折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

高山植物を愛でる旅 その1 1日目「 色のない世界」

2009-08-04 | 友達・仲間

高峰高原(たかみねこうげん)は、上信越高原国立公園や湯の丸・高峰自然休養林に属しており、浅間連峰の北側に位置し、長野県小諸市の北部にある標高2,000mの高原地帯である。車坂峠を中心とした比較的なだらかな地形。6月から9月にかけて、高山植物が多く見られる。
1日目は濃霧に隠れて全く見ることができず、この写真は2日目に撮影



先日、いつもの小・中学校の同級生の幼なじみたち4人で長野県小諸市にある高峰高原に今が見ごろの高山植物を見に行って来た。

1日目

<無言のプレッシャー>
大雪山系トムラウシ山での中高年パーティの遭難事故以来、中高年の登山には周囲から厳しい目が向けられている。

今年1月の宝登山を皮切りに毎月行っている小・中学校の同級生の幼なじみとの山歩きも、例外ではない。

特に今回は初の泊りがけの山歩きで、しかも、戻り梅雨を思わせる不順な天候と相まって、黙ってはいるが、かみさんのプレッシャーを肌で感じる。この会のリーダーであるKくんのプレッシャーたるや相当なものがあるだろうと同情する。

他のメンバーもどこも事情は同じ見たいで、集合場所で顔を合わせるなり、異口同音に「雨だったら、登るのは止めよう」と言う言葉が挨拶代わりであった。

あんな大きな遭難事故があったばかりで、全くの素人が好奇心に任せて山に登ろうというのだから、かみさんたちが「過敏症」気味になるのはむべなるかな、と余り逆らわない。

<アバウト>
AM6:30出発。
出発時の天気は曇り、しかし、長野県に入ると篠突く雨。
早々とその日の登山の中止を決定、2日目に予定していた別所温泉にある「北向観音」に向かう。

ここで納経帳にご朱印をもらうと、昨年の秩父34か所観音巡礼が晴れて「満願」となるのだ。

北向観音を出発する頃になると、雨雲が切れて晴れ間が広がり、夏の太陽が顔を出す。そうなると、さっき「取り止め」と決めたばかりの決定がぐらつき出して、結局は現地にまで行って状況を見た上で再度決めようということになる。

朝令暮改と言うか、臨機応変と言うべきか。この辺りは、ツアー旅行と違って実にアバウトである。

<色のない世界>
地上は太陽が照っていても、山はそうとは限らない。
小諸ICからチェリーパークラインを通って車坂峠(1,973m)に向かう山中で濃い霧が湧き出す。
高峰温泉前登山口では、あたり一面白い壁。


あたり一面の霧の中に浮かび上がるニッコウキスゲの群落


色のない世界の足元にニッコウキスゲの群落がかろうじて見える。
墨絵のような、幻想的な眺めである。

<悪コンディション>
ここで再協議の結果、当初予定していた水ノ塔山(2,202m)、篭ノ登山(2227・2m)のトレッキングは取り止めて、山裾に作られているクロスカントリーコースを歩くことにする。

道は比較的平坦だが、これまでの長雨で歩く道はどろんこ、見る見るズボンが泥だらけ。

           
           水溜りの悪路が行く手を阻む。


この間、高山植物に関して博識なKくんの説明に耳を傾け、それぞれ思い思いに写真を取りながら、足元に気をつけて、ゆっくりと歩く。

2時半過ぎ、池ノ平湿原に到着。
本来ならば、木道歩きの足元に色とりどりの草花が咲き、広々とした湿原とそびえる峰々を一望できるはずだったが、霧はますます濃くなり、帰路はとうとう雨が降り出す始末。

            
            木道を傘をさして歩く。

3時半を過ぎて温度も下がって来る。
雨が合羽を通して肌にしみて体温を奪う。

一瞬、皆でトムラウシ山での状況に思いをはせる。

疲労困憊して高峰温泉前登山口まで戻って来て、帰りのバスの有無を聞くと、シャトルバスが運行されるのは土日だけとのこと。
時間は4時に近く、ここから車を駐車している車坂峠までは1時間半はかかる。
小休憩して、気力を振り絞って下山。

