クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

11-06 No.14-1

2011年06月11日 10時50分16秒 | Weblog
<Profil>
PH 11028 4枚組 ¥4580
[CD 1] 65’43”
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1878/80年版)
録音:2007年7月29日エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
[CD 2] 64’52”
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調
録音:2008年7月29日エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
[CD 3] 36’54”
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調
(ウィリアム・キャラガンによるフィナーレ補筆完成2010年改訂版による世界初
録音)
第1楽章、第2楽章
[CD 4] 46’47”
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調
第3楽章、第4楽章
録音:2010年8月1日エーブラハ、大修道院附属教会(ライヴ)
/ バイエルン放送-シュトゥーディオ・フランケン
ゲルト・シャラー(指揮)
フィルハーモニー・フェスティヴァ
[バイエルン放送収録による共同制作]
ブルックナー研究の第一人者ウィリアム・キャラガンが2010年にフィナーレを復
元した最新改訂版による第9交響曲を収めた、ファン注目のアルバムが登場します。
ブルックナーの第9交響曲は、1887年から1894年にかけて第1楽章から第3楽章まで
が完成されたものの、1896年の作曲者の死によって、未完の交響曲として残され
ています。遺されたスケッチの数々をもとに、フィナーレを補筆して全曲を完成
する試みにはいくつもの版が存在し、キャラガン校訂によるもののほかにも主だっ
たものとして、以下のようなものがあります。
・「サマーレ&マツーカによる1984年フィナーレ復元版」-インバル、ロジェスト
ヴェンスキー
・「サマーレ、フィリップス、コールス、マツーカによる1992年フィナーレ復元
版(サマーレ&コールスによる2005年改訂)」-ボッシュ
1981年から83年にかけてフィナーレの復元作業を手掛けた権威ウィリアム・キャ
ラガンによるものとしては、すでにオリジナル版、2003年改訂版、2006年改訂版
のレコーディングがそれぞれありますが、このたび登場するのは2010年に行われ
た最新改訂版。どのような内容かは聴いてのお楽しみですが、トラックタイム22
分12秒にも及ぶ聴きごたえ十分のボリュームを有しているのはなんとも見逃せな
いところです。
フィルハーモニー・フェスティヴァは、ミュンヘンの主要なオーケストラ、すな
わちミュンヘン・フィル、バイエルン放送響、バイエルン州立歌劇場管のメンバ
ーと首席奏者たちで構成されるオーケストラ。もともとはカール・リヒターが
1953年に創設した世界的アンサンブル、ミュンヘン・バッハ管をその母体とし、
偉大な伝統を振り返ることが可能ですが、レパートリーを拡大し古典派とロマン
派時代の傑作群を網羅しようとして、“フィルハーモニー・フェスティヴァ”の
名称のもと、幅広い楽器編成で演奏をおこなっています。
1965年バンベルクに生まれたゲルト・シャラーは、1993年にハノーファー州立歌
劇場で指揮者としてのキャリアをスタートさせ、ほかにも1998年にブラウンシュ
ヴァイク州立歌劇場、2003年から2006年までマグデブルク劇場の総音楽監督を務
めている実績が示すように、劇場たたき上げのマエストロ。とりわけワーグナー、
シュトラウス、ヴェルディのオペラを得意として評価も高く、そのいっぽうで、
あたらしいレパートリーの開拓にも前向きなシャラーは、最近ではProfilよりリ
リースされたゴルトマルクの「メルリン」のレコーディングでも注目を集めてい
ます。




<TAHRA>
FURT 2008(SACD-Hybrid) ¥2380
ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」
フルトヴェングラー(指)
ウィーンPO
録音:1944年12月19/20日
24bit192khz新マスタリングで「ウラニアのエロイカ」の真実の姿が、今ここに明
らかになりました!演奏についてはすでに語りつくされているフルトヴェングラ
ー壮年期の、最も劇的な「エロイカ」。
ドイツ放送アーカイヴのオリジナルアナログマスターテープコピーからピッチを
修正し、新たにマスタリングし直され、hybrid SACDで甦りました。
ムジーク・フェライン・ザールの豊かな残響がSACDで楽しめます。
第一楽章終結の猛烈なアッチェレランド、雄弁でドラマチックで精神的な葬送行
進曲、まさに英雄の進軍を思わせるスケルツォのトリオ、ぐんぐん集中していく
テンポが見事な血沸き肉躍るフィナーレの特になだれ込むような迫力のコーダ。
どこをとっても「エロイカ」を聴く醍醐味ここに極まれり!というような素晴ら
しいSACDの登場でございます。
今後もTAHRAレーベルのフルトヴェングラーの名盤がSACDで発売される予定です。




