ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

平和の権化

2013年11月15日 | 通信-社会・生活

 朝起きるとすぐにラジオをオンにする。私は沖縄民謡が好きなので、それをやっている放送局を以前は聴いていたが、今年の3月頃からNHKにしている。NHKはニュースが多い、天気予報も多い、農夫はその日の天気が大いに気になる。
 畑仕事で、除草したり耕したりしている時はラジオを聴くことは無いが、大工仕事など畑小屋近辺で作業をしている時は聴いている。早い時間はやはりHNKだが、7時前からは民放に周波数を替える。ローカル放送局が情報番組をやっている。NHKは全国の、または九州地区の天気予報だが、こちらは沖縄地方の天気予報だ。より詳しい。
 家に帰るとすぐにラジオをオンにする。家に着くのは概ね5時前、民放のローカル番組を聴いている。そのローカル番組に午後6時15分頃から始まる5分間、童謡を聴かせてくれるコーナーがある。先々週だったと記憶しているが、そのコーナーで『手のひらを太陽に』が流れた。私も子供の頃から知っている好きな歌だ。曲が流れる前にアナウンサーが語ったことで、漫画家のやなせたかし氏が亡くなったことを私は知った。

  『手のひらを太陽に』の作詞者はやなせたかし。歌は1961年の発表で、その後、童謡のスタンダードとなったようで、私はたぶん、小学校の音楽の授業で覚えたと思う。やなせたかしが漫画家であることもたぶん、その頃知っている。確か、私が時々読んでいた雑誌、小学館の『小学○年生』の何年生だったかは覚えていないが、漫画家としてのやなせたかしをそれで知り、観て、読んでいる。優しい画風の漫画だった。
 やなせたかしといえば、私にとっては『手のひらを太陽に』だが、一般にはアンパンマンであろう。アニメ『それいけ!アンパンマン』のテレビ放映が始まったのは1988年とのこと。その頃はもう私は大人で、社会人として数年が過ぎていた。それでも、『それいけ!アンパンマン』を観る機会はあった。アンパンマンは友人の子供たちが大好きで、そのお付き合いで私も観たと思う。「良い漫画だ、さすがやなせたかしだ」と思った。

 私が借りている300坪の畑ナッピバル、雑草を刈るのも、土を耕すのも手作業でやっている。耕す作業はしんどい。一度耕して作物を植えた箇所はまだ軟らかいが、新たに耕す箇所の土はとても堅い。鍬ではらちあかないのでショベルを使う。
  鍬を使うとあまり経験しないが、ショベルを使うと頻繁に経験することがある。土中に潜んでいるミミズを切ってしまうのだ。切られたミミズを見るとあの歌を思い出す。「ミミズだーてっ、オケラだーてっ、アメンボだーてー、みんなみんな生きているんだ、友達なーんーだー」、それをぼそぼそ歌い、申し訳ないと思いつつ作業を続ける。
 ちょっと自慢するが、私はゴキブリ、ハエ、カ以外の虫を殺そうと思って殺すことはない。害虫を見つけたら摘まんで、畑の外に捨てている。知らぬ間にカタツムリを踏み潰してしまうことがあるが、カタツムリもミミズも不慮の事故だと諦めている。
 ゴキブリ、ハエ、カについては、私は確信犯である。体にたかるカ、食べ物にたかるハエなどは叩き潰し、家の中に入ってきたゴキブリは即殺する。ゴキブリはバイキンの塊だと信じているからだが、そんな私と違い、やなせたかしはバイキンも殺さない。『手のひらを太陽に』には平和を感じるが、アンパンマンも平和だ。「ミミズもオケラもアメンボも、そしてバイキンも友達にする」やなせたかし、平和の権化だと思う。合掌。
          
          

 記:2013.11.15 島乃ガジ丸