<NAXOS> 各1枚 \1000
8.572341
期待の新進演奏家シリーズユンイ・キン:ピアノ・リサイタル
1.唐壁光(1920-):瀏陽河(王建中によるピアノ編)/2.モーツァルト(1756-1791):
デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲ニ長調 K.573/3-6.シューベルト
(1797-1828):ピアノ・ソナタ第16番イ短調 Op.42 D.845/7-9.ハイドン(1732-
1809):ピアノ・ソナタ第33番ハ短調 Hob.XVI:20/10.グラナドス(1867-1916):
わら人形、ゴヤ風な情景/ 11.スクリャービン(1872-1915):ワルツ変イ長調
Op.38/12.フリードマン(1882-1948):ミュージック・ボックス Op.33 No.3/13.
リスト(1811-1886):12の超絶技巧練習曲第10番ヘ短調 S139/R2b/14.プリエト
(1934-):ハエン 2008
演奏:ユンイ・キン(ピアノ)
2008年ハエン国際コンクールの覇者、ユンイ・キンは 1992年、中国生まれの17
歳。すでに中国国内では天才ピアニストとして知らない人がないくらいの人気
者です。彼女の演奏はとても個性的。もちろん輝くような音色と超絶技巧は備
えていますが、作り出す音の響きが何ともユニークなのです。例えばモーツァ
ルトの K.573。この曲の主題である「デュポールのメヌエット」だけ取ってみ
ても、テンポの揺らし方や独特のペダリングから醸し出される響きは、彼女の
並々ならぬ才能を感じさせてくれるものです。古典から現代作品まで様々な作
品を揃えたこの1枚は、まさに彼女の音楽の総合カタログ。今後、このカタロ
グがどんどん厚くなるのを願うことにしましょう。
8.570932
マルトゥッチ:管弦楽作品全集第4集
1-3.ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.66/4.楽興の時とメヌエット(弦楽オーケ
ストラ編)/5.ノヴェレッタ Op.82-2(管弦楽編)/6.セレナータ Op.57-2(管弦
楽編 )/7.東洋の色彩 Op.44-3(管弦楽編)
演奏:ジェズアルド・コッギ(ピアノ)…1-3/ローマ交響楽団/フランチェスコ
・ダ・ヴェッキア(指揮)
大好評、マルトゥッチ(1856-1909)管弦楽作品集の第4集は、彼の作品の中でも
最も有名な「ピアノ協奏曲第2番」を中心に収録しました。このピアノ協奏曲は、
あのマーラーが生前最後にカーネギー・ホールで行った演奏会のプログラムに
含まれていたことで知られています。当時、すでに体調が悪化していたであろ
う彼にとっては、この大曲を指揮するのはかなり大変だったのではないでしょ
うか?第1楽章は演奏時間こそ20分と長いものの、次々と現われては消えていく
雄大で美しいメロディを追うだけでも楽しいですし、それに続く夢のように美
しい第2楽章ラルゲットと、華やかで息詰まるようなオケとピアノの対決が楽し
める第3楽章も聴きどころ満載です。後期ロマン派の最後の輝きを存分にお楽し
みください。余白に収められた小品も、これまた味わい深くて何だか得した気
分です。
8.570791
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲他
1-3.ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.35/4.劇的序曲 Op.4/5-9.付随音楽「から
騒ぎ」より演奏会組曲 Op.11 序曲/結婚式の朝/ドグベリーとヴァージェス/間
奏曲:庭園の情景/ホーンパイプ
演奏:フィリッペ・クイント(ヴァイオリン)…1-3/ミネリア交響楽団/カルロ
ス・ミゲル・プリエト(指揮)
1945年に作曲されたにも関わらず、このヴァイオリン協奏曲の全編に漂うのは
馥郁たる後期ロマン派の妖艶なる香りです。天才少年として将来を嘱望されつ
つも、アメリカに亡命し、ハリウッドの映画音楽作曲家として活躍していたコ