<haenssler>=SWR MUSIC=
93 277 ¥2250
ドヴォルザーク:
交響曲第7番ニ短調Op.70
交響曲第8番ト長調Op.88
SWRシュトゥットガルト放送交響楽団
サー・ロジャー・ノリントン(指揮)
録音:[第7番]2010年4月20、24日/ [第8番]2010年9月30日
シュトゥットガルト・リーダーハレ・ベートーヴェンザール(ライヴ・デジタル)
「新世界より」(93251)に続く、ノリントン& SWRシュトゥットガルト放送響によ
るドヴォルザーク・シリーズ第2弾。
交響曲第7番と第8番はともに2010年にライヴ収録されたものですが、前作「新世
界より」でも、なんともいえない清清しい感触が印象的で、たとえば第2楽章ラル
ゴで端的に示されていたように、ノリントンはこの泰西名曲よりあらたな魅力を
引き出していたので、ここでの内容にもあらたな期待が膨らみます。
ドヴォルザークが独自の作風を確立した円熟期に書かれ、メロディメーカーとし
ての非凡なセンスを強く刻み込む代表作として、すでに幅広い人気を獲得してい
るこの2曲ですが、1998年の首席指揮者就任以来、ベートーヴェンやモーツァルト、
ハイドンと一貫して、既成のイメージをことごとく打破してきたノリントンの実
験精神の前ではいかなる例外もありません。ドヴォルザークに対しても、民俗色
を前面に打ち出した本場チェコ勢の演奏とはひと味もふた味もちがうアプローチ
で、痛快さにも似た満足感をもたらしてくれるにちがいありません。




<PRAGA>
PRDDSD 250284(SACD-Hybrid) ¥2780
ツェムリンスキー(1871-1942):
(1)いたるところに咲く五月の花-ソプラノと弦楽六重奏のための 
(2)チェロ・ソナタ イ短調
(3)弦楽五重奏のための二つの小品 (4)チェロとピアノのための3つの小品
ルーシー・ハジコヴァー(S)
ツェムリンスキー弦楽四重奏団
プラジャーク弦楽四重奏団メンバー
ツェムリンスキーの若き日の作品集。ブラームスの影響が色濃く見られます。デ
ーメルの詩によるやや病的な「いたるところに咲く五月の花」は、8分に満たない
短い作品ながら、心を波立たせる作品です。

PRDDSD 250283(SACD-Hybrid) ¥2780
(SACD Hybrid)
シューマン:謝肉祭op.9
ショパン:バラード第3番 変イ長調 op.47、夜想曲第13番ハ短調op.48-1、
スケルツォ第4番ホ長調op.54、幻想曲 ヘ短調op.49
スラヴカ・ペチョコヴァー(ピアノ)
録音:2011年1、2月
プラハ・ピアノ・デュオの一人、マルティン・フルシェルおよび巨匠モラヴェッ
ツに師事したスラヴカ・ペチョコヴァーが弾くシューマン&ショパン作品集。




<ATMA Classique>
ACD2 2623 ¥1850
ブリテン:テノールとハープのための後期作品集
ハルモニア・サクラからの5つの歌
【聖なる音楽による讃歌/主よ、私は罪を犯した/父なる神への讃歌/神への讃歌
/我が眼が溢れてしまえばよい】
民謡編曲集
【とねりこの林/彼女は燕のように/やれやれ嫁はもらったが/グリーンスリーヴス
/答えのなんと優しいことか/美しいマリー伯爵】
ハープのための組曲Op.83、誕生日を祝う歌Op.92、
カンティクル第5番「聖ナーシサスの死」Op.89
ローレンス・ウィルフォード(T)
ジェニファー・シュウォーツ(Hp)
録音:2009年11月21-23日
ハープ伴奏によるブリテンの後期声楽作品集。ブリテンの生涯のパートナーであっ
たテノール歌手ピーター・ピアーズ。ブリテンの声楽作品には欠かせない存在で
す。ブリテンが病に倒れた後は、ピアーズの伴奏が出来なくなったためハープ奏
者オシアン・エリスとともに演奏活動を行っていました。最晩年の作品カンティ
クル第5番「聖ナーシサスの死」は、ピアーズとエリスによって初演。また、ここ
に収録されているハープのための組曲はエリスのために作曲されています。これ
らのブリテン後期の作品は晩年の独特の力強さを感じさせます。

