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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

クスマヤー

2010年12月31日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

  ウチナーグチ(沖縄口)を知っている人なら、「何て下品なタイトル」と思うに違いないクスマヤー、クスは糞、マヤーは猫、で、糞猫という意味になり、私の畑を便所にしている近所の糞猫どものことを指している・・・のでは無い。
  マヤーは、猫を指す名詞であるが、マユンという動詞に、「その動作をする人」という意味になる接尾語erをつけてマヤーと発音すると、また別の名詞にもなる。マユンは、和語の「放る」(ひる。体外へひりだすという意)に近い意味を持ち、クスマユンは「糞をひる」ということで、クスマヤーは「糞をひる人」ということになる。
 このクスマヤーが、子供の頃、相手を罵る時に使われた。他にもポッテカスーとかトットローとかわけの解らない言葉があったが、このクスマヤーだって、60億人類の全てがクスマヤーであるのに、何故それが罵る言葉になるのかよく解らない。「オマエは、糞マランのか」と反論されたら、「いや、俺も糞マルけどさ」となるのにサ。
 和語に「糞っ垂れ」という罵り語がある。これも別に「糞を垂れている奴」というだけの意味ではあるまい。おそらく、「糞っ垂れ」も「クスマヤー」も人並み以上に糞を垂れている人ということでろう。「糞ばっかし垂れやがって」という罵りなのであろう。

 今週月曜日の夜8時過ぎからほぼ24時間の間、「糞ばっかし垂れやがって」という意味の、私はクスマヤーであった。高校の時のウナギ、大学の時の生カキ以来という重症食中毒に罹り、悪寒、吐き気に襲われ、そしてミジグス(水糞)を一晩中垂れ続けた。
 ミジグスとは沖縄語辞典には載っていない俗語であるが、その意味は説明不要だろう。ただ、その時のミジグスは酷いものであった。馬の小便を見たことがあるだろうか、ドバドバドバとものすごい勢いで放出される、そのようなミジグス。これを私は、パップギミジグスと名付けたい。パップギはパップギユン(破裂する)の形容詞形。ちなみに、下痢の標準的なウチナーグチはクスフィリーと言う。ついでに、「糞をする」はクスマユン、またはクスマルと言うが、上流家庭の上品な言い方もある。ウラタチュンという。ウラは裏、昔の屋敷では、便所は家の裏にあったので、ウラというと便所を指した。タチュンは立つ。つまり、ウラタチュンは「トイレへ行きます」ということ。確かに上品。
     

 記:ガジ丸 2006.2.24 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行