ルンゴルト(1897-1957)ですが、彼はいつでも「ドイツのクラシック作曲家」と
して認められることを望んでいました。この作品がハイフェッツの手で 1947年
に初演された時も「時代錯誤」という酷評を受けたのですが、彼自身としては
大満足であったことでしょう。一時期すっかり忘れられていたのですが、最近
になって多くの演奏家がこの曲を取り上げ、すっかり人気曲となったのは間違
いありません。全曲を通じて、自身の映画音楽からの引用が見られますので、
このまま、再度何かの映画音楽に使ってみるのも良いかもしれません。それほ
どまでに劇的で心惹かれる作品です。
8.570584
タネーエフ:管弦楽作品集
1.歌劇「オレステイア」より序曲 Op.6/2.歌劇「オレステイア」より第3幕の
間奏曲「デルフォイのアポロ神殿」/ 3.アダージョハ長調/ 4.ロシアの主題
による序曲/5.モスクワのプーシキン記念館の除幕のためのカンタータ/6.カ
ンツォーナ/7.序曲ニ短調
演奏:スタニスラフ・ヤンコフスキー(クラリネット)…6/ノヴォシビルスク
国立フィルハーモニック室内合唱団…5/ノヴォシビルスク・アカデミック交響
楽団/トーマス・ザンデルリンク(指揮)
ロシアの作曲家、ピアニスト、教師および対位法の研究者セルゲイ・タネーエ
フ(1856-1915)の作品集です。このアルバムには彼の唯一のオペラである「オレ
ステイア」からの長大な序曲を中心に、抒情性と対位法に彩られたいくつかの作
品を収録しています。ロシア的なものを聴きたければ、トラック4や5がオススメ
です。どっしりとしたものを聴きたければトラック 7などはいかがでしょう。
チャイコフスキーのようなわかりやすい抒情性に、若干の男らしさを付け加え
た思いきりの良い音楽が魅力です。
8.570739
ニールセン:交響曲第4番「不滅」&第5番
1-4.交響曲第4番「不滅」Op.29 FS76/5-10.交響曲第5番 Op.50 FS97
演奏:デンマーク国立放送交響楽団/ミハエル・シェンヴァント(指揮)
名演として名高いシェンヴァントの指揮によるニールセン(1865-1931)の最高
傑作、交響曲第4番と第5番の組合せです。細部にまできっちりと目配りの効い
た申し分のない演奏で、ニールセンの深い世界をじっくりと味わわせてくれる
ものです。単一楽章で書かれた雄大な第4番(不滅という副題を持つ)、途中で
理不尽なほどに高らかに鳴り響く「スネアドラム」が耳に残ってはなれない第5
番。どちらも劇的で不可思議な魅力に溢れています。耳に優しいメロディはあ
まりないのですが、一度はまったら抜け出すのは難しいのがニールセンの音楽
でしょう。この音楽を攻略するのは困難ですが、聴き終えると何とも言えない
爽快感を味わうことができるはず。
8.557793
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第2番&第3番
1-3.ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調 Op.44
4-6.ヴァイオリン協奏曲第3番ニ短調 Op.58
演奏:マキシム・フェドトフ(ヴァイオリン)
ロシア・フィルハーモニー管弦楽団
ドミトリー・ヤブロンスキー(指揮)
あまりにも有名な第1番のヴァイオリン協奏曲に比べると、ブルッフ(1838-1920)
の第2番と第3番のヴァイオリン協奏曲は知名度が低すぎます。なぜなのでしょ
う?こんなに雄大さも感傷性も兼ね備えているというのに。そんな思いで胸が
一杯になること間違いなしの1枚です。第2番は1877年の作。第1番の11年後に書
かれ、驚くほどドラマティックなフォルムを備えています。名手サラサーテが
初演し、そのまま彼に捧げられています。第3番は1891年に最初単一楽章の作品
として書かれましたが、ヨアヒムの助言により 3楽章へと拡大されたものです。
独奏ヴァイオリンによって奏でられる各動機は一層表現力を増し、オーケスト
ラの響きが存分に呼応します。この知られざる名曲を演奏するのは俊英フェド
トフ。彼による第1番の演奏は8.557689でお聴きいただけます。
