ニガウリを齧った真犯人
昨年(2013年)11月のガジ丸通信『化学兵器禁止畑』に「食害されるゴーヤー」というタイトルの写真を載せた。生で齧ると人間の子供も嫌がる苦いゴーヤーがいくつも齧られているのを見て「何たること!」と写真を撮ったのだが、その説明文には「蓼喰う虫も好き好きというが、苦いゴーヤーを齧る虫もいる。しかも生で。現行犯を見てはいないが、その齧り跡から見てたぶんカタツムリだと思う。」と私は書いた。
今回紹介するアシビロヘリカメムシを調べると、「ニガウリの果実を食害する」と文献にあり、「えっ!蓼食う虫はカタツムリだけでは無かったのか?・・・いや、そもそもカタツムリがゴーヤーを齧っているというのは確かか?お前実際に見たのか?」と自問し、「いや、見てはいないが、近くにカタツムリは多くいた。」と答え、「現行犯では無いじゃないか、資料を調べたのか?」とさらに自問し、「だよな、ちゃんと調べないといけないよな、近くにいたから犯人だなんて無茶な断定だよな」と答え、そして、調べた。
私が参考にしている文献には「カタツムリはゴーヤーを食害する」なんていう記述は無かった。どうも私は、カタツムリを冤罪に陥れていたようだ。
ニガウリを齧った真犯人、これもまだ犯行現場を目撃したわけではないのだが、いくつもの文献に記載があった。「アシビロヘリカメムシはゴーヤーを食害する」と。
私の畑でアシビロヘリカメムシを2度見ている。1度目は去年の5月、畑のゴーヤーは既に実を着け、食べるに十分の大きさになっていた。ただ、彼はそのゴーヤーにはいなくて、近くにあった雑草のイヌホオズキの葉の上にいた。
ゴーヤーの近くの草の下にうずくまっているカタツムリを疑い、ゴーヤーの近くの草の葉の上で何食わぬ顔(かどうか?)しているアシビロヘリカメムシに私は何の疑いも持たなかった。冤罪で死刑になりかけた人のことも思い、反省した。
アシビロヘリカメムシ(脚広縁亀虫) :半翅目の昆虫
ヘリカメムシ科の昆虫 琉球列島、東南アジアなどに分布 方言名:フー
名前の由来、参考文献に詳述は無いが、『沖縄昆虫野外活用図鑑』に「後ろ脚のすねは木の葉状に広がっている」とあり、そこからアシビロ(脚広)であろう。ヘリは体の側面の縁が出ているカメムシの仲間の総称で、ヘリカメムシ科に分類される。カメムシについては別の項でも書いたが、頭部の突き出た形がカメに似ていることから。別名のヘッピリムシは「触れると臭腺から猛烈な悪臭を出す」(広辞苑)ことから。
体長は20ミリ内外、名の由来となっている後ろ脚に特徴があり、そのすねが木の葉状に広がっている。体は黒褐色に黒色の点刻があり、触角は黒色と黄色の縞模様。
生息場所は畑地や集落などで、幼虫は群れで生活する。成虫は主に単独だが、時には群れることもある。寄主はウリ類、ミカン類で、ニガウリの果実に群がって食害する。
『沖縄昆虫野外活用図鑑』に「雄間の闘争は特異で、逆向きになって後脚で蹴り合いをする」とあったが、それは見てみたい。出現は5~6月、8~11月。
2014年
記:2014.4.15 ガジ丸 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行