ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ゴボウ短命

2014年11月07日 | 通信-社会・生活

 昨日(6日)午前3時過ぎ、左腰から左膝裏にかけての痛みで目が覚めた。痛みというのか痺れというのかよく判らないが、今までに経験したことのない症状。深呼吸を数分やり、瞑想を10数分やって、やっとその症状を何とか無くすことができた。
 左腰から左膝裏にかけての痛み、その原因は間違いなく畑仕事。1日9時間(実働8時間)の多くを私は雲子座り(和式の)の体勢でいる。その体勢は腰にも負担があるが、また、腰から下の血行を不良にもしている。それが痛み、または痺れの原因であろう。
 体の不調は腰だけでは無い。私の右肘、右手首、両手の指の関節は正常では無い。このところ長い時間続けている土ほぐし作業。ヘラで土を掘り起こし、その土塊を両手で握って潰し、片手で握って潰し、さらに指で押し潰して細かくしている。土を掘り起こすのは右肘と右手首にダメージ、土塊を潰すのは両手の指関節にダメージとなっている。もしも右手が使えなくなったら大いに困る。私は、左手で箸を使う、歯を磨く、雲子の後の尻を拭くなどの訓練をしていない。むろん、腰が使えないことになったらもっと困る。
          

 畑の向かいには墓がいくつか並んでいて、時々それらの家人が掃除しに来る。一昨日水曜日、墓の一つを男性が一人で掃除していた。沖縄の墓掃除はたいてい清明祭と旧暦七夕の年2回が決まり、先祖思いの人ならば親の命日とか春秋の彼岸の日にもやるかもしれない。「親の命日かな?」と特に気にもせず、コツコツと土ほぐしを続けていたら、掃除を終えたらしいオジサン(たぶん私と同年代、なので堂々とオジサン)が、私が作業する近くまでやってきて、私に声を掛けた。「ちょっと話していいですか?」と。
  もちろん、断る理由は無いので、肯いて、畑の中へ招いた。「家に小さな畑があり、以前は親がやっていたが、体が思うように動かなくなって、今は自分がやっている。畑は難儀な仕事だ」と始まり、「前から見ているけど、やっと畑らしくなったね、最初は遊びでやっているんだろうと思っていたよ」とか、「友人が広い畑をやっているけど、機械使ってやっているけど、それを見ても俺には無理だなぁと思うよ」とか話し、「農薬使わないの?」とか「堆肥も入れないの?」とか「耕運機使わないの?」とか質問される。

 「見ていると、手作業で耕しているみたいだけど耕運機使わないの?」
 「初めはそれも考えたけど、年が経つうちにだんだん土が軟らかくなっているので、これなら手作業でできそうだと思って、耕運機購入は延期している。」
 「いやー、それはしかし、これだけの広さを手でなんて大変だよ。」
 「まあ、こうやって体を動かせば健康にも良いかと思って。」
  「いやいや、ゴボータンメーということもあるよ。」
 「ゴボータンメー?」・・・タンメーとはウチナーグチ(沖縄口)で爺さんのこと。私の痩せた体を見て、ゴボウのような爺さんを連想したのだろうかと思ったが、
 「知合いの爺さんにゴボウ作りを始めた人がいた。ゴボウを収穫するにはショベルで土を深く掘らなければならない。その作業がとても力のいる作業で、その爺さん、腰を痛めて早々と引退したんだ。あんまり無理すると、却って人生を早く終わらせてしまうよってことだ。」とすぐに説明された。仰ることはもっともだと私も思った。そこで考えた。腰に痛みがあったら、肘に手首に痛みがあったら、そのつど休憩を取ろうと決めた。
          

 記:2014.11.7 島乃ガジ丸


憧れの芋蔓式

2014年11月07日 | 通信-環境・自然

 倭国の芋(甘藷:サツマイモのこと)掘りをテレビで観たことがあるが、芋蔓を手繰っていくと芋が次から次と出てくる。これぞ芋蔓式、「芋蔓をたぐると次々に芋が出てくるように、一つのことに関連して多くのことが現れるさま」(広辞苑)とのこと。
 芋蔓式に芋を収穫することは沖縄では困難。私自身経験無いし、聞いたことも無い。沖縄の土は粘土質だ。蔓を引っ張ったら蔓がすぐに切れてしまう。粘土質の土は湿っていると粘土だが、乾くと石のように硬くなる。そんな土で沖縄の農夫は作物を育てている。
 全くの粘土を、耕したり、有機質改良材(腐葉土など)を混ぜたり、雑草の根によっていくらかほぐされたりして、畑の土は多少、粘土質から脱するが、それでも粘土、倭国のサラサラした土とは全然違う。「それでもいつかは芋蔓式に芋を収穫したい」と見習い農夫の私は夢を抱いている。芋だけでは無い。ニンジン、ダイコン、ゴボウなど地中にできる作物を、今はショベルで周りを掘って収穫しているが、それらも手で引けばスッと抜けるようにしたい、そのために、耕したり、草を乾燥させて土に混ぜたりしている。