8.572231
ミレニアム・カノン
1.プッツ(1972-):ミレニアム・カノン(M.スペード編)/2.ニューマン(1972-):
私の手は都市/3.キュスター(1973-):失われた峡谷/4-5.マッキー(1973-):カ
ワセミ(滝の後ろと雨の滝/火を捉えたカワセミ)/6.ホルスト(1874-1934):鍛冶
屋 -前奏曲とスケルツォ/7.ゴーブ(1958-):去りゆく日
演奏:ジョージア大学ウィンド・アンサンブル/ジョン・ P・リンチ(指揮)
このアルバムに収録された作品を書いたのは、ほとんどが 1970年代生まれの若
手作曲家たち。さすが、瑞々しい感性に裏打ちされた曲ばかりです。やはりこ
ういう曲は「自分たちで演奏してみたい」と思わせるのがツボ。壮麗でカッコ
いい「ミレニアム・カノン」などはその最たる曲と言えましょう。他にも大い
なる自然賛歌ともいえるニューマンの曲、豪壮な岩山を描いたキュスターの曲、
嵐が去った後に巣から飛び立つカワセミに希望を託したというマッキーの曲、
など個性豊かです。非の打ちどころなきジョージア大学ウィンド・アンサンブ
ルの演奏で。
8.570031
ヴィヴァルディ:四季(ピアノ編曲版)
ヴァイオリン協奏曲 Op.8「四季」(J.ビーゲルによるピアノ独奏編曲版)
1-3. ホ長調 Op.8-1 RV 269「春」/ 4-6. ト短調 Op.8-2 RV 315「夏」/
7-9. ヘ長調 Op.8-3 RV 293「秋」/10-12. へ短調 Op.8-4 RV 297「冬」/
13-15.マンドリン協奏曲ハ長調 RV425(A.ジェンティーレによるピアノ独奏編曲
版)/16-18.リュート協奏曲ニ長調 RV 93(A.ジェンティーレによるピアノ独奏
編曲版)
演奏:ジェフリー・ビーゲル(ピアノ)
最強の名曲、ヴィヴァルディ(1678-1741)の四季をピアノ独奏で全曲演奏して
しまったというCDです。元々Ricordi社(イタリアの大手出版社)よりピアノ版の
スコアは出版されていたのですが、この録音にあたってピアニストのビーゲル
は本来のスコアを研究し、より一層的確な装飾を付けくわえたというのですか
ら、その思い入れは並大抵なものではありません。出来上がった音を聴いてみ
てください。鳥の囀り、雷鳴、人々の喜び、しんしん降り積もる雪などが、驚
くほどに色鮮やかに描き出されていることに気がつくでしょう。映画でおなじ
みのマンドリン協奏曲も、ピアノで聴くと一味違います。
8.570454
レーガー:オルガン作品集第9集
1-2.「国王万歳」による変奏曲とフーガ/3-8.12の小品 Op.65より第1番から
第6番/9-14.コラール前奏曲 戸を高く上げよ/暁の星のいと美しきかな/血潮し
たたる主の御頭/おお嘆き、おお心の苦しみ/キリストは死からよみがえられた
/甘き死よきたれ/15.コラール幻想曲集 Op.40より第2番「主よ、汝の怒りにて
われを罰するなかれ」
演奏:ジョセフ・スティル(オルガン)/トリーア教会ジョハネス・クライス・
オルガン
大好評、レーガー(1873-1916)のオルガン作品集の第9集です。驚くほどにカッ
コ良く始まる「国王万歳」は 1900年頃に書かれた曲。恐らく、ヴィクトリア女
王の長女であるヴィクトリア(ドイツ皇帝フリードリヒ 3世妃)の 60歳の誕生
日記念として出版社から作曲を依頼されたようで、スコアには英語とドイツ語
の両方のタイトルが付されています。1902年頃に書かれた12の小品は、オルガ
ンの機能を目一杯に使って書かれており、精緻な響きに感嘆するばかりです。
作品番号のないコラール幻想曲での瞑想的な美しさ、Op.40での弱音の保持な
ど、オルガン好きにはたまらない曲ばかりです。
8.572024
マルティヌー:ピアノ作品全集第6集
1-6.12のエスキース第1集 H.203/7-10.遊戯シリーズ 1 H.205/11-16.遊戯シ
リーズ 2 H.206/17-19.3つの抒情的小品 H.98/20.ブラック・ボトム H.165/
21-23.海辺の夕暮れ H.128(夕べの港に小舟が帰る /海辺の歌/嵐の海辺)/24.
