<DOREMI>
DHR 7945 \2080
「リヒテル第16集 / プーランク&レーガー」
(1)プーランク:2台のピアノのための協奏曲ニ短調FP.61
(2)同:ピアノと18楽器のための協奏舞踏曲「オーバード」FP.51
(3)レーガー:ピアノ五重奏曲第2番ハ短調Op.64
スヴャトスラフ・リヒテル(P)
(1)エリザベト・レオンスカヤ(P)ペテル・マジ(指)ラトヴィア交響楽団
(2)ジャン=フランソワ・パイヤール室内管弦楽団
(3)ボロディン四重奏団
録音:(1)1993年6月26日(2)1965年7月3日以上フランス、トゥール(ライヴ)
(3)1960年5月28日レニングラード(ライヴ)
リヒテル第16集はそれぞれ時期の異なるライヴ演奏で、プーランクとレーガー
というめずらしい演目を収めています。Live Classicsよりリリースされていた
レオンスカヤとの協奏曲は、この年の6月いっぱいマジと帯同して行ったフラン
ス・ツアーのときのもの。プーランクのほか、サン=サーンスの第2番と第5番、
ガーシュウィンのヘ調の協奏曲などを取り上げています。また、前月のオール
ドバラからハンガリー・ツアーに向かう途中でトゥールに立ち寄った際の「オ
ーバード」は、過去にいくつかのレーベルで出ていました。リヒテルのプーラ
ンクはともに、軽妙で洒脱なノリがプロコフィエフの演奏あたりにも通じるも
のがあり、痛快といっていいほどに曲想にマッチしています。
一転して、室内楽での共演の多かった名門ボロディン・カルテットとのレーガ
ーは、濃厚な音の溶け合いがみごと。レーガーがミュンヘンに居を構えてまも
なく書かれた充実期の作品で、その名手ぶりがピアノ・パートの卓越した筆致
にも顕れているため、リヒテル絶頂期の見せ場もふんだんです。
<medici arts ~EUROARTS>
20 56928(DVD+CD) \2900
[DVD]
字幕:英独仏西
“マックス・ローレンツ ワーグナーの名歌手、ヒトラーのジークフリート”
[CD]ワーグナー:「ジークフリート」抜粋 MONO
[DVD] 構成と監督:エリック・シュルツ、監督:クラウス・ウィシュマン
[CD]マックス・ローレンツ(T ジークフリート)
エーリヒ・ヴィッテ(T ミーメ)ほか、
エーリヒ・クライバー(指)コロン歌劇場管弦楽団、録音:1938年(ライヴ)
マックス・ローレンツ(1901-1975)は、1930、40年代を代表するヘルデン・テ
ノールで、バイロイト音楽祭を中心に輝かしい活躍をしました。残された録音
を聞いても、彼がいかに偉大な歌手だったか良く分かります。そのローレンツ
の人物像を、陰の部分まで掘り起こしたのがこのドキュメンタリー映像です。
歌手として絶大な人気を誇ったローレンツでしたが、実は彼はナチスが厳しく
弾圧した同性愛者であり、また偽装的に結婚していた妻はユダヤ系でした。し
かしヒトラーはローレンツが大のお気に入りで彼を庇護し、ゲッベルスも文化
政策のため彼を重用。そうした部分も含め、ローレンツ研究の第一人者、エリ
ック・シュルツの綿密な取材が反映されています。インタビューにはディート
リヒ・フィッシャー=ディースカウ、ワルデマール・クメント、ルネ・コロ、
ヒルデ・ツァデクらが出演。単なる歌手のドキュメンタリー映像に留まらず、
激動の時代の一側面を切り開いたものとしても価値のある映像です。
CDには、1938年にアルゼンチンのコロン歌劇場で上演された「ジークフリー
ト」の抜粋。初出音源です。指揮者が大クライバーというのも嬉しいもの。
<PREISER>
●Lebendige Vergangenheitシリーズ
PRCD 89697 \2080
ジョン・マコーマック アリア集
モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」
ドニゼッティ:「ルチア」、「ドン・パスクワーレ」,「連隊の娘」
ヴェルディ:「トラヴィアータ」,「リゴレット」
ボーイト:「メフィストーフェレ」
ワーグナー:「マイスタージンガー」
ビゼー:「真珠採り」,「カルメン」
ドリーブ:「ラクメ」
マスネ:「マノン」
プッチーニ:「ボエーム」
からのアリア、場面
ジョン・マコーマック(T)
録音:1910-17年
ジョン・マコーマック(1884-1945)は、1910年代を中心に絶大な人気を誇った
テノール。アイルランド出身で、イタリアに留学したマコーマックは、ちょう
ど一般に広まってきたレコードの分野で大成功を収めました。このCDは彼の全
盛期の録音。ルクレツィア・ボリとの共演も多数含みます。
PRCD 89700 \2080
ニーノ・ピッカルーガ アリア集
ヴェルディ:「トロヴァトーレ」,「仮面舞踏会」,「オテッロ」
マイヤベーア:「アフリカの女」
ビゼー:「カルメン」
マスネ:「ウェルテル」
ポンキエッリ:「ジョコンダ」
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」
ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」
