ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

クロバナツルアズキ

2017年08月22日 | 草木:雑木雑草

 去年の秋、埼玉在の友人Kと宮古諸島の旅をした。旅の二日目は飛行機で多良間島へ渡った。宿まで30分程歩くというので、同行のKは車で行き、私は徒歩。
 海岸沿いの道を宿方面へ向かう。多良間島の風を感じながらのんびり歩く。出会いたいと常々思っていた動物に会えた。ヤシガニ。食べてみたいとも思っていたが、出会ったヤシガニは小さく、食べるには肉量が少なかろうと思った。それにもう既に死んでいた。いつ死んだか知れず、食べて腹でも壊したらと思って拾わなかった。

 ヤシガニに出会う少し前、道路沿いの植樹帯に目立つ植物を見つけた。それはツル植物で、植栽された低木に絡みついていた。目立ったのは花の色が黒だったからだ。子供の頃に、「黒色の花はこの世に存在しない」と聞いたことがあったので、「ほう」と思ったのである。子供の頃聞いた歌謡曲『黒い花びら』もついでに思い出した。
 『黒い花びら』って誰が歌っていたっけ?「くーろーいーはなびらー」の後の歌詞は何だったっけ?などと考えながら写真を撮る。「あるじゃねーか、黒色の花」と思ったのだが、よく見ると真っ黒では無い。文献には黒紫色とあった。

 これまであちらこちら散策しているが、このHPを始めた2004年からは公園の草木も路傍の草木にも関心を持って歩いていたが、こんだけ目立つのにクロバナツルアズキ、多良間島で初めて出会った。多良間島の道路の植栽帯にはたくさん生えていた。
 
 クロバナツルアズキ(黒花蔓小豆):野草
 マメ科の多年草 北アメリカ原産の帰化植物 方言名:なし
 名前の由来は資料が無く不明だが、容易に想像はつく。黒い花の咲く蔓性の小豆、ということで、黒花蔓小豆という漢字も私の想像だが、おそらく正解。
 アズキと同じくマメ科だがアズキとは別属。アズキはササゲ属で本種はインゲン属。本種の同属にはインゲンマメがあり、アズキと同属にはハマササゲがある。
 本種は飼料として持ち込まれたようだが、栽培されていたものが逸出し、現在は路傍や野原の雑草となっているとのこと。であるが、私が日常散策するような場所、那覇市や浦添市、宜野湾市、西原町、中城村などの路傍や野原、及び公園などでお目にかかったことは無い。ヤンバル散策でも見ていない。去年の秋旅の多良間島で出会った。
 クロバナ(黒花)と名はあるが、花色は真っ黒ではなく黒紫色。開花期については文献に記載が無く不明。文献の写真は6月で、私が見たのは9月。
 草全体に毛が密生する。豆が人の食用になるかどうかも資料が無く不明。
 ちなみに学名、
 クロバナツルアズキ Phaseolus atropurpureus DC.
 インゲンマメ Phaseolus vulgaris
 アズキ Vigna angularis
 ハマササゲ Vigna marina
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2013.7.11 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編