学者の大変
モンシロモドキは普通に見られるらしいが、その近い親戚のツマキモンシロモドキは稀にしか見られないらしい。私がもしも昆虫学者で蝶の類の専門家なら、その稀なツマキモンシロモドキにもしばしばお目にかかっていたかもしれない。学者で無い私は、わざわざ蝶を探したりはしない。日常の生活の中で、あるいはたまたま訪れた公園などを散歩している時に偶然出会った虫たちの写真を撮っているだけ。そんな私が、「稀」というツマキモンシロモドキに4回も会っている。しかもその内の3回は自分の畑ナッピバルで。
稀のツマキモンシロモドキ、ナッピバル周辺に棲息しているかもしれないが、稀らしく私が参考にしている文献には本種を紹介しているものがなく、図書館から借りた『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』に載っていた。稀らしく、出現時期も不詳とあった。
出現時期というのを改めて考えると、学者は大変だと思った。私の近場にいるツマキモンシロモドキではあるが、もしも私がツマキモンシロモドキの出現時期を調べ、それを確定するためには、常にツマキモンシロモドキの姿に気を付けていなければならない。そんなこと無理。よって、私は学者にはなれない。いいのだ、農夫だ私は、それで満足。
ツマキモンシロモドキ(端黄紋白擬き) 方言名:ハベル(ガの総称)
ヒトリガ科 九州~沖縄に分布 方言名:ハベル(ガの総称)
名前の由来、モンシロモドキの頁で「ヒラヒラと飛んで、花に止まったりする・・・チョウに似ていて、全体に白っぽいのでモンシロモドキという名前になったのであろう」と書いたが、たぶん、当たっていると思う。ツマキは体の尻が黄色いからであろう。
モンシロモドキと同じく昼間活動するガ。花にとまって吸蜜もする。食草のウスベニニガナはあちこちにあるが、『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』に「まれ、偶産蛾」とあった。私は2011年12月、2013年11月と12月、2014年11月、さらに2016年6月と8月に見て、写真を撮っている。参考文献に記載が無く出現時期は不詳だが、私の写真から判断すれば6月から12月となる。
体長20ミリ。成虫の出現時期は不詳。幼虫の食草はウスベニニガナなど。
ちなみに学名、
モンシロモドキ Nyctemera adversata
ツマキモンシロモドキ Nyctemera lacticinia
ということで、同属だが種は違う。
体の端が黄色。
葉上で交尾
ちなみに、下はモンシロモドキ。
記:ガジ丸 2017.4.2 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行
『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田晴夫他著、株式会社南方新社発行