<ペンション『のりさんち』>
6時頃宿泊場所のペンションに到着。
先ずは、一同ほっと一息つく。


「のりさんち」と言うちょっと変わった名前のペンションは同行した幼なじみのMくんの親戚筋の人が経営しているとのことで、彼に頼んで予約を取ってもらった。

約26,000歩ほど歩いて来たので、夕飯のフランス料理の何とおいしかったことか。

ペンションのオーナーが差し入れてくれたワイン(白)と生肉の燻製がうまくマッチしていて絶品で、ワインは余りにもおいしかったので、おみやげに購入した。

ひと風呂浴びて、皆で雑談。
10時就寝、1日目を終える。



信州小諸軽井沢 ログカントリーペンションのりさんち
お問合せ:ペンションのりさんち
〒384-0805 長野県小諸市己104-2
TEL/FAX:0267-22-5112 Email:infomation@norisanchi.com

一人の「紳士」として遇す~続・名門ゴルフ場「セントアンドリュース」でアポなしプレーした漢(おとこ)

2009-08-01 | 友達・仲間
前々回7月22日付ブログでゴルフの聖地スコットランドの名門セントアンドリュースオールドコースで予約なしでプレーした大学時代の親友Hくんの話を書いた。

そのHくんから先日「ゴルフの聖地巡礼一人旅」と題する冊子が送られて来た。

表紙込み14ページ。
14日間にわたるゴルフの聖地巡礼一人旅の様子が詳細に書かれている。

                
Hくんから送られて来た冊子。
自信をつけた5回目のバンカーショットが表紙を飾っている。
私に付いてくれたキャディさん、2回しくじるのを黙って見ていた後、バンカーの出し方も教えてくれ、
私が自信をつけた5回目のバンカーショットの際に私のデジカメで写真まで撮ってくれましたが、
(本文より)


初めて訪れる地。
右も左もわからぬままの一人旅は、それこそハプニング続出の想像を絶する困難な旅だったこと、これを読むと彼がこの旅に「巡礼」と言う言葉を使った意味が良く分かる。

同時にそんな彼に暖かい手をさしのべ、励まし、勇気を与えてくれた現地の多くの人々の善意に感謝、感激したことも良く読み取れる。

小生が前回のブログで名門セントアンドリュースオールドコースを予約なしでプレーできたことについて、下世話な推測を書いたが、送られて来た旅日記を見ると事の真相は次のようであるようだ。

以下、その部分について彼の文章を引用させてもらうと、

8日目:7月6日(月)
(前略)遂にやって来ました!勇気を振り絞り、あの荘厳なクラブハウスに足を踏み入れました。案の定、門前払いでした。
予約のないグループがキャンセル待ちで毎朝通って来るが、この時期中々入れないという。
私は、「2万キロ彼方の日本からたった一人でやって来て、ゴルフの聖地巡礼の旅を続けています。オールドコースでプレーすることなく帰る訳にはいきません。私の長年の夢を実現させるべく是非ご再考をいただきたい」

I came here on my own all the way from Japan 20 thousands kilometer away and keep on a pilgrimage to the birth place of golf. I can never allow myself to go back home without playing in Old Course. Would you please give it a second thought to make my years’dream come true?

少し格調の高い表現を使いました。一人旅をaloneとせずにon my ownという副詞句で表現しました。この一人旅という表現により私の扱いが変わったように思います。それは、後述のターンベリーでも効果を発揮しました。(以下略)



英国は「紳士」の国であり、ゴルフはその紳士の国を象徴するスポーツである。

「紳士には、紳士の礼をもって遇する」
英国の古き良き伝統である。

Hくんの言によれば、ゴルフのプレーを許可した際、ゴルフ場サイドの人はHくんを「リアル サムライ」と評したとのことである。

「セントアンドリュース・リンクス・トラスト」は、2万キロ彼方からはるばるとゴルフバックを担いでたった一人でやって来たHくんの心意気の中に、そして英語の表現力の機微をわきまえて交渉するHくんの知性教養の中に古き良き時代の「紳士」の資質を見いだし、オールドコースでプレーするにふさわしいと認め、一人の「紳士」として遇したのである。

セントアンドリュースの名門としての矜持が如実に示されているのではなかろうか。

最近はセントアンドリュースオールドコースでのプレーを希望する日本人が増えて、中には英国紳士の神経を逆なでし、眉をひそめさせるような輩もいるやに漏れ聞く。

そういう意味では、名門ゴルフクラブにとって今回のHくんの行動は一幅の清涼剤のように映ったのだろう。