無言歌ニ短調 H.46/25.夜想曲 H.95/26.悲しい歌ニ短調 H.36
演奏:ジョルジョ・コウクル(ピアノ)
コウクルの弾くマルティヌーの第6集です。ピアニスト、コウクルは第4集をリ
リースしたあと、マルティヌーの失われた作品や、未発表の作品などを精力的
に研究し、3枚分のCDに収録できるだけの作品を発掘したというのですから、ま
さにこれは歴史的偉業と讃えてもよいでしょう。ここに収録されているのは、
マルティヌーのパリ時代の作品が中心ですが、例えば2セットずつまとめて作曲
された「12のエスキース」や「遊戯」は出版される際にばらばらにされたため、
「遊戯」の前半と「エスキース」の後半は忘れられてしまったとか。まだまだ、
その全貌が知られているとは言い難いマルティヌーの魅力をすみからすみまで
掘り起こしてくれるコウクルに感謝です。
8.570938
フォーレ:ピアノ五重奏曲第1番&第2番
1-3.ピアノ五重奏曲第1番ニ短調 Op.89
4-7.ピアノ五重奏曲第2番ハ短調 Op.115
演奏:ファイン・アーツ四重奏団/クリスティーナ・オルティス(ピアノ)
独自の和声感と調性を追求したためか、晩年の作品はある意味「捉えどころの
ない美しさ」に満ちているフォーレ(1845-1924)の音楽。この 2曲のピアノ五重
奏曲もまさにそんな音楽です。第1番は中期から後期への過渡期に書かれていて、
境目はぼやけていても、メロディラインはしっかりしています(もちろんそれ
を取り巻く音の流れはとめどなく流動的ですが)。晩年近くに書かれた第2番に
なると、更に音楽は晦渋の度合いを深めていくのです。さざめくピアノのアル
ペジョと、本来の拍子とずらした拍を用いることで感じる浮遊感(ヘミオラと
いいます)、そしてぼやけた調性。耳がなじむまでに少々時間を必要とするか
も知れませんが、一度この世界に慣れてしまうと、まるで暖かい水の中で体を
丸めているかのような安らぎを覚えることでしょう。
8.572341
期待の新進演奏家シリーズユンイ・キン:ピアノ・リサイタル
1.唐壁光(1920-):瀏陽河(王建中によるピアノ編)/2.モーツァルト(1756-1791):
デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲ニ長調 K.573/3-6.シューベルト
(1797-1828):ピアノ・ソナタ第16番イ短調 Op.42 D.845/7-9.ハイドン(1732-
1809):ピアノ・ソナタ第33番ハ短調 Hob.XVI:20/10.グラナドス(1867-1916):
わら人形、ゴヤ風な情景/ 11.スクリャービン(1872-1915):ワルツ変イ長調
Op.38/12.フリードマン(1882-1948):ミュージック・ボックス Op.33 No.3/13.
リスト(1811-1886):12の超絶技巧練習曲第10番ヘ短調 S139/R2b/14.プリエト
(1934-):ハエン 2008
演奏:ユンイ・キン(ピアノ)
2008年ハエン国際コンクールの覇者、ユンイ・キンは 1992年、中国生まれの17
歳。すでに中国国内では天才ピアニストとして知らない人がないくらいの人気
者です。彼女の演奏はとても個性的。もちろん輝くような音色と超絶技巧は備
えていますが、作り出す音の響きが何ともユニークなのです。例えばモーツァ
ルトの K.573。この曲の主題である「デュポールのメヌエット」だけ取ってみ
ても、テンポの揺らし方や独特のペダリングから醸し出される響きは、彼女の
並々ならぬ才能を感じさせてくれるものです。古典から現代作品まで様々な作
品を揃えたこの1枚は、まさに彼女の音楽の総合カタログ。今後、このカタロ
グがどんどん厚くなるのを願うことにしましょう。
8.570932
マルトゥッチ:管弦楽作品全集第4集
1-3.ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.66/4.楽興の時とメヌエット(弦楽オーケ
ストラ編)/5.ノヴェレッタ Op.82-2(管弦楽編)/6.セレナータ Op.57-2(管弦
