折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

「タンノイオートグラフ」試聴記~Iさん30年来の「夢」を実現

2012-10-08 | オーディオ談笑会
30年来の「夢」がかない、あるべき場所に納まったタンノイオートグラフ。1台の重量が100㎏になるタンノイオートグラフ、30年前、家を建てる時、事前に床の下地をコンクリートで補強していたというから、その思い入れの深さには脱帽である。


オーディオ談笑会の仲間の一人であるIさんが3年かけて自作に取り組んでいたタンノイオートグラフのスピーカが目出度く完成したと言うので、同じくメンバーの一人であるMさんと蓼科にあるIさんの別荘に泊りがけで聴きに行って来た。

以下は出来立てほやほやのタンノイオートグラフを目の当たりで聴いた感想を会話風にまとめて見た。

―音楽を心ゆくまで堪能し、癒され、リフレッシュした楽しい2日間だったね。

―自作のタンノイオートグラフの出来栄えにIさんの並々ならぬ思い、執念を感じたね。

―執念と言えば、Iさんはこのスピーカの完成までに3年を費やしているが、彼に聞いたところ、実はこの別荘を建てた30年前に、タンノイを置けるように部屋の補強を事前にしていたと言うのだから、驚いたよ。

―そうなんだ、3年ではなく30年越しの「宿願」というか「夢」だった訳だ。だから、一つ一つの作業の仕上げに魂がこもっているんだ。

―エンブレムの製作一つとっても、素材に真鍮やマイナスのビス止めを使うなど、こだわりというか思い入れがこもっているよね。

―その凝りようったら常人の域を超えてるよね。

―夢がかなって感無量だろうね。

―肝心の音だけど、どうだった。

―一言で言うとマイルドで聴きやすく、疲れない音、という印象だね。

―音作りのポリシーが、マニアックに音を追及するのではなく、音楽を聴くための音作りに徹している姿勢が素晴らしい。

―モーツアルトのヴァイオリンソナタがスピーカから流れた時、演奏者が目の前で弾いているように浮き出てきたのには、正直、はっとしたね。

―遠山慶子さんが弾くピアノベーゼンドルファーインペリアルの音の特徴が良く出ていた。

―MJQカルテットが演奏したジャンゴ。ビブラフォンの音が生々しく再現されていて鳥肌が立つた。

―クリフォード・カーゾンが弾いたモーツアルトのピアノ協奏曲。瑞々しく、艶やかなピアノ、オーケストラの弦の音が実に美しく鳴り響いて、恍惚となった。

―「声」のソースはセリーヌ・ディオン、中島みゆき、ブラザース・フォアの3枚のCDを聴いたけどどうだった。

―これは素晴らしいというのはなかったが、特に悪いと言うのもなかったんじゃない。セリーヌ・ディオンの「オペラ座の怪人」には期待してたんだが・・・・・。

―やはりソースを選ぶのかな。

―今回は、テープの音とCDの音、石のアンプと球のアンプの音、同じ曲を違う楽器で聴き比べるなど色々な聴き比べをしたのが面白かった。

ラックにズラリと並んだテープデッキ、圧巻である。


―テープとCDの比較は、ベートーヴェンの交響曲第6番『田園』をショルティー指揮シカゴ響で聴いたが、微妙な差かもしれないが、テープの音は柔らかで、奥行きを感じさせ、CDの音はクリアーで音の分解能力のよさを感じさせてくれたように思ったね。

―石のアンプと球のアンプは、美空ひばりの「悲しい酒」を幸田聡子さんのヴァイオリンで聴いたけど、違いは、テープとCDの違いと同じで、石の方がシャープ、球がマイルドだったね。

  Iさんが自作した石のアンプ(左)、Iさんが通常使用している球のアンプ(右)

―楽器の違いは、ギターの山下和仁、ヴァイオリンのオスカー・シムスキーが、バッハの無伴奏パルティータをそれぞれ弾いたのを聴いたが、ギターがしっとりと理知的に、ヴァイオリンが華麗に情熱的に演奏していたね。

聴き比べに使用したバッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータのジャケット。


―ギターは弦をはじく、ヴァイオリンは弦をこすって音を出す、その演奏方法の違いが音の違いと言えるかもね。

―音のボリュームの上げ下げによる音の変化も大きかったね。

―きっかけは、幸田聡子さんのヴァイオリンを聴いた時、音が奥に引っ込んでいて、音の輝き、生気が感じられなかった。ひょっとしたら、ボリュームが低いのが原因かなと思ってヴォリュームを上げたら予想どうり、ガラッと音が変わった。

―音が生々しく、艶やかになったのが一聴してわかった。

―聴く音量は人によってそれぞれ好みがあるんだろうけど、小さすぎても、大きすぎても再生音に影響があると言うことが、よくわかった。

楽器の能力をベストに再生する音量、このことが大切だということだね。

―2日目に聴いたカラヤン指揮ベルリンフィルが演奏したシューベルトの交響曲第8番「未完成」のテープは今回の2日間のハイライトだったね。

―このテープは、今から37年前にカラヤン・ベルリンフィルが来日し、NHKホールでの生中継をエア・チエックしたものを今回Iさんに提供したんだが、こうして37年ぶりに聴いて見ると実に感慨ひとしをだね。

―生中継だけあって実に生々しく素晴らしい音になってるね。

―カラヤンの悠揚迫らざる演奏に胸を打たれるね。聴いていて涙が出る思いだった。

―その名演と最善を尽くした録音、そしてその音の出口となるのがタンノイオートグラフ、この3者が一体となって稀有の感動をもたらしたのだと思うよ。

―この演奏は市販されていないそうだから、このテープはお宝ものだね。

―それから、これは余談だが1日目、2日目に食べた昼食が絶品だったね。

  1日目のうなぎ屋さん、2日目のそば屋さんともに行列ができるお店だった。「食欲の秋」を満喫した。

―Iさんが地元の人に顔が広いので、良い食べ物屋を紹介してもらえた。

―「文化の秋」、「食欲の秋」の両方を満喫した2日間だった。

―Iさんには、感謝、感謝だね。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