3本線のグライダー
沖縄で身近なタカ科の鳥はサシバであり、その飛んでいる姿はよく見かける。よく見かけるが、私の3倍ズームバカチョンカメラではとうてい、それがサシバであるということが明確に判るような写真は撮れない。サシバだけで無く、いつもその辺りを飛んでいるツバメの写真も同じ理由で撮れていない。いつか10倍ズームカメラを買おうと思う。
サシバもツバメもその飛び方はカッコイイ。羽をバタバタさせない飛び方をする。それは滑空型と言うらしい。いわゆる、風に乗って飛ぶグライダーのようなもの。特にサシバがいい。ツバメは体が小さく動きが速いので、「ちょこまかしやがって」という感じも受けるが、サシバの飛び方は悠然としている。チョウやトンボには真似できない。
チョウやトンボには真似できない、などと思っていたが、チョウにも飛び方が滑空型のチョウがいることを今回知った。リュウキュウミスジというチョウ。石垣島で見た時は、翅を広げたままスーッと目の前を飛んでいった。紙飛行機がスーッと流れていくような感じだったので、すぐには、それがチョウであると判断できなかった。広げた翅に3本の白線が走っているチョウは、3本線のグライダーのようであった。
リュウキュウミスジ(琉球三筋):鱗翅目の昆虫
タテハチョウ科 分布は奄美諸島以南、沖縄、八重山など 方言名:ハベル
翅の表に白い筋が3本あるように見えるのでミスジという名前。本土にはコミスジという近縁種がいて、本種はその沖縄版ということでリュウキュウがつく。
成虫の飛び方に特徴があるらしい。「2、3度はばたいて、その力で滑空」するという滑空型と呼ばれるもの。石垣島で見たものは確かにそのような飛び方であった。その後、沖縄島でも数回、本種を見つける。職場や民家や公園で見た。それら沖縄島で見たリュウキュウミスジはしかし、「5、6度はばたいて」滑空していた。
30年ほど前に台湾からやってきて八重山諸島に定着したといわれるシロミスジと見た目そっくり、文献の写真でも判別し難いのだが、わずかな違いから写真のものはリュウキュウミスジであると判断した。翅の白い斑点の数が少し違う。
前翅長30ミリ内外。成虫の出現は周年。食草はタイワンクズ、イルカンダなど。
成虫1
成虫2
ついでに、沖縄には生息しないが、コミスジも写真があるので紹介する。
コミスジ(小三筋):鱗翅目の昆虫
タテハチョウ科 北海道から屋久島、地中海沿岸から東アジアに分布
成虫の出現は5月から10月。幼虫の食草はマメ科のクズ、フジ、ハギ類など。
ミスジチョウ類の中では最も普通に見られる。
成虫1
成虫2
記:ガジ丸 2005.12.6 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行