ACD2 2556 ¥1850
ジョン・アダムズ(1947-):中国の門、フリギアの門
フィリップ・グラス(1937-):ピアノ独奏のためのオルフェ組曲
デイヴィッド・ジャルベール(P)
録音:2009年5月
アメリカ現代音楽の牽引者ジョン・アダムズとフィリップ・グラスのピアノ・ソ
ロ作品を録音したアルバム。ミニマル・ミュージックの作曲家ジョン・アダムズ
は、この「中国の門」と「フリギアの門」を作曲した時は太平洋に面した北カリ
フォルニアに住んでおり、変調する波と水の自然な動きに影響を受けています。
ジョン・アダムズはこの作品でポスト・ミニマルの様式へと変化しています。
フィリップ・グラスの「オルフェ組曲」はジャン・コクトーの映画「オルフェ」
(1950)に影響され作曲された室内オペラ(1991)に基づいています。

ACD2 2509 ¥1850
ラッスス(1532-1594):聖ペテロの涙
モントリオール古楽スタジオ クリストファー・ジャクソン(指)
録音:2010年5月聖オーギュスタン教会、ケベック
ラッススは最晩年にイタリアの詩人タンシッロの21節からなる8行詩「聖ペテロの
涙」に曲をつけ、この7声の宗教的連作マドリガーレを書き上げました。多彩な表
現でラッススの簡潔さと卓越したバランス感覚が見事この作品に凝縮されていま
す。モントリオール古楽スタジオの知的なアプローチで自然な響きを堪能できる
1枚です。

ACD2 2471 ¥1850
シャルル・トゥルヌミール(1870-1939):オルガン作品集Vol.2
「テ・デウム」による即興(デュリュフレ編)
ヴァリエ・プルセ、ハーモニウムのための40の小品Op.21より5つのノエル
神聖な大壁画 No.1 Op.75
大いなるアントワーヌのための自由な形式の前奏曲Op.68
小さな花Op.66
神秘のオルガンOp.55/III
ヴァンサン・ブシェール(Org)
録音:2008年10月聖ジャン・バティスト教会、ケベック
カナダのオルガン奏者ヴァンサン・ブシェールによるシャルル・トゥルヌミール
のオルガン作品第2集。トゥルヌミールは神秘主義に傾倒しており、その信条は
作品を通して強く表れています。彼の最高傑作「神秘のオルガン」は教会暦に沿っ
て作曲された連作であり、バッハの全オルガン作品の長さに等しい大作です。




