空爆で負けても内戦で勝つ」と開戦前に述べている。
勝者の大国は其の都度、虫の魂によって脆弱となり衰亡する。
歴史の明暗は別として我国も虫の魂を刻印した。良し悪しを論ずるを置いて島礁列島の民癖を知らせ、内外の研究者をして異質かつ、人の生死に意志あることを認知させた。
一例だが、昨日、古老から女性を乗せた特攻機のことを知らされた。
軍人と妻、そして一人の女性。
これを「狂」とするか、あるいは「狂に至る」陽明行動学の極致なのかは、人を選ばざるを得ないだろうが、ここは今は失き愛郷への情なのだろうと聴いた。
その一人はお手伝いさんだという。
そういう夫婦も、命を献じたお手伝いさんも感嘆すべき「虫の魂」である。
東京都世田谷区世田谷観音
神州不滅特別攻撃隊之碑
碑文
第二次世界大戦も昭和二十年八月十五日祖国の敗戦という結末で終末を遂げたので
あるが、終戦後の八月十九日午後二時、当時満州派遣第六七五部隊に所属した今田
均少尉以下十名の青年将校が、国敗れて山河なし生きてかひなき生命なら死して護
国の鬼たらむ、と又大切な武器である飛行機をソ連軍に引渡すのを潔しとせず、谷
藤少尉の如きは結婚間もない新妻を後に乗せて、前日に二宮准尉の偵察した赤峰付
近に進駐し来るソ連戦車群に向けて、大虎山飛行場を発進前記戦車群に体当り全員
自爆を遂げたもので、その自己犠牲の精神こそ崇高にして永遠なるものなり此処に
此の壮挙を顕彰する為記念碑を建立し、英霊の御霊よ永久に安かれと祈るものなり