プッチーニ:「マノン・レスコー」,「西部の娘」,「トスカ」,
「蝶々夫人」,「トゥーランドット」
レオンカヴァッロ:「道化師」
ヴォルフ=フェラーリ:「スライ」
からのアリア
ニーノ・ピッカルーガ(T)
録音:1928-29年
ニーノ・ピッカルーガ(1890-1974)は、非常に優れたイタリアのドラマティッ
クテノールでしたが、病気のため1935年で引退してしまった、幻のテノール
です。
PRCD 89701 \2080
エリーザベト・グリュンマー アリア集
モーツァルト:「フィガロの結婚」,「コジ・ファン・トゥッテ」,「魔笛」
グノー:「ファウスト」
トーマ:「ミニヨン」
グリーグ:「ペール・ギュント」
チャイコフスキー:「スペードの女王」
ベートーヴェン:「エグモント」
からのアリア、他
エリーザベト・グリュンマー(S)
ヴィルヘルム・シュヒター(指)
アルトゥール・ローター(指)ベルリン放送交響楽団、他
録音:1949-55年
1950,60年代のドイツを代表するソプラノの一人、エリーザベト・グリュンマ
ーの、比較的初期の録音。彼女にしては珍しいレパートリーも含みます。いず
れもドイツ語の歌唱。
PRCD 89702 \2080
ジャン・ピアーズ アリア集 第3集
モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」
ドニゼッティ:「ルチア」
ヴェルディ:「リゴレット」,「トロヴァトーレ」,「トラヴィアータ」,
「運命の力」
ビゼー:「カルメン」
サン=サーンス:「サムソンとデリラ」
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」
チレーア:「アルルの女」
プッチーニ:「蝶々夫人」
からのアリア
ジャン・ピアーズ(T)
エーリヒ・ラインスドルフ(指)RCAヴィクター管弦楽団、
フリッツ・ライナー(指)RCAヴィクター管弦楽団
レオポルド・ストコフスキ(指)NBC交響楽団、他
録音:1950-55年
1940、50年代のメトのスター・テノール、ジャン・ピアーズのアリア集。
1950年代前半のRCA録音を集めています。ストコフスキの伴奏が珍しいもの。
PRCD 89703 \2080
ヘドヴィク・フォン・デビッカ アリア集
モーツァルト:「後宮からの逃走」
ベッリーニ:「清教徒」
ヴェルディ:「トラヴィアータ」,「リゴレット」
グノー:「ファウスト」
オッフェンバック:「ホフマン物語」
からのアリア
バッハ:カンタータ「忍びよれ、たわむれる波よ」 BWV.206から
モーツァルト:
「エクスルターテ・ユビラーテ」 K.165-ハレルヤ,ミサ曲 ハ短調 K.427から
グルック:ああ、私の甘い情熱が
ヘドヴィク・フォン・デビッカ(S)
ユリウス・プリュワー(指)管弦楽団
録音:1925-29年
ヘドヴィク・フォン・デビッカ(1988-1970)は、ワルシャワ生まれのソプラノ。
1914年から24年までウィーンで、1924から29年までベルリンで活躍しました。
このCDには全盛期の録音が集められています。
PRCD 89704 \2080
アントニーナ・ネジダーノヴァ アリア集
グリンカ:「ルスランとリュドミラ」,「イワン・スサーニン」
リムスキー=コルサコフ:「雪娘」,「皇帝の花嫁」
マイヤベーア:「ユグノー」
オーベール:「フラ・ディアヴォロ」
ゴルトマルク:「冬の物語」
モーツァルト:「魔笛」
ロッシーニ:「セビリアの理髪師」
ドニゼッティ:「ルチア」
ベッリーニ:「清教徒」
ヴェルディ:「シチリアの晩鐘」
プッチーニ:「ボエーム」
ドリーブ:「ラクメ」
トーマ:「ハムレット」
からのアリア
アレンスキー:魚の歌
アラビエフ:夜鶯
ドリーブ:カディスの娘
トスティ:セレナータ
ほか
アントニーナ・ネジダーノヴァ(S)
録音:1907-13年
アントニーナ・ネジダーノヴァ(1873-1950)は、ウクライナ出身のコロラトゥ
ーラ・ソプラノ。40年に渡ってボリショイ歌劇場で活躍し、またヨーロッパ各
地でも人気を博しました。ラフマニノフから「ヴォカリーズ」を捧げられたこ
とでも有名です。
PRCD 89705 \2080
マルコ・ロートミュラー アリアと歌曲集
モーツァルト:「コジ・ファン・トゥッテ」,「魔笛」
ワーグナー:「タンホイザー」
ヴェルディ:「リゴレット」
ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」
プッチーニ:「トスカ」
からのアリア
シューベルト:
竪琴に寄す D.737,魔王 D.328,憩いのない愛 D.138,挨拶を送ろう D.741,
君はわが憩い D.776,「白鳥の歌」 D.957-都会,影法師,住み家
ムソルグスキー:子守歌,セレナード
マルコ・ロートミュラー(Br)
ジェイムズ・ロバートソン(指) アルベルト・エレーデ(指)
フィルハーモニア管弦楽団
録音:1943-50年
マルコ・ロートミュラー(1908-1993)は、クロアチア出身のバリトン。1932年
にハンブルクでデビュー。1935から47年にチューリヒ歌劇場に所属。ニューヨ