<IDEALEAUDIENCE>
30 79568(DVD-Video) ¥2900
30 79564(Blu-ray) ¥4250
(1)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.19
(2)D.スカルラッティ:ソナタ ニ短調K.141
(3)ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番ハ短調Op.35
(4)ビゼー:交響曲 ハ長調
マルタ・アルゲリッチ(P) ダヴィド・ゲリエ(Tp)
ヴェルビエ音楽祭室内管弦楽団
ガーボル・タカーチ=ナジ(指)
収録:(1)(2)2009年7月22日 (3)(4)2010年7月17日
ヴェルビエ音楽祭ライヴ
スイスのスキー・リゾート地、ヴェルビエで毎夏に開催されている音楽祭。2009
年と2010年に行われたアルゲリッチのコンサート・ライヴ映像を収録しています。
アルゲリッチは2011年6月5日で70歳を迎えなお、その技巧は衰えることなく、精
力的に活動を行っています。
先ずは2009年、完全に手中に収めた堂々たる演奏のベートーヴェンのピアノ協奏
曲第2番。アルゲリッチ節が炸裂した刺激的で、しかも説得力のある演奏を披露し
ています。そして、こちらもアンコールの十八番D.スカルラッティのソナタK.141。
555曲あるソナタの中でも有名な作品で同音連打の激しい難曲です。
次に2010年には、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番。正式名称は「ピアノ
とトランペット、弦楽合奏のための協奏曲ハ短調」。ユーモアと皮肉に満ちたショ
スタコーヴィチらしい音楽でトランペットとの掛け合いが見事。アルゲリッチの
キレの良い溌剌としたタッチは健在。トランペットを担当するのは、14歳の時モ
ーリス・アンドレ国際トランペット・コンクールで優勝し、ミュンヘン国際コン
クールでは18歳でモーリス・アンドレ以来の1位を獲得した実力の持ち主ダヴィド
・ゲリエ。現在はフランス国立管の首席ホルン奏者として活躍する凄腕です。
最後は、事実上ビゼーの唯一の交響曲 ハ長調。ガーボル・タカーチ=ナジの指
揮でヴェルビエ音楽祭室内管が颯爽とした若さみなぎる演奏を聴かせてくれます。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11-06 No.14-2

2011年06月11日 10時43分58秒 | Weblog
<Alba>
ABCD 322(SACD-Hybrid) ¥1980
ペール・ヘンリク・ノルドグレン(1944-2008):
サクソフォーン四重奏、弦楽オーケストラとゴングのための協奏曲 作品108(2000)
アルヴォ・ペルト(1935-):
フラトレス(Version A)(1977/1980/2007)(室内オーケストラのための)
アウスケトル・マウッソン(1953
クウォトレイン(2005)(サクソフォーン四重奏と弦楽のための)
カレヴィ・アホ(1949-):
ペール・ヘンリク・ノルドグレン追悼(2009)(ヴァイオリンソロのための)
ラッシャー・サクソフォーン四重奏団
クリスティーネ・ラル(ソプラノサックス) 
エリオット・ライリー(アルトサックス)
ブルース・ワインバーガー(テナーサックス) 
ケネス・クーン(バリトンサックス)
ラップランド室内管弦楽団 
ヨン・ストゥールゴールズ(指、Vn)
2008年に亡くなったフィンランドの作曲家ペール・ヘンリク・ノルドグレンを追
悼するアルバム。ドイツ生まれ、アメリカのサクソフォーン奏者ジーグルト・ラ
ーシェール(1907-2001)が娘カリーナ(カーリン)と1969年に創設したラッシャー・
サクソフォーン四重奏団(ラーシェール・サクソフォーン四重奏団)のためにノル
ドグレンが作曲した《サクソフォーン四重奏、弦楽オーケストラとゴングのため
の協奏曲》。ペトリ・サカリとラッシャー・サクソフォーン四重奏団の提案によ
りアイスランド国営放送の作曲家基金がアウスケトル・マウッソンに委嘱、素材
のひとつをアイスランド伝承のバラード《アウサの詩》に求め、4人のサクソフォ
ーン奏者のソロとカデンツァが散りばめられた《クウォトレイン》。1996年から
ラップランド室内管弦楽団の芸術監督を務める指揮者、ヴァイオリニストのヨン
・ストゥールゴールズが、2009年11月15日、シウンティオで初演したカレヴィ・
アホの《ペール・ヘンリク・ノルドグレン追悼》。そして、エストニア生まれ、
オーストリアの作曲家ペルトの代表作《フラトレス》の室内オーケストラ版が演
奏されます。




