職場が新しい建物に代わって3年ほどになるが、建物が完成したのとほぼ同時に、建物の道路側に面した部分に大きな石で囲った花壇を設けた。石はだいたい高さ60cmで、建物との間隔は1m前後、花壇の長さは12、3m。そこに土を盛り、マツ、ヒイラギ、セイロンマンリョウ、ハイビスカス、ランタナなどを植栽してある。道路と石の根元の間は10cm前後の隙間があり、そこには石の根締めとしてヒメキランソウが植えられた。
ヒメキランソウはその後順調に繁殖し、しばらくして石の根元を覆うようになった。そして、姫という名がいかにも似合うカワイイ花を咲かせてくれた。
ヒメキランソウを植えたのと同じ頃に、ヒメキランソウとは少し離れたところに、土が道路に流れ出さないよう土留めとして芝生が植えられた。芝生は少量だったが、しだいにその勢力を伸ばして、3年経った今は石の根元のほとんどを覆い尽くしている。そして、勢力を伸ばしたその芝のお陰で、哀れにも、ヒメキランソウは、今やほんの数株しか残っていない状態となってしまった。繁殖力がどうやら、芝に比べると弱いようなのである。
ヒメキランソウの姫という名前が良くないのかもしれない。殿キランソウとでもつければ良かったかもしれない、と私は思ったのだが、芝もまた、ヒメコウライシバという姫のつく名前なのであった。ただ、こっちの姫は男勝りの逞しい姫のようであった。
ヒメキランソウ(姫金瘡小草):地被・花壇
シソ科の多年草 原産分布は九州南部以南、台湾 方言名:無し
日当たりの良い排水良好な場所でよく生育する。自生地は海岸近くの草地や岩場。ランナーを出して繁殖する。湿気の多い場所では根腐れをおこす。
背丈が低く、横へどんどんと地面を薄く覆っていく。地表を這うようにランナーと呼ばれる子ヅルを伸ばして増えていく。花を咲かせてくれるグランドカバーとして最適。花の盛りには青紫の可憐な花を表面にいくつも咲かせてくれる。開花期は3月から7月と文献にはあるが、冬でもちらほら花を見せる。ついでに、キランソウ。
花
白花
ちなみに、
きらんそう(金瘡小草)―広辞苑よりー
シソ科の小形の多年草。路傍に生え、茎は地表に拡がって這う。茎葉には毛がある。葉は対生、しばしば紫色を帯びる。春、葉の付け根に濃紫色の美しい唇形小花を開く。
記:2005.2.18 島乃ガジ丸 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行