楽編 )/7.東洋の色彩 Op.44-3(管弦楽編)
演奏:ジェズアルド・コッギ(ピアノ)…1-3/ローマ交響楽団/フランチェスコ
・ダ・ヴェッキア(指揮)
大好評、マルトゥッチ(1856-1909)管弦楽作品集の第4集は、彼の作品の中でも
最も有名な「ピアノ協奏曲第2番」を中心に収録しました。このピアノ協奏曲は、
あのマーラーが生前最後にカーネギー・ホールで行った演奏会のプログラムに
含まれていたことで知られています。当時、すでに体調が悪化していたであろ
う彼にとっては、この大曲を指揮するのはかなり大変だったのではないでしょ
うか?第1楽章は演奏時間こそ20分と長いものの、次々と現われては消えていく
雄大で美しいメロディを追うだけでも楽しいですし、それに続く夢のように美
しい第2楽章ラルゲットと、華やかで息詰まるようなオケとピアノの対決が楽し
める第3楽章も聴きどころ満載です。後期ロマン派の最後の輝きを存分にお楽し
みください。余白に収められた小品も、これまた味わい深くて何だか得した気
分です。
8.570791
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲他
1-3.ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.35/4.劇的序曲 Op.4/5-9.付随音楽「から
騒ぎ」より演奏会組曲 Op.11 序曲/結婚式の朝/ドグベリーとヴァージェス/間
奏曲:庭園の情景/ホーンパイプ
演奏:フィリッペ・クイント(ヴァイオリン)…1-3/ミネリア交響楽団/カルロ
ス・ミゲル・プリエト(指揮)
1945年に作曲されたにも関わらず、このヴァイオリン協奏曲の全編に漂うのは
馥郁たる後期ロマン派の妖艶なる香りです。天才少年として将来を嘱望されつ
つも、アメリカに亡命し、ハリウッドの映画音楽作曲家として活躍していたコ
ルンゴルト(1897-1957)ですが、彼はいつでも「ドイツのクラシック作曲家」と
して認められることを望んでいました。この作品がハイフェッツの手で 1947年
に初演された時も「時代錯誤」という酷評を受けたのですが、彼自身としては
大満足であったことでしょう。一時期すっかり忘れられていたのですが、最近
になって多くの演奏家がこの曲を取り上げ、すっかり人気曲となったのは間違
いありません。全曲を通じて、自身の映画音楽からの引用が見られますので、
このまま、再度何かの映画音楽に使ってみるのも良いかもしれません。それほ
どまでに劇的で心惹かれる作品です。
8.570584
タネーエフ:管弦楽作品集
1.歌劇「オレステイア」より序曲 Op.6/2.歌劇「オレステイア」より第3幕の
間奏曲「デルフォイのアポロ神殿」/ 3.アダージョハ長調/ 4.ロシアの主題
による序曲/5.モスクワのプーシキン記念館の除幕のためのカンタータ/6.カ
ンツォーナ/7.序曲ニ短調
演奏:スタニスラフ・ヤンコフスキー(クラリネット)…6/ノヴォシビルスク
国立フィルハーモニック室内合唱団…5/ノヴォシビルスク・アカデミック交響
楽団/トーマス・ザンデルリンク(指揮)
ロシアの作曲家、ピアニスト、教師および対位法の研究者セルゲイ・タネーエ
フ(1856-1915)の作品集です。このアルバムには彼の唯一のオペラである「オレ
ステイア」からの長大な序曲を中心に、抒情性と対位法に彩られたいくつかの作
品を収録しています。ロシア的なものを聴きたければ、トラック4や5がオススメ
です。どっしりとしたものを聴きたければトラック 7などはいかがでしょう。
チャイコフスキーのようなわかりやすい抒情性に、若干の男らしさを付け加え
た思いきりの良い音楽が魅力です。
8.570739
ニールセン:交響曲第4番「不滅」&第5番
1-4.交響曲第4番「不滅」Op.29 FS76/5-10.交響曲第5番 Op.50 FS97
演奏:デンマーク国立放送交響楽団/ミハエル・シェンヴァント(指揮)
名演として名高いシェンヴァントの指揮によるニールセン(1865-1931)の最高