<Aurora>
ACD 5066 ¥2250
ヨン・オイヴィン・ネス(1968-):
マッド・キャップ・トゥートリング(ヴァイオリン協奏曲)(2003)
オスロ・フィルハーモニック管弦楽団 
ロルフ・グプタ(指)
録音:2008年4月28日-30日オスロ・コンサートホール
ヘンリク・ヘルステニウス(1963-):
ヴァイオリン協奏曲「声のするところから微かな光が」(2001)
BIT20 アンサンブル ピエール=アンドレ・ヴァラード(指)
録音:2007年1月15日-17日グリーグ・ホール(ベルゲン、ノルウェー)
ギスレ・クヴェルンドク(1967-):
イニシエーション(1992)(ヴァイオリンと管弦楽のための)
オスロ・フィルハーモニック管弦楽団 ペーテル・シルヴァイ(指)
録音:2009年11月12日オスロ・コンサートホール(ライヴ)
ニルス・ヘンリク・アスハイム(1960-):
キャッチ・ライト(2009)(ヴァイオリン、打楽器と管弦楽のための)
ピーター・ケイツ(打楽器) 
ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団 ペーテル・シルヴァイ(指)
録音:2009年3月28日グリーグ・ホール(ベルゲン、ノルウェー)(ライヴ)
ペーテル・ヘレスタール(Vn)
優れた演奏家がいてはじめて、自分たちの作品は「可能性」から「実体」になる。
そのことを知るノルウェーの作曲家たちは、現代の音楽に深い理解を示しヌール
ハイムのヴァイオリン協奏曲(BIS CD1212)でノルウェー・グラミー賞、トンメセ
ンのBull's Eye》(BIS SA1512)で2002年のノルウェー音楽批評家賞を受けたペー
テル・ヘレスタールに厚い信頼を寄せています。ノルウェー作曲家協会が主宰す
るレーベル、Aurora の最新アルバム『キャッチ・ライト』は、そのヘレスタール
のポートレート・アルバムです。
このアルバムでは、ヘレスタールが委嘱もしくは初演した「ヴァイオリン協奏曲」
4曲が紹介されます。ヨン・オイヴィン・ネス、ヘンリク・ヘルステニウス、ギス
レ・クヴェルンドクは、彼と同じ時期にオスロのノルウェー国立音楽アカデミー
で学んだ作曲家たち。ニルス・ヘンリク・アスハイムは、一足早くプロの音楽家
として出発し、オルガニスト、ピアニスト、作曲家として活躍しています。
音楽のスタイルと表現する内容の大きく異なる4人の作品。ヴァイオリンのソロに
始まるネスの《マッド・キャップ・トゥートリング》は、メディアを前にイラク
への侵攻をぶち上げ、「われらの時代でもっとも馬鹿げた悲劇的戦争のひとつ」
を引き起こしたアメリカ合衆国第43代大統領ジョージ・W・ブッシュ(ペラペラしゃ
べる無鉄砲者)へのあてこすりです。ヘルステニウスの《声のするところから微か
な光が》は、同じ和声が循環する4つの部分から構成されています。ヴァイオリン
のソロとアンサンブルが「距離」を置かず、ともに音のテクスチュアを微細に変
化させていきます。この2曲は、オスロとベルゲンでセッション録音され、Simax
と Aurora のアルバムに収録された音源が再び使われています。
クヴェルンドクの《イニシエーション》ではソロとオーケストラは、伝統のヴァ
イオリン協奏曲に見られる「距離」を保ちながら音楽を展開します。アルバン・
ベルクのヴァイオリン協奏曲をほのめかす旋律が開始早々現れます。「肖像写真
に撮られた人物の目に映りこむもの」がイメージされたという、アスハイムの
《キャッチ・ライト》。電気的に増幅されたヴァイオリンと打楽器の音が音楽の
空間に加わります。クヴェルンドクとアスハイムの作品は、オスロとベルゲンの
コンサートがライヴ録音されました。
アスハイムの曲の打楽器ソロを担当するピーター・ケイツはアメリカ出身。ベル
ゲン・フィルハーモニックのソロ首席打楽器奏者とグリーグ・アカデミー打楽器
科の科長を務め、ベルゲンに本拠を置く現代音楽アンサンブル、BIT20 にも参加
しています。




