A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ノイズ者による常識指南書~山本精一「ゆん」

2008年07月22日 00時01分52秒 | 書物について
ボアダムス、想い出波止場、羅針盤、ROVOなど様々なユニットでギタリスト、ヴォーカリストとして、また変態的に多作な画家としても活躍する山本精一氏のエッセイ集。大部分「ギターマガジン」に「ギタバリョー第二部精神群像篇」として連載されたもの。だからといってギターや音楽の事よりも何気ない日常を描いた文章が多い。読んで最初に思ったのは音楽性に比べ意外に常識人だな、ということ。しかし読み進むうちに極当たり前の風景がちょっとズレた感覚で氏の頭の中で解釈されて独特の行動として現れてくる仕組みが判るような気がしてくる。印象的なのは山本氏がいかに"いい人"かということである。
自ら経営する大阪のアンダーグラウンドロックの拠点ライヴハウス"難波ベアーズ"で10時間連続のサイケデリックライヴを行ないラリる以前に疲労困憊したこと、アルゼンチンのノイズミュージシャンのほほんとしたな生活態度、赤ん坊に大音量でノイズを聴かせると防衛本能が働いてすやすや眠ってしまうこと、40年来帽子を愛用していること、マイナー指向の知人が氏に諭されて1年間王道の音楽を聴き続けて"ついにクラプトンがわかった!"と嬉々として電話をかけてきたこと、屋久杉を見るために何時間も歩き酷い目にあったこと、など印象に残る話が色々ある。一話3ページなので飽きないで楽しく読むことが出来る。至って普通である。世の中の前衛を気取る者たちは是非この本を読んで反省して欲しい。
奥付けの作者紹介欄には"造音作家"とある。言い得て妙である。
山本精一 HP

ゆんで知る
この世の常識
無駄じゃない

実はこの本、職場のある港区の図書館に注文したら区内の図書館には蔵書がなく、大田区の図書館からわざわざ借りてくれたものなのだ。だから扱いは丁寧に、と注意された。電車の中で開く時もちょっぴり緊張してしまうのである。



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