ーク・シティ・オペラやメトでも活躍し、その後米国に移住しまた。モーツァ
ルトのバリトン役や、シューベルトのリートを得意とする一方、当時の現代音
楽も得意とした知性派バリトンです。
PRCD 89706 \2080
ナン・メリマン アリアと場面集
グルック:「オルフェオとエウリディーチェ」
ロッシーニ:「オテッロ」
ドニゼッティ:「ファヴォリータ」
ヴェルディ:「ドン・カルロ」,「リゴレット」
ビゼー:「カルメン」
トーマ:「ミニョン」
ファリャ:「恋は魔術師」
からのアリア,場面
バーンスタイン:交響曲第1番「エレミア」から
ナン・メリマン(Ms)
フリーダー・ワイスマン(指)RCAヴィクター管弦楽団
ウォルター・サスカインド(指)ロンドン交響楽団
アルトゥーロ・トスカニーニ(指)NBC交響楽団
ピエール・モントゥ(指)サンフランシスコ交響楽団
レオポルド・ストコフスキ(指)ハリウッド・ボール交響楽団
レナード・バーンスタイン(指)セントルイス交響楽団
録音:1943-57年
NBC時代のトスカニーニが重用したことで知られる米国の名メッゾソプラノ、
ナン・メリマン(1920-)の比較的珍しい録音を集めています。トスカニーニ指
揮の「リゴレット」は、一般的に知られている1944年の録音ではなく、1943年
7月25日の放送録音。モントゥ指揮の「カルメン」からのアリア3曲は、1949年
1月9日のライヴ録音で、初出音源のようです。
PRCD 89707 \2080
エツィオ・ピンツァ 第5集 映画音楽集
アーレン:「ミスター・インペリウム」から
カーン:「ロバータ」から
ローム:「ファニー」から
ワイル:九月の歌
ララ:あなたは私の心のまま
ロジャーズ:歌で私の心に
シャーツィンガー:恋の一夜
シュワルツ:ダンシング・イン・ザ・ダーク
ジョーンズ:夢で会いましょう
レーン:私のものは全てあなたのもの
ポーター:ソー・イン・ラブ
カーン:今宵の君は
ほか全25曲
エツィオ・ピンツァ(Bs)
録音:1950-54年
メトロポリタン歌劇場で大活躍した名バス、エツィオ・ピンツァ(1892-1957)
は、晩年にミュージカルや映画に多く参加したことで知られています。有名曲
から珍しい曲まで、いずれもピンツァの美声が堪能できます。
PRCD 89708 \2080
ヴェラ・シュワルツ アリア集
モーツァルト:「コジ・ファン・トゥッテ」
アレヴィ:「ユダヤの女」
ヴェルディ:「エルナーニ」,「トロヴァトーレ」,「仮面舞踏会」,
「アイーダ」
ワーグナー:「ローエングリーン」
ゲッツ:「じゃじゃ馬ならし」
レオンカヴァッロ:「道化師」
プッチーニ:「ボエーム」,「トスカ」
ヴォルフ=フェラーリ:「スザンナの秘密」
ダルベール:「死んだ眼」
からのアリア
ヴェラ・シュワルツ(S)
録音:1920-22年
ヴェラ・シュワルツ(1888-1964)はオーストリアのソプラノ。オペレッタの歌
手からキャリアを初め、1920年代にはベルリンとウィーンで人気を博しました。
1929年、ベルリンでのレハール「微笑みの国」初演でリザ役を歌い、この作品
の大成功に貢献しています。大戦中は英国に逃れ、草創期のグラインドボーン
音楽祭でも活躍しました。
PRCD 89709 \2080
ティート・スキーパ 第5集 ポピュラー名曲集
ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
タリアフェリ:愛が歌う
アマドーリ:告白
セラーノ:あなたの心はどこに
ヴァルダーロ:暗闇
スキーパ:美しくて嘘つきな眼,ナポリ,希望,月によせるセレナータ
カンニョ:恋する兵士
ピッツァローニ:暗い窓
ディ・カプア:マリア、マリ
ボエロ:ペドロのロマンツァ
デ・クルティス:ソレントに帰れ
ほか
ティート・スキーパ(T)
録音:1930-34年
ティート・スキーパの、ナポレターナやスペイン語の歌曲を集めています。
スキーパの甘美な声がたまりません。
<BISCOITO FINO>
BC 225 \2080
チャイコフスキー:
(1)交響曲第1番ト短調Op.13「冬の日の幻想」(43’41)
(2)幻想序曲「ロメオとジュリエット」(20’34)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
録音:2006年
BC 229 \2080
ブラームス:
(1)交響曲第1番ハ短調Op.68(46’27)
(2)悲劇的序曲Op.81(13’26)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
BC 219 \2080
ベートーヴェン:
(1)交響曲第5番ハ短調Op.67(34’45)
(2)交響曲第7番イ長調Op.92(40’46)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
録音:2005年9月22、23&24日
BC 222 \2080
ベートーヴェン:
(1)序曲「献堂式」Op.124(11’20)
