折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

『黒目川』今昔

2010-02-10 | 雑感
先日の朝、いつものように愛犬のパールと黒目川遊歩道を散歩していると、川面をかすめて飛ぶ影が、小生から数メートル先の枝に止まった。

何と、それは背中の水色が鮮やかなカワセミであった。


数十年振りに目にしたカワセミの姿に興奮。
そっと、カメラを取り出して、何とか1枚撮影できたが、すぐにどこかへ飛び去ってしまった。



カワセミの姿は、友人のブログ(showbinの『川蝉徒然日記』http://hiromu3.blog98.fc2.com/)で毎日のように見ているのだが、実物を見るのは子供の頃、田舎の川で見て以来である。

『えェ!こんな場所にカワセミがいるの!』と信じられない思いと、新鮮な驚きで息をつめて見つめてしまった。

そして、カワセミが棲めるほど黒目川の水質が良くなったのだ、と改めて実感した。


当市に住んでかれこれ40年になる。
そして、我が家から黒目川までは歩いて約10分の距離である。

黒目川は、高度成長期に周辺部の宅地化が急激に進み、それによる生活用水が流入し、汚濁が著しく、水質が悪化、魚も住めない川となってしまった。

その後、下水道網の整備が進んだことや、もともと湧水が多いことなどから水質は大きく改善され、市のデータによると直近の黒目川の『生物化学的酸素要求量(BOD)』の年度平均値は1・4ミリグラムとアユが生息可能とされる3・0ミリグラムを下回っているとのことである。(因みに、同じく市のデータによると昭和47年と昭和59年のBOD値はそれぞれ27・6、24・0ミリグラムだったとのことで、この数字が一桁になったのは平成9年度(7・8)とのこと。)

今では黒目川は、水も河床もきれいで、コイ、フナ等の魚類や、サギやカモやその他沢山の野鳥たちが生息し、われわれの目を楽しませてくれている。

また、全長400メートルに及ぶ桜並木は、桜の季節には大勢の花見客で賑わう観光スポットであり、そして、遊歩道も整備されて、今やなくてはならない、市民の憩いの場所となっている。

そして、それはそれで喜ばしいことではあるが、そのことが新たな環境汚染につながらないか、いささか不安である。

即ち、人が大勢集まることによる『ゴミ汚染』の問題である。

現に、毎朝この遊歩道を歩いていると、ごく一部の心ない人たちが投げ捨てた空のペットボトルが川岸に浮いて漂っていたり、コンビニのビニール袋が河床にへばりついていたりする様をしばしば目にする。


 
投棄され河床に沈んでいるゴミ。(写真左) ゴミを集める人―週末毎に、川岸のゴミを集めて回っている人を朝の散歩時に見かける。(写真右)


水質汚染は、高度成長に伴う急激な宅地化にインフラが追いつかなかったという経済的要因によって引き起こされたもので、当時の状況としては無理からぬものがあったかも知れない。

だが、ゴミ汚染は我々の単なるエチケット、モラルの問題に過ぎない。

せっかくきれいになった川の環境を人間の身勝手、エゴで再び汚染する愚は何としても願い下げにしてもらいたい、黒目川遊歩道を毎日利用させてもらっている一人として、切にそう願う次第である。