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科学と文芸を融合した仮説作品「風雅のブリキ缶」姉妹篇。街で撮った写真と俳句の取り合わせ。やさしい作品サンプルも追加。

靖国神社、「歴史の都合のいい部分」(アラン・コルバン)

2005年11月24日 20時42分10秒 | 「ハイク缶」 with Photo
 今朝の朝日新聞にフランスの歴史学者アラン・コルバンへのインタビューが載っていた。コルバン氏いわく、「心配しているのは、歴史の知識が失われた社会では真実を見る目も失われてしまうことだ。たとえば政治家は自分を歴史上の人物になぞらえたり、歴史の都合のいい部分を引き合いに出したりして行動を正当化する。そうした危険を見抜くこともできなくなる。現在を距離を置いて見るためにも歴史の力は欠かせない」。
 毎年、靖国神社を参拝すると誓った小泉首相は、別の場面で自分(政治行動)をガリレオ・ガリレイにたとえたりもした。ガリレオは実証的な天文観察から地動説を得て、結果、宗教裁判にかけられた。もっと正確には、1632年に出した『天文対話』で、天動説を徹底的に論破したガリレオは、翌年、ローマで宗教裁判にかかり、異端誓絶(せいぜつ)を強制され、フィレンツェ郊外のアルチェトリ村の自宅で幽閉生活を余儀なくされた。そして、ガリレオは、光を失った。長年の望遠鏡観測がたたって失明したのだ。1642年1月8日、弟子で後にガラス管に人工の真空を初めて作り出したエバンジェリスタ・トリチェリに看取られながら、ガリレオは亡くなった。
 晩秋に暮れゆく靖国は、歴史なのか、「歴史の都合のいい部分」を代表しているのか、考えてみなければならない。

 靖国に歴史の都合問う秋  頓休
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