友人の先輩農夫Tは5人の子持ちである。その内の1人はまだ学生だが、それも来年には卒業する予定で、彼が社会人となり、娘二人が嫁いで家を出ていったらT夫妻は晴れて子育て終了となり、夫婦二人の自由な時間がやってくることになる。
Tの女房のK子は、私の目から見れば健気な人という印象である。T夫妻と話していると、「あー、この2人、仲良いなぁ」と感じる程にお互いを見る目が優しい。
その女房もよく知っている、あるいは、その亭主もよく知っている私の友人夫婦は何組もいるが、T夫妻ほど優しさに包まれた夫婦はいないと感じている。
そのTが先日、私の畑にやってきて、しばしユンタク(おしゃべり)していった。今年の夏は暑かった、10月になっても前代未聞の暑さだなどの話から、このまま温暖化が進んでいったら沖縄の作物も熱帯地方で育つようなものに替えなきゃあとなり、この先どんな社会になるかとなり、互いの老後(数年後)の生活にまで話は至った。
Tは転職はしているが長年会社員として働き、結婚し、マイホームを建て、実父実母の面倒を見、5人の子供を育てるだけの稼ぎを得てきた。彼の老後は、「子供がみな独立したなら、家を売って、女房と2人で田舎暮らしをしたい、小さな畑で自給の野菜を育てながらのんびり生きて行きたい」とのこと。そう、あの女房と2人なら、幸せな老後を暮らせるだろうと、口にはしなかったが、私はそう思い、少し羨ましくなった。
人にはそれぞれ「幸せ時間」というものがある。幸せを感じている時間のことで、幸せ時間が長いほどその人の顔は柔和になる。Tはきっと、優しそうなオジーになるはず。
私の老後は、田舎に30坪ほどの土地を買い、そこに5坪ほどの小屋を建て、10坪ほどは畑にしてのんびりと季節の野菜を育て、収穫したものを料理して美味しく頂く。もしかしたら、オジー(爺さん)になってもカメラ片手に散歩を趣味とし、パソコンを使い文章を書いてブログやっているかもしれない。晴耕雨読ならぬ晴耕雨パソコンだ。
もちろん畑仕事もパソコン作業も、我が身が生きていればの話で、生きていて五体満足に動き、脳味噌にもさほどの不自由がない状態であるという条件付きとなる。
五体満足に動くとはもちろん、若者のように体が動くということではない、年齢なりに動けばいいのだ。ゆっくりでいいから歩くことができ、ゆっくりでいいから10坪ほどの畑で野良仕事をし、自分が食べる分の季節の野菜を育て、ゆっくりでいいから収穫した野菜を料理し、それを食べることができればいいのだ。酒が飲めればなお良い。
脳味噌にもさほどの不自由がない状態とは、多少の物忘れ、例えば、畑へ出て農作業道具を忘れる、昼飯食べるのを忘れる、パンツ履くのを忘れるなどといったことは可で、料理して火を消し忘れて出掛けるなんてことになったら不可、といったようなもの。
さて、私のそんな老後、80歳(生きていればの話)になってもそうかと言うと、それはあまり期待できない。「10坪ほどの畑で農作業をし、自分が食べる分の季節の野菜を育て、収穫した野菜を料理し、食べることができる」は難しいと思われる。それが出来なくなったらどうする?・・・そう、自分で自分の面倒を見ることが出来なかったら、私の場合、死んでしまえば良いとなる。私はきっと、冷めたオジーになるはず。
記:2017.11.10 島乃ガジ丸
今年(2017年)の糞暑かった7月8月、畑仕事は概ね午前中は早朝から10時頃まで、午後は4時から7時頃までやり、日中の11時頃から4時頃までは昼休みとなっていた。その間、昼飯食ったり昼寝したりは毎日あり、その他の時間は、時には部屋の掃除したりもあったが、大抵はブログの記事書きしたり、または、パソコンの中の、不明写真フォルダの中を覗いて、この写真は何者かと調べる作業をしていた。
「これはこれであろう」と判明したものの1つに、今回紹介するオオイワヒトデなるものがある。オオイワヒトデと聞くと、大岩海星と書いて海の生物のヒトデの仲間かと思ってしまうかもしれない。海中の岩場にいる大きなヒトデなのか?となる。
ところがどっこい、オオイワヒトデはヒトデ(海星)では無く、海とも関係無い。
写真のプロパティーを開き、その写真の日時を見て、その日その時間自分がどこにいてその写真を撮ったのかを日記を見て調べる。オオイワヒトデは2008年4月27日の午後、末吉公園へ散歩に行って、午後2時52分に撮ったもの。
末吉公園は首里にある大きな自然公園。散歩を趣味としていた私は当時、毎週末どこぞへ散歩に出掛けており、当時首里に住んでいた私は、場所も近いので散歩場所としては末吉公園を最も多く利用していた。あー懐かしや末吉公園、しばらく行っていない。どころか、散歩そのものもここ数年、ほとんどやっていない。畑が落ち着いたら散歩しよう。
オオイワヒトデ(大岩人手):地被・壁面
ウラボシ科の常緑シダ 小笠原、四国南部、九州、南西諸島に分布 方言名:不詳
名前の由来は資料がなく不明。漢字表記の大岩人手は私の想像。『琉球弧・野山の花』に「イワヒトデは本州南部以南に分布し、根茎は径4ミリ内外で側羽片は2~5対」とあり、「根系は太く径1センチほど、葉柄は長さ20~70センチ、側羽片は6~12対」である本種はイワヒトデに比べ大型であることからオオ(大)がつくのであろう。
イワ(岩)については「湿った岩上や地上に生える」の「岩上・・・に生える」ことから、ヒトデについては単羽状複葉のその形が人の手に見えるからではないかと推理した。ちなみに、海の生物のヒトデは海星とも書くが、人手と書いても良い。
葉身は単羽状複葉で頂羽片があり、側羽片は6~12対。胞子嚢群は羽片中軸と縁の間にあって長さ1~2センチの線形。低地から山地の湿った岩上や地上に生える。
葉裏
記:島乃ガジ丸 2017.10.17 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行