ガジ丸が想う沖縄

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民謡酒場

2012年01月20日 | 沖縄05観光・飲み食い遊び

 正式名称が何というのか、そもそも正式な名称なんてものがあるのかどうかも私には不明だが、少なくとも私の周りの友人知人、親戚のオジサンオバサンも「民謡酒場」と呼んでいる飲食店がある。「民謡クラブ」とか「民謡スナック」とか言う人もいる。
 店内にちょいとした舞台があり、民謡のライブを聴かせてくれる。酒を出し、肴は概ね沖縄料理を中心としている。ライブが始まるのは遅い、たいてい9時頃から。客が集まるのも遅い、9時のライブが始まる頃はチラホラで、午前0時頃には賑やかになる。
 そんな民謡酒場、私は過去に4個所の延べ7回行っている。大城志津子の店に2回、名前は思い出せないが友人Tの知り合いの店に2回、そして、これは「ライブが始まるのは遅い」という条件に合わないが、喜納昌吉の店(国際通りという那覇のメインストリートにある)に2回、それから、去年初めて行った店が1回、の計7回。

 「ライブが始まるのは遅い」というのは去年初めて行った店、沖縄で芸人として活躍している新里さんという方がやっている店「珍々VV」で気付いたこと。そのことを店の人に尋ねたら「お客さんが集まるのは12時くらいになってからだねぇ、その頃からはカチャーシー(沖縄の伝統的自由な踊り)も出て、賑やかになるよー」とのこと。
 民謡酒場はどこもだいたい似たようなものだと、店のお姉さんは付け加えた。「そういえば、喜納昌吉の店を除いては、他の店も遅かったな」と思い出した次第。ところがその店、ライブが始まっても客は我々(3人)含め2組の計5人だけ。「賑やかになる」という12時前になっても客は1人加わっただけ。ちっとも賑やかでは無い。
 「賑やかになるんじゃないの?」と意地悪く尋ねる。
 「はっさ、毎日は賑やかじゃないさぁ、今日は平日でしょう、賑やかになるのは週末さぁ、週末の12時っていったらもうお祭りさぁ」とのことであった。

  まあ、客が6人しかいなくても、ちっとも淋しくはなかった。ステージに立った演者たちは楽しい雰囲気を作るのが上手であった。沖縄民謡をしっとりと奏で、また、賑やかに奏で、聴いている我々をちっとも退屈させなかった。
 客の一人がステージに上がって太鼓を受け持った。楽しそうにやっていた。「サンシン弾ける人も、唄の歌える人もどうぞステージに上がって一緒にやりましょう」と声を掛けてくれたが、唄にもサンシンにも自信の無い私は大人しくしていた。
 ステージで一緒に演奏を楽しむことができるのも民謡酒場の特徴らしい。沖縄には「いちゃりばチョーデー(出会えば兄弟)」という言葉があるが、「ここにいるものは皆兄弟さぁ、幸せは皆で一緒に作って楽しもううよ」ということなのかもしれない。
     

 民謡酒場という空間は、沖縄の空気とか匂いとか気分とかを強く感じさせてくれる場所である。沖縄民謡がそもそも沖縄らしいのであるが、「皆で楽しもう」といった精神もまた、沖縄らしいし、そして、始まりが遅いというのも、いかにも沖縄だ。

 記:2012.1.18 ガジ丸 →沖縄の生活目次