(2)交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」(43’03)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
BC 211 \2080
ベートーヴェン:
(1)「エグモント」序曲Op.84(7’55)
(2)交響曲第2番ニ長調Op.36(34’20)
(3)交響曲第8番ヘ長調Op.93(28’21)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
録音:(1)(3)2004年5月13&15日(2)2004年3月18&20日
BC 210 \2080
ベートーヴェン:
(1)序曲「コリオラン」Op.62(8’27)
(2)交響曲第1番ハ長調Op.21(27’15)
(3)交響曲第4番変ロ長調Op.60(34’36)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
録音:2000年4月27&29日
BISの録音でもおなじみ、1947年サン・パウロ生まれのジョン・ネシリングと、
かれが1997年以来音楽監督を務めるサン・パウロ交響楽団。かれらが地元ブラ
ジルのレーベル、BISCOITO FINOに吹き込んだアルバムの数々がファンの熱い
眼差しを浴びています。
ここにまとめてご紹介するシンフォニーの王道レパートリーでは、ラテンのイ
メージに反して開放的な爆演というより、ダイナミックでありながらいたって
堅実な音楽作りに普遍的な魅力を感じさせます。たしかな構成力で全曲をまと
めあげたブラームスに、スケール大きくロマンティックに歌い上げるチャイコ
フスキー。オケの合奏精度の高さが光る第2、第7、第8や、充実した響きで満
たされた「運命」、あふれる生命力と美しさがまばゆい「田園」という具合に、
ベートーヴェンもまた聴きごたえする内容です。
<Grand Slam>
GS 2033 \2250
(1)ステレオ
(2)モノラル
リヒャルト・ワーグナー(1813-1883):
(1)楽劇「ワルキューレ」第1幕全曲
-ボーナス・トラック-
(2)「ワルキューレの騎行」*
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ジークリンデ:キルステン・フラグスタート(Sp)
ジークムント:セット・スヴァンホルム(Tn)
フンディング:アルノルト・ヴァン・ミル(Bs)
録音:
(1)1957年10月28-30日、ウィーン、ゾフィエンザール
(2)1953年5月6、7日、ウィーン、ムジークフェラインザール
使用音源: Decca(U.K.)SXL 2074/5(「ワルキューレ」第1幕(ステレオ)
LW 5106(「ワルキューレの騎行」)(*これのみモノーラル)
制作:平林 直哉
*おことわり:LPからの復刻ですので、LP特有のノイズが混入します。また、
歌詞対訳は付いておりません。
■制作者より
初めて初期ステレオLPからの復刻を手がけることになりました。その第1弾は
1957年に英デッカによって録音されたクナッパーツブッシュ指揮、ウィーン・
フィル、ワーグナーの「ワルキューレ」第1幕全曲、その演奏、録音ともに今
なお最高と言われているものです。ステレオ録音の復刻となると、使用する盤
の状態はモノラル盤よりもいっそう神経質にならなければなりませんが、この
たび用意出来たLPは、まずこれ以上のものはあるまいと思われるほど極上のも
のです。そして、そこから作り出した音ですが、これは想像を絶するもので、
制作者が作業をしながら失神しそうになるほど見事なものです。その広がりと
奥行き、各パートの彫りの深さと艶やかさ、瑞々しい響きなど、初期LPの情報
量の多さには圧倒されます。制作者としてはフルトヴェングラーのバイロイト
盤(GS-2009)以上の、最高の出来ばえと自負しています。とは言っても特別な
手を加えているわけではなく、いつものように原音を限りなく忠実に再現した
ものです。
また、ボーナス・トラックにはモノラル録音の「ワルキューレの騎行」を加え
ました。当初は同じオペラとはいえ、ステレオ録音の第1幕全曲にモノラルの
音源を付けるのは蛇足ではないかと考えました。しかし、クナがこの曲をステ
レオ録音していないことと、仮マスターを聴いてその音の凄さに仰天したので、
あえて追加いたしました。
■解説書の内容
解説書にはウィーン・フィルの第2ヴァイオリン奏者、オットー・シュトラッ
サーが「レコード芸術」(1972年6月号)に寄稿した長文エッセイ「クナッパー
ツブッシュとの出会い、それから」をシュトラッサーの遺族、翻訳者、音楽之
友社のそれぞれ許諾を得て転載いたします。シュトラッサーは自著でもクナッ
パーツブッシュについて触れており、このエッセイにもそれらと部分的にだぶ
る個所もありますが、深い愛情と冷静な目によってクナッパーツブッシュを捉
えているばかりではなく、フルトヴェングラーの演奏を聴いた時の感想や、
晩年の病苦についてなど、身近にいた人でなければ体験出来ない逸話が数多く
紹介されています。これは、クナッパーツブッシュについて書かれた最も優れ
た文献のひとつと言えます。そのため、12ページの豪華ブックレットになりま
