まほろばの泉

亜細亜人、孫景文の交遊録にある酔譚、清談、独語、粋話など、人の吐息が感じられる無名でかつ有力な残像集です

拝啓 馬英九総統閣下

2011-06-25 13:07:20 | Weblog
筆者の落款 「仁を布いて義を興す」
            良い政治を行なって、人々に正しい心を喚起する




魏の文帝は曰く

「文章は経国の大業にして、不朽の盛事なり」

以下は震災の義捐について世情の意を、当事国の国家代表者にしたためた一隅の処士の書簡です。本書は台北駐日経済文化代表処をつうじて台北総統府に送達されました






                  







謹 呈


初夏爽候、貴国におかれては閣下の御指導のもと、益々の御繁栄を日本国の一隅より欣快

な心地で拝見いたしております 

それは、貴党創立者である孫中山先生が我国の革命殉難の士、山田良政の敢闘精神を頌し

撰書の末に記した「中国革命に殉じたこの精神を東方に嗣ぐものあらんことを」と結んだ

ことを想起することでもあります 大陸の東方、四方蒼海に在る貴国の総統として、孫中

山先生の遺志を鑑と護り継承する勇姿は、貴国民ならず四方の平安に欠くことのない誠実

な施政とし歓迎されています

三月十一日、我が国を未曾有の震災が起こり、津波の襲来とともに多くの尊い人命や資財

が波浪とともに消滅しました 貴国は閣下の義狭善導のもと、即刻数多の国民を喚起し、

驚愕すべき多くの義援金や資材を我国に贈与されました 

邦内においては馮寄台代表の卓越した行動のもと被災民を激励し、かつ多くの新聞投稿に

加えて、在日華人の善行を督励する率先敏速な対応は、多くの日本国民に新たな感動と信

頼を附与しました とくに我国青年男女の貴国に対する熱狂的称賛は、義援の元となる人

情の具現として教育的涵養にも大功となり、全国津々浦々に浸透しました

加えて在日華人の祖国への驚愕歓喜は、我が国の経済の一翼を担う躍動の力としての自信

となり、協働精神を高揚する事となりました 故に、華日両国民の閣下への信頼は増大

し、国威の高進と異論を超然として国民融和に大きく貢献することでもありました 

日華提携して亜細亜を興す、それは貴国のみならず世界の安寧を描いた国父孫文先生の大

経綸でもあり、並びに蔣総統の提唱した新生活運動の要旨である国維の改新として刮目も

いたしました

あの時、国父は全中国民衆を代表して、革命に殉じた日本人一義士を頌徳しています 私

たち日本国民は総意を以て貴国の義狭善行を称賛し、深甚の心で感謝を呈上いたします

民は独立した思索と自由な行動を求めますが、時として法埒した行動が社会の規範を融解

させます それゆえ国家は維を正し、公徳心を養い、為政者に自制を促すことを政治の要

諦としています また国民には一旦緩急には義をもって利他の増進に励むことが人間を本

とした経国の姿です その潜在する深層の人間力こそ真の国力と古人は伝えます まさに

世界はこのことを問われています

閣下の義狭の念は千載恩讐を超え、東洋の政治哲理の要諦である国家民族を超越した忠恕

の情として、両国民ならず世界にその在るべき賢政の魁として顕示されました

日本及び日本人も低頭して貴国との歴史を顧みて風義を再考し、新生の厚誼を図る事でし

ょう

閣下の善導のもと貴国民の誇るべき大業は、日本のみならず、全世界に外交徳政の鑑とし

て顕示されました 

此処に在野ではありますが、全国津々浦々の一隅の諸士の念を代表して、競々として其の

徳を頌し語り伝えると共に、本拙意を以て恒久の協働を御誓い申し上げる所存です
                       

                               恐惶頓首                  

   平成二十三年五月吉日

           中華民国 馬 英 九 総統閣下

                     日本国 処士  ○ ○ ○ ○
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