傑作、交響曲第4番と第5番の組合せです。細部にまできっちりと目配りの効い
た申し分のない演奏で、ニールセンの深い世界をじっくりと味わわせてくれる
ものです。単一楽章で書かれた雄大な第4番(不滅という副題を持つ)、途中で
理不尽なほどに高らかに鳴り響く「スネアドラム」が耳に残ってはなれない第5
番。どちらも劇的で不可思議な魅力に溢れています。耳に優しいメロディはあ
まりないのですが、一度はまったら抜け出すのは難しいのがニールセンの音楽
でしょう。この音楽を攻略するのは困難ですが、聴き終えると何とも言えない
爽快感を味わうことができるはず。
8.557793
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第2番&第3番
1-3.ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調 Op.44
4-6.ヴァイオリン協奏曲第3番ニ短調 Op.58
演奏:マキシム・フェドトフ(ヴァイオリン)
ロシア・フィルハーモニー管弦楽団
ドミトリー・ヤブロンスキー(指揮)
あまりにも有名な第1番のヴァイオリン協奏曲に比べると、ブルッフ(1838-1920)
の第2番と第3番のヴァイオリン協奏曲は知名度が低すぎます。なぜなのでしょ
う?こんなに雄大さも感傷性も兼ね備えているというのに。そんな思いで胸が
一杯になること間違いなしの1枚です。第2番は1877年の作。第1番の11年後に書
かれ、驚くほどドラマティックなフォルムを備えています。名手サラサーテが
初演し、そのまま彼に捧げられています。第3番は1891年に最初単一楽章の作品
として書かれましたが、ヨアヒムの助言により 3楽章へと拡大されたものです。
独奏ヴァイオリンによって奏でられる各動機は一層表現力を増し、オーケスト
ラの響きが存分に呼応します。この知られざる名曲を演奏するのは俊英フェド
トフ。彼による第1番の演奏は8.557689でお聴きいただけます。
8.572231
ミレニアム・カノン
1.プッツ(1972-):ミレニアム・カノン(M.スペード編)/2.ニューマン(1972-):
私の手は都市/3.キュスター(1973-):失われた峡谷/4-5.マッキー(1973-):カ
ワセミ(滝の後ろと雨の滝/火を捉えたカワセミ)/6.ホルスト(1874-1934):鍛冶
屋 -前奏曲とスケルツォ/7.ゴーブ(1958-):去りゆく日
演奏:ジョージア大学ウィンド・アンサンブル/ジョン・ P・リンチ(指揮)
このアルバムに収録された作品を書いたのは、ほとんどが 1970年代生まれの若
手作曲家たち。さすが、瑞々しい感性に裏打ちされた曲ばかりです。やはりこ
ういう曲は「自分たちで演奏してみたい」と思わせるのがツボ。壮麗でカッコ
いい「ミレニアム・カノン」などはその最たる曲と言えましょう。他にも大い
なる自然賛歌ともいえるニューマンの曲、豪壮な岩山を描いたキュスターの曲、
嵐が去った後に巣から飛び立つカワセミに希望を託したというマッキーの曲、
など個性豊かです。非の打ちどころなきジョージア大学ウィンド・アンサンブ
ルの演奏で。
8.570031
ヴィヴァルディ:四季(ピアノ編曲版)
ヴァイオリン協奏曲 Op.8「四季」(J.ビーゲルによるピアノ独奏編曲版)
1-3. ホ長調 Op.8-1 RV 269「春」/ 4-6. ト短調 Op.8-2 RV 315「夏」/
7-9. ヘ長調 Op.8-3 RV 293「秋」/10-12. へ短調 Op.8-4 RV 297「冬」/
13-15.マンドリン協奏曲ハ長調 RV425(A.ジェンティーレによるピアノ独奏編曲
版)/16-18.リュート協奏曲ニ長調 RV 93(A.ジェンティーレによるピアノ独奏
編曲版)
演奏:ジェフリー・ビーゲル(ピアノ)
最強の名曲、ヴィヴァルディ(1678-1741)の四季をピアノ独奏で全曲演奏して
しまったというCDです。元々Ricordi社(イタリアの大手出版社)よりピアノ版の