す。(以上、平林 直哉)
DHR 7945 \2080
「リヒテル第16集 / プーランク&レーガー」
(1)プーランク:2台のピアノのための協奏曲ニ短調FP.61
(2)同:ピアノと18楽器のための協奏舞踏曲「オーバード」FP.51
(3)レーガー:ピアノ五重奏曲第2番ハ短調Op.64
スヴャトスラフ・リヒテル(P)
(1)エリザベト・レオンスカヤ(P)ペテル・マジ(指)ラトヴィア交響楽団
(2)ジャン=フランソワ・パイヤール室内管弦楽団
(3)ボロディン四重奏団
録音:(1)1993年6月26日(2)1965年7月3日以上フランス、トゥール(ライヴ)
(3)1960年5月28日レニングラード(ライヴ)
リヒテル第16集はそれぞれ時期の異なるライヴ演奏で、プーランクとレーガー
というめずらしい演目を収めています。Live Classicsよりリリースされていた
レオンスカヤとの協奏曲は、この年の6月いっぱいマジと帯同して行ったフラン
ス・ツアーのときのもの。プーランクのほか、サン=サーンスの第2番と第5番、
ガーシュウィンのヘ調の協奏曲などを取り上げています。また、前月のオール
ドバラからハンガリー・ツアーに向かう途中でトゥールに立ち寄った際の「オ
ーバード」は、過去にいくつかのレーベルで出ていました。リヒテルのプーラ
ンクはともに、軽妙で洒脱なノリがプロコフィエフの演奏あたりにも通じるも
のがあり、痛快といっていいほどに曲想にマッチしています。
一転して、室内楽での共演の多かった名門ボロディン・カルテットとのレーガ
ーは、濃厚な音の溶け合いがみごと。レーガーがミュンヘンに居を構えてまも
なく書かれた充実期の作品で、その名手ぶりがピアノ・パートの卓越した筆致
にも顕れているため、リヒテル絶頂期の見せ場もふんだんです。
<medici arts ~EUROARTS>
20 56928(DVD+CD) \2900
[DVD]
字幕:英独仏西
“マックス・ローレンツ ワーグナーの名歌手、ヒトラーのジークフリート”
[CD]ワーグナー:「ジークフリート」抜粋 MONO
[DVD] 構成と監督:エリック・シュルツ、監督:クラウス・ウィシュマン
[CD]マックス・ローレンツ(T ジークフリート)
エーリヒ・ヴィッテ(T ミーメ)ほか、
エーリヒ・クライバー(指)コロン歌劇場管弦楽団、録音:1938年(ライヴ)
マックス・ローレンツ(1901-1975)は、1930、40年代を代表するヘルデン・テ
ノールで、バイロイト音楽祭を中心に輝かしい活躍をしました。残された録音
を聞いても、彼がいかに偉大な歌手だったか良く分かります。そのローレンツ
の人物像を、陰の部分まで掘り起こしたのがこのドキュメンタリー映像です。
歌手として絶大な人気を誇ったローレンツでしたが、実は彼はナチスが厳しく
弾圧した同性愛者であり、また偽装的に結婚していた妻はユダヤ系でした。し
かしヒトラーはローレンツが大のお気に入りで彼を庇護し、ゲッベルスも文化
政策のため彼を重用。そうした部分も含め、ローレンツ研究の第一人者、エリ
ック・シュルツの綿密な取材が反映されています。インタビューにはディート
リヒ・フィッシャー=ディースカウ、ワルデマール・クメント、ルネ・コロ、
ヒルデ・ツァデクらが出演。単なる歌手のドキュメンタリー映像に留まらず、
激動の時代の一側面を切り開いたものとしても価値のある映像です。
CDには、1938年にアルゼンチンのコロン歌劇場で上演された「ジークフリー
ト」の抜粋。初出音源です。指揮者が大クライバーというのも嬉しいもの。
<PREISER>
●Lebendige Vergangenheitシリーズ
PRCD 89697 \2080
ジョン・マコーマック アリア集
モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」
ドニゼッティ:「ルチア」、「ドン・パスクワーレ」,「連隊の娘」
ヴェルディ:「トラヴィアータ」,「リゴレット」
ボーイト:「メフィストーフェレ」
ワーグナー:「マイスタージンガー」
ビゼー:「真珠採り」,「カルメン」
ドリーブ:「ラクメ」
マスネ:「マノン」
プッチーニ:「ボエーム」
からのアリア、場面
ジョン・マコーマック(T)
録音:1910-17年
ジョン・マコーマック(1884-1945)は、1910年代を中心に絶大な人気を誇った
テノール。アイルランド出身で、イタリアに留学したマコーマックは、ちょう
ど一般に広まってきたレコードの分野で大成功を収めました。このCDは彼の全
盛期の録音。ルクレツィア・ボリとの共演も多数含みます。
PRCD 89700 \2080
ニーノ・ピッカルーガ アリア集
ヴェルディ:「トロヴァトーレ」,「仮面舞踏会」,「オテッロ」
マイヤベーア:「アフリカの女」
ビゼー:「カルメン」
マスネ:「ウェルテル」
ポンキエッリ:「ジョコンダ」
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」
ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」
プッチーニ:「マノン・レスコー」,「西部の娘」,「トスカ」,
「蝶々夫人」,「トゥーランドット」
レオンカヴァッロ:「道化師」
ヴォルフ=フェラーリ:「スライ」
からのアリア
ニーノ・ピッカルーガ(T)
録音:1928-29年
ニーノ・ピッカルーガ(1890-1974)は、非常に優れたイタリアのドラマティッ
クテノールでしたが、病気のため1935年で引退してしまった、幻のテノール
です。
PRCD 89701 \2080
エリーザベト・グリュンマー アリア集
モーツァルト:「フィガロの結婚」,「コジ・ファン・トゥッテ」,「魔笛」
グノー:「ファウスト」
トーマ:「ミニヨン」
グリーグ:「ペール・ギュント」
チャイコフスキー:「スペードの女王」
ベートーヴェン:「エグモント」
からのアリア、他
エリーザベト・グリュンマー(S)
ヴィルヘルム・シュヒター(指)
アルトゥール・ローター(指)ベルリン放送交響楽団、他
録音:1949-55年
1950,60年代のドイツを代表するソプラノの一人、エリーザベト・グリュンマ
ーの、比較的初期の録音。彼女にしては珍しいレパートリーも含みます。いず
れもドイツ語の歌唱。
PRCD 89702 \2080
ジャン・ピアーズ アリア集 第3集
モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」
ドニゼッティ:「ルチア」
ヴェルディ:「リゴレット」,「トロヴァトーレ」,「トラヴィアータ」,
「運命の力」
ビゼー:「カルメン」
サン=サーンス:「サムソンとデリラ」
マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」
チレーア:「アルルの女」
プッチーニ:「蝶々夫人」
からのアリア
ジャン・ピアーズ(T)
エーリヒ・ラインスドルフ(指)RCAヴィクター管弦楽団、
フリッツ・ライナー(指)RCAヴィクター管弦楽団
レオポルド・ストコフスキ(指)NBC交響楽団、他
録音:1950-55年
1940、50年代のメトのスター・テノール、ジャン・ピアーズのアリア集。
1950年代前半のRCA録音を集めています。ストコフスキの伴奏が珍しいもの。
PRCD 89703 \2080
ヘドヴィク・フォン・デビッカ アリア集
モーツァルト:「後宮からの逃走」
ベッリーニ:「清教徒」
ヴェルディ:「トラヴィアータ」,「リゴレット」
グノー:「ファウスト」
オッフェンバック:「ホフマン物語」
からのアリア
バッハ:カンタータ「忍びよれ、たわむれる波よ」 BWV.206から
モーツァルト:
「エクスルターテ・ユビラーテ」 K.165-ハレルヤ,ミサ曲 ハ短調 K.427から
グルック:ああ、私の甘い情熱が
ヘドヴィク・フォン・デビッカ(S)
ユリウス・プリュワー(指)管弦楽団
録音:1925-29年
ヘドヴィク・フォン・デビッカ(1988-1970)は、ワルシャワ生まれのソプラノ。
1914年から24年までウィーンで、1924から29年までベルリンで活躍しました。
このCDには全盛期の録音が集められています。
PRCD 89704 \2080
アントニーナ・ネジダーノヴァ アリア集
グリンカ:「ルスランとリュドミラ」,「イワン・スサーニン」
リムスキー=コルサコフ:「雪娘」,「皇帝の花嫁」
マイヤベーア:「ユグノー」
オーベール:「フラ・ディアヴォロ」
ゴルトマルク:「冬の物語」
モーツァルト:「魔笛」
ロッシーニ:「セビリアの理髪師」
ドニゼッティ:「ルチア」
ベッリーニ:「清教徒」
ヴェルディ:「シチリアの晩鐘」
プッチーニ:「ボエーム」
ドリーブ:「ラクメ」
トーマ:「ハムレット」
からのアリア
アレンスキー:魚の歌
アラビエフ:夜鶯
ドリーブ:カディスの娘
トスティ:セレナータ
ほか
アントニーナ・ネジダーノヴァ(S)
録音:1907-13年
アントニーナ・ネジダーノヴァ(1873-1950)は、ウクライナ出身のコロラトゥ
ーラ・ソプラノ。40年に渡ってボリショイ歌劇場で活躍し、またヨーロッパ各
地でも人気を博しました。ラフマニノフから「ヴォカリーズ」を捧げられたこ
とでも有名です。
PRCD 89705 \2080
マルコ・ロートミュラー アリアと歌曲集
モーツァルト:「コジ・ファン・トゥッテ」,「魔笛」
ワーグナー:「タンホイザー」
ヴェルディ:「リゴレット」
ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」
プッチーニ:「トスカ」
からのアリア
シューベルト:
竪琴に寄す D.737,魔王 D.328,憩いのない愛 D.138,挨拶を送ろう D.741,
君はわが憩い D.776,「白鳥の歌」 D.957-都会,影法師,住み家
ムソルグスキー:子守歌,セレナード
マルコ・ロートミュラー(Br)
ジェイムズ・ロバートソン(指) アルベルト・エレーデ(指)
フィルハーモニア管弦楽団
録音:1943-50年
マルコ・ロートミュラー(1908-1993)は、クロアチア出身のバリトン。1932年
にハンブルクでデビュー。1935から47年にチューリヒ歌劇場に所属。ニューヨ
ーク・シティ・オペラやメトでも活躍し、その後米国に移住しまた。モーツァ
ルトのバリトン役や、シューベルトのリートを得意とする一方、当時の現代音
楽も得意とした知性派バリトンです。
PRCD 89706 \2080
ナン・メリマン アリアと場面集
グルック:「オルフェオとエウリディーチェ」
ロッシーニ:「オテッロ」
ドニゼッティ:「ファヴォリータ」
ヴェルディ:「ドン・カルロ」,「リゴレット」
ビゼー:「カルメン」
トーマ:「ミニョン」
ファリャ:「恋は魔術師」
からのアリア,場面
バーンスタイン:交響曲第1番「エレミア」から
ナン・メリマン(Ms)
フリーダー・ワイスマン(指)RCAヴィクター管弦楽団
ウォルター・サスカインド(指)ロンドン交響楽団
アルトゥーロ・トスカニーニ(指)NBC交響楽団
ピエール・モントゥ(指)サンフランシスコ交響楽団
レオポルド・ストコフスキ(指)ハリウッド・ボール交響楽団
レナード・バーンスタイン(指)セントルイス交響楽団
録音:1943-57年
NBC時代のトスカニーニが重用したことで知られる米国の名メッゾソプラノ、
ナン・メリマン(1920-)の比較的珍しい録音を集めています。トスカニーニ指
揮の「リゴレット」は、一般的に知られている1944年の録音ではなく、1943年
7月25日の放送録音。モントゥ指揮の「カルメン」からのアリア3曲は、1949年
1月9日のライヴ録音で、初出音源のようです。
PRCD 89707 \2080
エツィオ・ピンツァ 第5集 映画音楽集
アーレン:「ミスター・インペリウム」から
カーン:「ロバータ」から
ローム:「ファニー」から
ワイル:九月の歌
ララ:あなたは私の心のまま
ロジャーズ:歌で私の心に
シャーツィンガー:恋の一夜
シュワルツ:ダンシング・イン・ザ・ダーク
ジョーンズ:夢で会いましょう
レーン:私のものは全てあなたのもの
ポーター:ソー・イン・ラブ
カーン:今宵の君は
ほか全25曲
エツィオ・ピンツァ(Bs)
録音:1950-54年
メトロポリタン歌劇場で大活躍した名バス、エツィオ・ピンツァ(1892-1957)
は、晩年にミュージカルや映画に多く参加したことで知られています。有名曲
から珍しい曲まで、いずれもピンツァの美声が堪能できます。
PRCD 89708 \2080
ヴェラ・シュワルツ アリア集
モーツァルト:「コジ・ファン・トゥッテ」
アレヴィ:「ユダヤの女」
ヴェルディ:「エルナーニ」,「トロヴァトーレ」,「仮面舞踏会」,
「アイーダ」
ワーグナー:「ローエングリーン」
ゲッツ:「じゃじゃ馬ならし」
レオンカヴァッロ:「道化師」
プッチーニ:「ボエーム」,「トスカ」
ヴォルフ=フェラーリ:「スザンナの秘密」
ダルベール:「死んだ眼」
からのアリア
ヴェラ・シュワルツ(S)
録音:1920-22年
ヴェラ・シュワルツ(1888-1964)はオーストリアのソプラノ。オペレッタの歌
手からキャリアを初め、1920年代にはベルリンとウィーンで人気を博しました。
1929年、ベルリンでのレハール「微笑みの国」初演でリザ役を歌い、この作品
の大成功に貢献しています。大戦中は英国に逃れ、草創期のグラインドボーン
音楽祭でも活躍しました。
PRCD 89709 \2080
ティート・スキーパ 第5集 ポピュラー名曲集
ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
タリアフェリ:愛が歌う
アマドーリ:告白
セラーノ:あなたの心はどこに
ヴァルダーロ:暗闇
スキーパ:美しくて嘘つきな眼,ナポリ,希望,月によせるセレナータ
カンニョ:恋する兵士
ピッツァローニ:暗い窓
ディ・カプア:マリア、マリ
ボエロ:ペドロのロマンツァ
デ・クルティス:ソレントに帰れ
ほか
ティート・スキーパ(T)
録音:1930-34年
ティート・スキーパの、ナポレターナやスペイン語の歌曲を集めています。
スキーパの甘美な声がたまりません。
<BISCOITO FINO>
BC 225 \2080
チャイコフスキー:
(1)交響曲第1番ト短調Op.13「冬の日の幻想」(43’41)
(2)幻想序曲「ロメオとジュリエット」(20’34)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
録音:2006年
BC 229 \2080
ブラームス:
(1)交響曲第1番ハ短調Op.68(46’27)
(2)悲劇的序曲Op.81(13’26)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
BC 219 \2080
ベートーヴェン:
(1)交響曲第5番ハ短調Op.67(34’45)
(2)交響曲第7番イ長調Op.92(40’46)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
録音:2005年9月22、23&24日
BC 222 \2080
ベートーヴェン:
(1)序曲「献堂式」Op.124(11’20)
(2)交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」(43’03)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
BC 211 \2080
ベートーヴェン:
(1)「エグモント」序曲Op.84(7’55)
(2)交響曲第2番ニ長調Op.36(34’20)
(3)交響曲第8番ヘ長調Op.93(28’21)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
録音:(1)(3)2004年5月13&15日(2)2004年3月18&20日
BC 210 \2080
ベートーヴェン:
(1)序曲「コリオラン」Op.62(8’27)
(2)交響曲第1番ハ長調Op.21(27’15)
(3)交響曲第4番変ロ長調Op.60(34’36)
ジョン・ネシリング(指)サン・パウロ交響楽団
録音:2000年4月27&29日
BISの録音でもおなじみ、1947年サン・パウロ生まれのジョン・ネシリングと、
かれが1997年以来音楽監督を務めるサン・パウロ交響楽団。かれらが地元ブラ
ジルのレーベル、BISCOITO FINOに吹き込んだアルバムの数々がファンの熱い
眼差しを浴びています。
ここにまとめてご紹介するシンフォニーの王道レパートリーでは、ラテンのイ
メージに反して開放的な爆演というより、ダイナミックでありながらいたって
堅実な音楽作りに普遍的な魅力を感じさせます。たしかな構成力で全曲をまと
めあげたブラームスに、スケール大きくロマンティックに歌い上げるチャイコ
フスキー。オケの合奏精度の高さが光る第2、第7、第8や、充実した響きで満
たされた「運命」、あふれる生命力と美しさがまばゆい「田園」という具合に、
ベートーヴェンもまた聴きごたえする内容です。
<Grand Slam>
GS 2033 \2250
(1)ステレオ
(2)モノラル
リヒャルト・ワーグナー(1813-1883):
(1)楽劇「ワルキューレ」第1幕全曲
-ボーナス・トラック-
(2)「ワルキューレの騎行」*
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ジークリンデ:キルステン・フラグスタート(Sp)
ジークムント:セット・スヴァンホルム(Tn)
フンディング:アルノルト・ヴァン・ミル(Bs)
録音:
(1)1957年10月28-30日、ウィーン、ゾフィエンザール
(2)1953年5月6、7日、ウィーン、ムジークフェラインザール
使用音源: Decca(U.K.)SXL 2074/5(「ワルキューレ」第1幕(ステレオ)
LW 5106(「ワルキューレの騎行」)(*これのみモノーラル)
制作:平林 直哉
*おことわり:LPからの復刻ですので、LP特有のノイズが混入します。また、
歌詞対訳は付いておりません。
■制作者より
初めて初期ステレオLPからの復刻を手がけることになりました。その第1弾は
1957年に英デッカによって録音されたクナッパーツブッシュ指揮、ウィーン・
フィル、ワーグナーの「ワルキューレ」第1幕全曲、その演奏、録音ともに今
なお最高と言われているものです。ステレオ録音の復刻となると、使用する盤
の状態はモノラル盤よりもいっそう神経質にならなければなりませんが、この
たび用意出来たLPは、まずこれ以上のものはあるまいと思われるほど極上のも
のです。そして、そこから作り出した音ですが、これは想像を絶するもので、
制作者が作業をしながら失神しそうになるほど見事なものです。その広がりと
奥行き、各パートの彫りの深さと艶やかさ、瑞々しい響きなど、初期LPの情報
量の多さには圧倒されます。制作者としてはフルトヴェングラーのバイロイト
盤(GS-2009)以上の、最高の出来ばえと自負しています。とは言っても特別な
手を加えているわけではなく、いつものように原音を限りなく忠実に再現した
ものです。
また、ボーナス・トラックにはモノラル録音の「ワルキューレの騎行」を加え
ました。当初は同じオペラとはいえ、ステレオ録音の第1幕全曲にモノラルの
音源を付けるのは蛇足ではないかと考えました。しかし、クナがこの曲をステ
レオ録音していないことと、仮マスターを聴いてその音の凄さに仰天したので、
あえて追加いたしました。
■解説書の内容
解説書にはウィーン・フィルの第2ヴァイオリン奏者、オットー・シュトラッ
サーが「レコード芸術」(1972年6月号)に寄稿した長文エッセイ「クナッパー
ツブッシュとの出会い、それから」をシュトラッサーの遺族、翻訳者、音楽之
友社のそれぞれ許諾を得て転載いたします。シュトラッサーは自著でもクナッ
パーツブッシュについて触れており、このエッセイにもそれらと部分的にだぶ
る個所もありますが、深い愛情と冷静な目によってクナッパーツブッシュを捉
えているばかりではなく、フルトヴェングラーの演奏を聴いた時の感想や、
晩年の病苦についてなど、身近にいた人でなければ体験出来ない逸話が数多く
紹介されています。これは、クナッパーツブッシュについて書かれた最も優れ
た文献のひとつと言えます。そのため、12ページの豪華ブックレットになりま
す。(以上、平林 直哉)