ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ウチナーンチュの居場所

2015年03月04日 | 通信-沖縄関連

 私のベッドは右手が南、頭部が西向きの、部屋の角にある。右手側は大家の家との境界で、境界には高さ5~8m級の樹木が、東端からアカギ、ヤドリフカノキ、シロガジュマル、トベラ、パキラ、西端のクロキまで、横に並んで、葉を茂らせている。
 それらの多くが大きく枝を張り出しているので、部屋に近いヤドリフカノキはベッドの右端から1m先、トベラは枕の位置から1m先にそれぞれ枝葉がある。それらにシロガシラ、メジロ、ヒヨドリ、スズメなどがやってきて、毎朝煩く鳴く。冬場と大雨、台風時を除いては窓を開けているので、彼らの声はよく聞こえる。
 梅雨が明けると、リュウキュウアブラゼミが現れる。樹液にも美味さの上中下があるようで、出始めの頃はまだ、私の枕元からは10mほど離れたネズミモチにいるが、その数が増えるにつれて、パキラ、アカギ、そして、枕元のトベラにもやってくる。さらに、出始めの頃は、彼らも朝はゆっくりみたいなんだが、生存競争が激しくなるとしだいに鳴き始める時間も早くなって、この頃は5時半頃からその煩い声を発している。
 セミは鳥よりなお煩い。鳥の声がクラシックとするなら、セミのそれはハードロックである。エネルギーに満ち溢れた騒音である。この日曜日(6月29日)にクマゼミが現れた。彼らはまだ出始めなので、アブラゼミほどでは無いが、これもやはり煩い。

 私はこれまで、高校から浪人にかけての2、3年を除いては、クーラーのある生活をやっていない。東京で暮らしていた頃もクーラーのある部屋に住んだことは無く、実家の私の部屋にクーラーは無い。そして、住んで14年余になる今の住まいにもクーラーは付いていない。窓を全開にしなければ、西日のガンガン当たる部屋は蒸し風呂となる。
 鳥たちは朝5時頃に鳴き始める。セミは5時半頃から鳴く。私は窓を全開にしている。彼らの声は直接私の耳に入る。あんまり煩いので目が覚める。
 前夜酒を飲んでいない火曜日と水曜日の朝は眠りが浅いせいか、隣室のクーラーの室外機の音で目が覚める時もある。隣室の女性は概ね明け方に帰宅する。室外機のゴーという音は、鳥たちが鳴き始めるよりもまだ少し早い。5時前に聞こえる。
 お陰さまで、夏の間は毎日毎日寝不足である。周りに樹木が無いと私の部屋はもっと暑くなるだろうし、セミ共に鳴くなと言っても聞かないだろうし。隣室にクーラーを使うなとも言えないし、夏の間、私に安眠の地は無い。

 さらに、この頃特に多いのだが、沖縄には爆音がある。ジェット機の音だ。普天間爆音訴訟の判決がついこのあいだあったが、基地周辺では爆音が激しいとのことだ。精神的苦痛を強いられているようだ。判決は原告の半分勝訴だったみたいである。私の住む首里石嶺は普天間のそれとは比べるべくも無いが、それでも時々、近辺を軍用機が飛ぶ。
 ジェット機の音は、隣の室外機より、鳥の声より、セミの声よりさらに煩い。確かに、こんな煩いのが毎日何度もあったら、精神的に苦痛になるであろうと想像できる。
 軍事優先は古今東西ほぼ変わらずにあることなんだろうが、「大事な演習をやっているんだ、ちょっと煩いくらい我慢せいっ!」というのが米軍の言い分なのであろう。ウチナーンチュは戦後63年間ずっと我慢を強いられている。ウチナーンチュが安心して、平和で静かな生活のできる居場所もまた、しばらくありそうも無い。
          

 なお、アブラゼミのジッ、ジッ、ジーーー、クマゼミのサンサンサンという声がいかに煩いか聞かせてあげたいが、5月にデジタルレコーダーを壊してしまった。頭上を走るジェット機の音を録音しようとして雨に濡らしてしまった。とても残念である。
          

 記:2008.7.4 島乃ガジ丸