スコアは出版されていたのですが、この録音にあたってピアニストのビーゲル
は本来のスコアを研究し、より一層的確な装飾を付けくわえたというのですか
ら、その思い入れは並大抵なものではありません。出来上がった音を聴いてみ
てください。鳥の囀り、雷鳴、人々の喜び、しんしん降り積もる雪などが、驚
くほどに色鮮やかに描き出されていることに気がつくでしょう。映画でおなじ
みのマンドリン協奏曲も、ピアノで聴くと一味違います。
8.570454
レーガー:オルガン作品集第9集
1-2.「国王万歳」による変奏曲とフーガ/3-8.12の小品 Op.65より第1番から
第6番/9-14.コラール前奏曲 戸を高く上げよ/暁の星のいと美しきかな/血潮し
たたる主の御頭/おお嘆き、おお心の苦しみ/キリストは死からよみがえられた
/甘き死よきたれ/15.コラール幻想曲集 Op.40より第2番「主よ、汝の怒りにて
われを罰するなかれ」
演奏:ジョセフ・スティル(オルガン)/トリーア教会ジョハネス・クライス・
オルガン
大好評、レーガー(1873-1916)のオルガン作品集の第9集です。驚くほどにカッ
コ良く始まる「国王万歳」は 1900年頃に書かれた曲。恐らく、ヴィクトリア女
王の長女であるヴィクトリア(ドイツ皇帝フリードリヒ 3世妃)の 60歳の誕生
日記念として出版社から作曲を依頼されたようで、スコアには英語とドイツ語
の両方のタイトルが付されています。1902年頃に書かれた12の小品は、オルガ
ンの機能を目一杯に使って書かれており、精緻な響きに感嘆するばかりです。
作品番号のないコラール幻想曲での瞑想的な美しさ、Op.40での弱音の保持な
ど、オルガン好きにはたまらない曲ばかりです。
8.572024
マルティヌー:ピアノ作品全集第6集
1-6.12のエスキース第1集 H.203/7-10.遊戯シリーズ 1 H.205/11-16.遊戯シ
リーズ 2 H.206/17-19.3つの抒情的小品 H.98/20.ブラック・ボトム H.165/
21-23.海辺の夕暮れ H.128(夕べの港に小舟が帰る /海辺の歌/嵐の海辺)/24.
無言歌ニ短調 H.46/25.夜想曲 H.95/26.悲しい歌ニ短調 H.36
演奏:ジョルジョ・コウクル(ピアノ)
コウクルの弾くマルティヌーの第6集です。ピアニスト、コウクルは第4集をリ
リースしたあと、マルティヌーの失われた作品や、未発表の作品などを精力的
に研究し、3枚分のCDに収録できるだけの作品を発掘したというのですから、ま
さにこれは歴史的偉業と讃えてもよいでしょう。ここに収録されているのは、
マルティヌーのパリ時代の作品が中心ですが、例えば2セットずつまとめて作曲
された「12のエスキース」や「遊戯」は出版される際にばらばらにされたため、
「遊戯」の前半と「エスキース」の後半は忘れられてしまったとか。まだまだ、
その全貌が知られているとは言い難いマルティヌーの魅力をすみからすみまで
掘り起こしてくれるコウクルに感謝です。
8.570938
フォーレ:ピアノ五重奏曲第1番&第2番
1-3.ピアノ五重奏曲第1番ニ短調 Op.89
4-7.ピアノ五重奏曲第2番ハ短調 Op.115
演奏:ファイン・アーツ四重奏団/クリスティーナ・オルティス(ピアノ)
独自の和声感と調性を追求したためか、晩年の作品はある意味「捉えどころの
ない美しさ」に満ちているフォーレ(1845-1924)の音楽。この 2曲のピアノ五重
奏曲もまさにそんな音楽です。第1番は中期から後期への過渡期に書かれていて、
境目はぼやけていても、メロディラインはしっかりしています(もちろんそれ
を取り巻く音の流れはとめどなく流動的ですが)。晩年近くに書かれた第2番に
なると、更に音楽は晦渋の度合いを深めていくのです。さざめくピアノのアル
ペジョと、本来の拍子とずらした拍を用いることで感じる浮遊感(ヘミオラと
いいます)、そしてぼやけた調性。耳がなじむまでに少々時間を必要とするか
も知れませんが、一度この世界に慣れてしまうと、まるで暖かい水の中で体を
丸めているかのような安らぎを覚えることでしょう。