<C-major>
70 6608(DVD-Video) ¥3500
70 6704(Blu-ray) ¥5180
ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番Op.72
シェーンベルク:管弦楽のための変奏曲Op.31
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」
ボーナス:モーツァルト:協奏交響曲変ホ長調K297b
ダニエル・バレンボイム(指)
ウェスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラ
モハメド・サレ(Ob)キナーン・アズメ(Cl)
シャロン・ポリャク(Hrn)モル・ビロン(Fg)
収録:2007年8月13日、8月15日(ボーナス)
ザルツブルク音楽祭、ライヴ
ユダヤ系の音楽家バレンボイムとパレスチナ系の学者であり音楽家でもあるエド
ワード・サイードによって創設されたウェスト=イースタン・ディヴァン・オー
ケストラ。イスラエルとアラブの和平のためにイスラエル、パレスチナ、ヨルダ
ン、レバノン、エジプト等の才能ある若手音楽家を集めています。
この映像は2007年ザルツブルク音楽祭での演奏会。濃厚な陰影で充実した演奏の
ベートーヴェンの「レオノーレ」第3番。光の見えない闇を感じさせる、12音技法
による後期ロマン主義的な音楽シェーンベルクの「管弦楽のための変奏曲」。そし
て、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。感情的で艶やかな魅力のある演奏。
終楽章の絶望的暗さを強調した解釈が印象的です。
ボーナスとして収録されているのは、モーツァルトの協奏交響曲。ウェスト=イ
ースタン・ディヴァン・オーケストラのメンバーがソリストとして登場。各人の
気合が入り、息がピッタリと合った見事な演奏です。




<WERGO>
WER 6733 ¥2180
As fast as possible-ナンカロウ作品集
ナンカロウ:
(1)オーケストラのための組曲
(2)プレーヤー・ピアノのための練習曲第16番(2台8手編曲版)
(3)プレーヤー・ピアノのための練習曲第20番(ピアノ連弾編曲版)
(4)プレーヤー・ピアノのための練習曲第26番(4台7手編曲版)
(5)室内オーケストラのための3つの楽章
(6)七重奏。断片
(7)プレーヤー・ピアノのための練習曲第32番(ピアノ・デュエット編曲版)
(8)プレーヤー・ピアノのための練習曲第44番 偶然性のカノン(エンドレス)
2台4手編曲版
パウル・ウッシャー:
(9)ピアノーラと室内オーケストラのためのナンカロウ協奏曲
ヘレナ・ブガッロ&エイミー・ウィリアムズ(ピアノ/(3)(4)(5)(7)(8))
エイミー・フリッグス&イングリード・カルレン(ピアノ/(2)(4)) 
レックス・ローソン(ピアノーラ(9))
カスパー・デ・ロー(指揮)アンサンブル・モデルン((5)(6)(9))
ステファン・アスバリー(指揮)WDRケルン放送交響楽団((1))
録音:2004, 2005年
ナンカロウといえば、プレーヤー・ピアノ。ナンカロウは生のピアノを含む音楽
を書いていましたが、演奏不可能なほど難しいものを書き、自分の作品が正しく
演奏されないことを憂い、一寸の間違いのない機械仕掛けのプレーヤー・ピアノ
のために作品を書きだしました。50曲以上あるこの練習曲では、ありえない音程
のアルペジオや、複雑怪奇なリズム、テンポに満ちています。欧米を中心にナン
カロウ・ブームが巻き起こった時、彼はコンサートへの関心に目覚め、この練習
曲集を編曲するようになりました。基本的にナンカロウ作品の編曲は本人以外し
てはいけないことになっており、現在もこのルールは生きています。ナンカロウ
自身による編曲のプレーヤー・ピアノは、ジャズとスペイン的空気が入り混じっ
たような、無機的なリズムに裏打ちされた独特な世界が広がります。ナンカロウ
が生の楽器のために書いた作品も収録されており、ナンカロウの魅力を多角的に
見ることができます。パウル・ウッシャーによる「ピアノーラと室内オーケスト
ラのためのナンカロウ協奏曲」は、亡くなってしまったために未完のままとなっ
ていたナンカロウのスケッチから作品を書き起こしたもの。プレーヤー・ピアノ
のための作品よりも人間味の漂う世界で、ナンカロウが意図したものと同じかど
うかはわかりませんが、「いかにも」ナンカロウ「らしい」音響(ジャズのようで
ありスペイン風味のある)となっています。ソロを務めるのはピアノーラの名手、
レックス・ローソン。ナンカロウはローソンに出会ってピアノーラに興味を示し
たと言います。(注:ピアノーラもプレーヤー・ピアノの仲間の機械仕掛けのピア
ノではありますが、演奏時に演奏者が存在して、多少テンポを揺らしたりするこ
とができるものだと思われます。)ナンカロウも認めた奏者による演奏をご堪能下
さい。