  私が300坪の畑地を借り、なっぴばるを始めたのは一昨年の夏、最初に土を耕した時はとても硬かった。ショベルで掘り起こし、掘り起こした土の塊をショベルの先で突っついて細かくする作業であった。ショベルの先でも歯の立たないほど硬い塊もあった。「こりゃあ、手作業では無理だぜ」と耕運機を買うことにし、そのため車を耕運機を載せられるような車種に買い替え、耕運機を保管できる物置まで建てた。
 畑を始めて2年が経った。12ある畝の中には1回しか耕したことのない箇所もあり、そこはまだ硬い。土をほぐすにはショベルを要する。ただ、数回耕した畝もあり、そこは片手で使う小さな農具ヘラで掘り起こせる。掘り起こした土の塊は手で握って崩すことができる。「こりゃあ、手作業でも何とかなりそうだ」と、耕運機購入は延期した。
  そして、畑の土をヘラで掘り起こし、手の力でほぐす、その作業をこの一ヶ月続けた。ヘラで掘り起こし手でほぐす作業はしゃがんでやる、いわゆる雲子座り(和式の)だ。この姿勢は腰に大きな負担となる。ヘラで土を掘り起こす作業は右肘、右手首に大きな負担となる。土塊を手でほぐす作業は両手の指の関節に大きな負担となる。というわけで、私は今、腰、右肘右手首、両手の指が痛い。9時間(実働8時間)その作業を続けた日などは、家に帰って料理をする際など、鍋を持ったりするだけで傷みが走る。

 この約一ヶ月間で、4畝(1畝約3坪)の土ほぐし作業をやり、昨日木曜日でやっと終了した。時間がかかったのは雑草であるコウブシ(ハマスゲ)の地中の芋の除去、チガヤの根ごとの除去などもやったからだが、もし、私が若い頃ならもう少し早くできたかもしれない。若い頃なら無理をしたに違いない。今は若くない。体を壊したら元も子もないと思って無理はしない。ゆっくりやっている。それでも、筋肉は悲鳴をあげている。
 筋肉は悲鳴をあげているが、それでも土ほぐし作業を続けた。休憩時間にストレッチをやり、家に帰ってからもストレッチをやり、何とか老いた筋肉を奮い立たせ、毎日コツコツと土ほぐしを続けた。私にそんな努力をさせている理由が芋蔓式なのだ。
 一昨年より昨年、昨年より今年と土は間違いなく軟らかくなっている。それが私の希望の光、さらに続ければいつかはと、芋蔓式に憧れて私はコツコツ耕している。
          
          

 記:2014.11.10 島乃ガジ丸


ツマグロスケバ

2014年11月07日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 謙虚なスケバ

 11月になって沖縄も涼しくなった。私もタオルケットだった寝具が薄手の掛け布団に代わっている。気持ち良く眠れて、ぐっすり睡眠ができて幸せ。
 ぐっすり睡眠はたっぷり睡眠にもなって、この1週間は夜9~10時頃に寝て、朝5時頃に目覚めている。そして、まだ薄暗い6時半頃家を出ている。その時刻、車はライトを点ける。畑に着くのはだいたい10分後になるが、その時はもうライトは要らない。

 この時期、畑の虫の数も春夏に比べればずっと少ない。今目立っているのはサクナ(ボタンボウフウ)の花に群れているキンバエやキアシナガバチ、畑の上をくるくる回っているウスバキトンボ、相変わらず数の多いマダラバッタなどバッタの類。
 春夏にたくさんいたイモサルハムシ、ツツサルハムシ、ウリハムシなどのハムシ類、ホソヘリカメムシやクチブトゾウムシなどは、今は全く見えない。夏煩かったセミももういない。テントウムシの類も、探せばいると思うが目立たなくなった。全体に虫の数が少なくて、よって、この頃は「やあ、初めまして」とな る虫がほとんど見つからない。

 私の畑なっぴばるにやって来て「やあ、初めまして」なった虫、今年だけでもたくさんいる。何者か判ったものだけでも40種を超えている。ツマグロスケバもその中の一つ。初めテングスケバかと思って無視していたが、じっと動かずにいるのをよく見たらテングスケバとはどこか違う。謙虚なのだ、謙虚?・・・鼻が高くないということ。

 
 ツマグロスケバ(端黒透羽):半翅目の昆虫
 テングスケバ科 本州~九州、沖縄島、石垣島、西表島湾などに分布 方言名:不詳
 名前の由来は『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「翅は透明で、前翅端に幅広い翅端に暗褐色紋があり」とあり、「翅は透明」からスケバ(透羽)、「前翅端に幅広い翅端に暗褐色紋があり」からツマグロ(端黒)とついたものだと思われる。
 体長は翅端まで11~15ミリ。アカメガシワの枝に多いとのことだが、各種樹木でも見られるとのこと。成虫の出現時期は5月から12月。
 テングスケバ科ではオキナワテングスケバが沖縄にいて、本種とよく似ているが、本種はオキナワテングスケバほど顔は尖っていないので区別できる。
 
