ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ウセートーン

2015年07月17日 | 通信-政治・経済

 先々週のガジ丸通信の記事「何が何でも辺野古」の中で、医者と患者の会話を木で鼻を括る(きではなをくくる)の喩え話として書き、その後に続けて、
 ちなみに、「木で鼻を括る(きではなをくくる)」とは「無愛想にもてなすことのたとえ」(広辞苑)のこと。「ちゃんと説明しない」→「無愛想」→「バカにしている」という喩え話のつもりであったが、・・・(後略)。
 と、書いたが、「ちゃんと説明しない」→「バカにしている」となるもっと解りやすい伝統的な言い回しが別にあった。「由らしむべし知らしむべからず」だ。
 「由らしむべし知らしむべからず」は略したもので、元は「民は之に由らしむべし、之を知らしむべからず」といい、「人民を為政者の方策に従わせることはできるが、その理由を理解させることは難しい。俗に、人民はただ従わせればよく、理由や意図を説明する必要はない」(広辞苑)という意味。「煩ぇ!お前ら下々の者供がガタガタ言うんじゃ無ぇ、黙って俺の言うことをきけ」みたいなことであろう。
 「理由や意図を説明する必要はない」は「説明しても人民は理解できない」ということなのか、「不利益を被ると人民が知れば抵抗などして何かと煩いので、人民には説明しない方が良い」ということなのか、どちらにしてもバカにしていることには違いない。

 「何が何でも集団的自衛権は必要」と安全保障関連法案を通した政府は、もしかしたら「日本存立の危機」情報をアメリカのCIAか日本の007から得ていて、なので「何が何でも」と急いでいるのかもしれない。あるいは、証拠の無い情報に漠然とした不安感を抱いて、もしもの場合の、念のための安全保障関連法案なのかもしれない。
 国民の「何で?」については「現在の世界情勢から見て必要だから」とのみ言い訳し、詳しく説明しないものだから国民は「???」のままだ。
 「中国ロシアに対抗できる強力強大な新米軍基地は何が何でも辺野古に」と思っているように見える政府は、「何が何でも辺野古に」の言い訳として「普天間飛行場の危険性除去」と「抑止力の維持」を仰っているが、「危険性除去」なら県外でも構わないし、中国やロシアが軍事的脅威であって、戦争を避ける抑止力が目的なら新基地は辺野古でなくていい、沖縄のどこかでなくてもいい。中国北京やロシアモスクワにより近い、日本国内の他府県であっても、あってもじゃない、あった方がずっといいに決まっている。
 「何でカンナジ辺野古ヤル」(何で必ず辺野古なんだ)について、納得できる説明をしてくれないものだからウチナーンチュは「怒、怒、怒」となる。
          

 ウセーユンという沖縄語がある。「軽蔑する、バカにする」といった意味の動詞だが、「バカにしている」という状態を表す時はウセートーンと使う。中学生の時、ボーっとしている少年(私)は相手が怒っていることに気付かないことも多く、不良先輩に、
 「ィヤーやワン(お前は俺を)ウセートーラヤー(バカにしているな)、死ナサリブサミ(殺されたいのか)」と言われ、小突かれたことがある。
 国を動かしている政治家や官僚たちが、情報を隠したり、真意を曲げたりして、自分たちの都合の良いように人民を操ろうとしているのであれば、
 「国やワッター、ウセートーンどー」(国は俺達をバカにしているぞ)と使える。
          

 記:2015.7.17 島乃ガジ丸