WER 6314 2枚組 ¥2700
ハンス・G・ヘルムス(b.1932):
Fa:m’ Ahniesgwow-実験的語り作品
シュプレッヒボーラー(言語的=音楽的語り芸術トリオ)
録音:2009年
文学と音楽作品の境目で起こったアヴァン=ギャルドの記念碑的作品、Fa:m’
Ahniesgwowの録音。テクストの内容は、ファシスト風な社会構造が続いている
ことへの非難や、消費社会への洞察。ヘルムスは、作曲する言語(language to
compose)を使って、社会・政治経済の現象を考察し、自身が見、体験したことを、
意味・音節や文法などの要素と融合させています。このヘルムスの重要な作品を
録音するにあたり、このシュプレッヒボーラー(スピーチ・アート・トリオ)は何
度も舞台にかけてきました。作曲者とも何度も対話を重ねた上でのこの録音は、
非常にオーセンティシティの高いものとなっています。



<ALIA VOX>
AVSA 9882(SACD-Hybrid) 2枚組 ¥2700
「ルイ15世のオーケストラ/ラモー:管弦楽組曲集」
ラモー:
「優雅なインド」組曲(1735年)、「ナイス(ナイアス)」組曲(1748年)、
「ゾロアストル(ゾロアスター)」組曲(1749年)、「ボレアド」組曲(1764年)
ジョルディ・サヴァール(指)
ル・コンセール・デ・ナシォン
録音:2011年1月11-14日モーゼル県メス、メス海軍工廠大ホール
ルイ13世時代のフィリドール、ルイ14世時代のリュリに続き、ルイ15世(1710-1774)
時代から選ばれたのはラモー(1683-1764)。前の2人と比べると、王個人とのつな
がりは希薄でしたが、オーケストラの団員たちとは、その作品を通して深いつな
がりを持っていました。リュリの時と同様、代表的なオペラから抜粋した管弦楽
組曲で、最初期の代表作「優雅なインド」、中期を代表する「ナイス」と「ゾロ
アストル」、最晩年の作「ボレアド」から各曲は取り上げられています。
リュリとの比較、特に管弦楽法的な側面に焦点を当てて比較すると、ラモーの特
徴は、フル・オーケストラによる豪華絢爛さにあり、このことが、ラモーがオペ
ラの作曲家としてデビューした1730年代半ばに起きた、リュリ派とラモー派の論
争点の1つでした。しかしながら、この管弦楽の豪華絢爛さは、音楽理論家ラモー
自身による和声法の探求にその基礎を置いており、音楽史的には、リュリからラ
モーに至る間に、カンプラ、マレ、モンテクレールらによって、徐々に取り入れ
られていった方法を、効果的に展開したものでした。
今回、サヴァールたちは、CIMA(国際古楽センター)、及びESMUC(カタルーニャ上
級音楽院)の協力を得、演奏の準備に大規模な学術調査を基礎作業として取り入れ
ました。その後のヨーロッパ各都市におけるツアーにおいて、その成果を遺憾な
く発揮した演奏会を重ね、満を持して録音にのぞんでいます。





<APARTE>
AP 019 ¥2300
リスト:ピアノ作品集
(1)ハンガリー狂詩曲 第15番(ホロヴィッツ編曲)
(2)愛の夢(ノクターン第3番)
(3)ラ・ダンツァ(ロッシーニ:音楽の夜会より/リスト編曲)
(4)愛の夢(ノクターン第2番)
(5)即興ワルツ
(6)おお、お前、夕星の歌(ワーグナー/リスト編曲)
(7)イゾルデの愛の死(ワーグナー/リスト編曲)
(8)コンソレイション第3番
(9)巡礼の年第2年への補遺「ヴェネツィアとナポリ」-ゴンドラの漕ぎ手、
カンツォーネ、タランテッラ
トリスタン・プァッフ(ピアノ)
録音:2011年2月
現在26歳のトリスタン・プァッフによるリスト作品集。プァッフは2007年のロ
ン・ティボー国際音楽コンクールで6位入賞、ガラ・コンサートで来日経験もある
注目株。ミシェル・ベロフやチッコリーニの薫陶を受けたとびきりのリストです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする