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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

嘉手納カーニバル

2011年01月03日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 沖縄の嘉手納飛行場(通称を嘉手納基地)は、アジア最強の米軍基地である。広さは約1990ヘクタール、東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせた面積の約20倍であり、東京都中央区の面積の約2倍にあたる。だが、それで驚いてはいけない。隣接する嘉手納弾薬庫地区は約2800ヘクタールあり、さらに言えば、沖縄にある基地の総面積は約237000ヘクタールとなる。東京のJR山の手線で囲われた面積の約38倍となっている。「すげぇー」と思う。
 嘉手納基地の軍備はたぶん、アジア最大最強の米軍基地である。つい最近、アメリカ国外には配備されたことの無かった最新鋭戦闘機F22が12機、臨時配備としてやってきた。嘉手納基地はアメリカのアジア戦略にとって、最も重要な基地なのであろう。

 そんな嘉手納基地であるが、私には良い思い出がある。
 ここ2、3年はやっていないらしいが、嘉手納カーニバルという祭事が、アメリカの独立記念日だったかの日に嘉手納基地内で開かれている。通常は、軍関係者以外の人間は基地の中へ入れないが、嘉手納カーニバルは倭人もウチナーンチュも基地の中へ入って、アメリカ人たちと一緒に祭りを楽しむことができる。
 本土復帰前、私が子供の頃も、嘉手納基地では毎年嘉手納カーニバルが開かれていた。私も2度ばかり、父に連れていってもらった。会場にはたくさんの模擬店が並んでいて、店員は皆アメリカ人で、そのアメリカ人のオジサンたちは皆ニコニコしていて、たくさんのゲームがあって、大きなホットドッグやハンバーガーがあって、キャンディーやチョコレートが溢れていた。夕方からは空に花火が咲いた。子供には夢のような世界だった。

  子供の頃の嘉手納カーニバル、子供の私にとって、アメリカのオジサンたちは皆良い人に見えた。輪投げゲームをやって的から外れた時も、黒い肌白い肌のオジサンたちはチョコレートやキャンディーをおまけしてくれた。子供の私にとって、アメリカのオジサンたちはウチナーンチュの優しいオジサンたちと何ら変わりなかった。同じ人間であった。
 基地の弊害も多くあろうが、でも、今はそこに基地がある。在るものとはできるだけ楽しく付き合えた方が良い。たくさん交流して、相互理解を深めた方が良い。基地側も、ウチナーンチュの基地内への出入をもっと緩くしたら良い。基地の中の人間が基地の外へ遊びに行くように、基地の外の人間が基地の中へ買い物に出かけることが日常的にできるようになると良い。そこにはきっと、たくさんの喜びが生まれるであろう。
 基地が無くなればという夢は、将来の夢として淡々とその夢の実現に向かって計画を練っていけばいい。10年後20年後でなくても良いのだ。100年後200年後の計画で良いのだ。今、計画を練る努力は、この島の将来の、平和の礎(いしじ)となろう。
     

 この記事を書くために1冊の本に目を通した。『隣人の素顔』(NHK沖縄放送局編)という本。サブタイトルに「フェンスの内側から見た米軍基地」とある。それによると、海兵隊基地司令部には1997年に「外交政策部」が設置され、地元との相互理解に力を入れるようになった。翌98年には『東アジア戦略報告』に「良き隣人」という項目が設けられた。フェンスの外に対して良き隣人になりましょう、ということだ。
 相互理解は良いことである。交流を深めることに私は賛成する。嘉手納カーニバルは楽しかった。ぜひ、復活させていただきたいものである。
 なお、相互理解については補足したいことがあるが、これは別項『良き隣人』で。

 記:ガジ丸 2007.3.24 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行