 横から

 記:2014.11.4 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行


クモヘリカメムシ

2014年11月07日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 細い脚

 女子に向かって「ブス」と言ったことも、「ブタ」と言ったことも、たぶん、小中学生の頃にはあったと思うが、「女子は愛する者」と思うようになった高校生以降はきっと無い。ただ、「ダイコンあし」と言ったことはあるかもしれない。しかし、私の言う「ダイコンあし」は褒め言葉だ。「ダイコンのように白いね」と捉えて欲しい。
  そもそも、今主流のアオクビダイコンはそう太くない。そう細くもないので「適度な太さの白い脚」を指して「ダイコンあし」と捉えて良い。そもそも、ゴボウのように細い脚よりはアオクビダイコン程度の脚の方がずっときれいだし色っぽい。
 私自身は痩せているが、私の好みとしては、女性は痩せているのも太っているのも良く無くて、中肉中背を好んでいる。私自身はスポーツをやらないが、アスリートのような筋肉質タイプの女性が理想だ。動くことを苦にしない人、畑仕事もやるだろう。

  細い脚というと、タレントでは誰がいるだろうか?テレビを観ないし、以前観ていた時も女性の脚に注意を向けたことがあまり無い(胸には注意を向けていた)ので、誰?といっても思い浮かばない。古い人なら、浅丘ルリ子とかだろうか。ファッションモデルの人には細い脚が多いかもしれないが、ファッションには全く興味の無い私なので、ファッションモデルの人を知らない。唯の一人も思い浮かばない。
 虫の世界には細い脚はいくらでもいる。特に蝿、蚊、虻、蜂の仲間にはわんさかいるので、ここではいちいち挙げないが、虫の中では比較的脚の太いカメムシの中にも細い脚の種がいた。その脚の細さからだと思われるが、名前に蜘蛛とついている。

 
 クモヘリカメムシ(蜘蛛縁亀虫):半翅目の昆虫
 ホソヘリカメムシ科 本州~南西諸島、中国、マレーシアなどに分布 方言名:フー
 名前の由来、カメムシは「頭部の突き出た形がカメに似ていることから」(広辞苑)、胴の横の部分に平たい縁(ヘリ)がついているのでヘリ。クモについては資料が無いが、体は細長く、脚も細長いことから見た目がクモに似ているといことであろう。
 体長は15~18ミリ。寄主はイネ科植物でメイシバ、タチスズメノヒエなどによく見られるとのことだが、イネ科作物の害虫としても知られているらしい。
 沖縄各地に普通に見られ、西表島、与那国島、尖閣諸島には近縁のタイワンクモヘリカメムシが分布するとのこと。成虫の出現は周年。
 
 横から

 記:2014.11.2 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行


シロヘリクチブトカメムシ

2014年11月07日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 四角い顔

 名優渥美清といえばフーテンの寅、『男はつらいよ』が真っ先に思い浮かぶが、私が子供の頃、『泣いてたまるか』というテレビドラマがあって、子供の私にも人間の切なさが伝わるドラマで、渥美清といえばそれもまた思い出す。不細工な顔でいかにもモテない男が、電車の中で美女の大きなおっぱいを見て、つい触れてしまい、痴漢で警察に捕まってしまうという一話を覚えていて、おっぱいを見ている渥美清の目を思い出す。
 渥美清を不細工な顔と書いたが、形だけ見るとそうかもしれないが、味のある顔と言い換えても良い。魅力的な顔だ。渥美清といえば顔のどこかに目立つほくろがあったこと、目が細いこと、四角い顔であったということなども思い出す。

  顎がとても細くて、その分、口が小さくて、その小さな口の中に成長する歯が収まらなくて、それで歯並びが悪いのでは?と思われる人が最近の若い人たちの中に見たことがある。角張った立派な顎はモテないからという理由か、小さい頃から硬いものを食べなかったせいなのかは不明。渥美清の口が大きかったかどうかはよく覚えていないが、少なくとも顎は広く角張っていた。それで、顔の全体の形が四角く見えた。
 シロヘリクチブトカメムシも四角い顔をしている。彼の口をマジマジと見てはいない。何しろ小さいのでどこが口かもよく判らない。でも、その名前から想像するに、口は大きいと思われる。口が大きいから顔も四角くなったのかもしれない。

 
 シロヘリクチブトカメムシ(白縁口太亀虫):半翅目の昆虫
 カメムシ科 国内では九州~沖縄に分布 方言名:フー
 名前の由来は資料が無く不明。この種は私が頼りにしている文献『沖縄昆虫野外活用図鑑』に無く、ただ、キシモフリクチブトカメムシの頁に「クチブトカメムシの仲間としてシロヘリクチブトカメムシ・・・が記録されている」とのみある。私の写真を見ると、縁が白っぽい、で、シロヘリ。クチブトについては、キシモフリクチブトカメムシでも口太としたが、本種もまた、口が太いかどうか写真では確認できない。
 体長は12~15ミリ。出現時期について資料は無いが、キシモフリクチブトカメムシと同様だろうとし周年。寄主についても資料は無い。雑草に生息するとだけあった。
 
 追加:2016年8月に畑で撮った写真

 記:2014.11.2 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行