折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

『音』談義~『ライブ』の音と『音響機器』の音

2007-10-18 | オーディオ談笑会
今回も前回(10月14日付ブログ『夢』への第一歩)に続き『オーディオ談笑会』に関する話題である。

Kさんの『夢』の話が一段落したところで、もう一人のメンバーであるMさんに
『どうだった、中島みゆきのコンサート、大阪まで行って来たんだろう』と話題を振ると、
『そうなんだよ、行って来た、行って来た、すっごく良かったよ』と待ってましたとばかりに興奮の体で話し出した。

『実は、20数年来の彼女のファンでね、一度コンサートにぜひ行ってみたかったんよ。でも、チケットはファンクラブ優先の抽選だろう、どうせ当たらないと思ってたら、それが当たっちゃってね。だけど、場所が大阪だろう、娘に話したらお父さん、プラチナ・チケットだから行ってお出でって言われてね。大阪まで行っちゃった。』

『いや、ライブはいいよ。中島みゆきの〖おしゃべり』と〖歌』を堪能して来ちゃったよ。歌は勿論だけど、おしゃべりも例の《地上の星》のヒットでファンの平均年齢がぐっとあがっちゃたなんて話も交えて楽しかったよ』

『演出も彼女自身がやっていてね、楽器の編成なんかにしても実に考え抜かれていて、素晴らしいの一語だね』

『まだその時の雰囲気が濃厚に記憶に残っていてね、今日(10月6日)はKさんのリスニングルーム改装の杮落としに、今月の3日に発売になったばかりの彼女のオリジナルアルバム〖I Love You, 答えてくれ』を持って来たんよ、ぜひ、まだ生々しく覚えている〖ライブの音〗との違いをじっくりと聴いて見たいんだよな』

と言う訳で早速、新装成った音響空間へと一同移動する。
先ず、本チャン前のチューニングをかねて小生が持参した押尾コータローの〖ボレロ〗を聴く。

『Kさん、ちょっと低音が出過ぎとちがう?』とMさん。

『タンノイのオートグラフというのはね、一癖も二癖もあるスピーカなのよ。その調節がこのスピーカを使いこなすコツなんだ。うまくいくと、それは、それは体がぞくぞくするほどのサウンドで鳴ってくれる訳。
今は、60~120Hzくらいにかけて10dBほど上げて低音を少し盛り上げてるんだけどね。僕としては、ベストだと思ってるんだ。』とKさん。

早速二人の間で『音談義』が始まった。

『今日、俺、都合があって中座するので、本チャンを聴こうよ』と小生が提案、いよいよ本番のオリジナルアルバム〖I Love You, 答えてくれ』を聴く。

            
           <当日聴いた中島みゆきのCD> 斬新なジャケットが印象的


最初にタイトル曲になっている〖I Love You, 答えてくれ』を聴く。

『さっきも言ったんだけど、ついこの間(10月4日大阪フェスティバルホール)のことだからライブの音すごく覚えてるのよ、だから今聴いて見ていくつか違うなと思うところがあるわけ、例えばドラムの音、ライブの音はすごくクリアーなんだけど、今聴くと何かもやっとしてるんだよね』

『サックスの音も今聴いた限りでは、ボーカルにかぶって聴こえてるんだけど、ライブでは明らかに別々に聴こえてくる、勿論、ライブだから当然なんだけどね』

『中島みゆきの声はどうなの、ここで聴くのとライブではやっぱり違いがあるの』と小生。
『いや、声はそんなには違わないね、マイクを通してるからだね、きっと』

『さっきも、ちょっと言ったけどこのスピーカはソースを結構選ぶんよ、特にクラシックは低音は雄大に中音は気品溢れる音で、それは、それはご機嫌よく鳴ってくれるんだけど、ソースによってはご機嫌斜めになってみたり、暴れたりと大変なんだ。中島みゆきの曲などは明るくメリハリとパンチのあるJBLのスピーカがむしろ合っているのかもね』

『俺も、以前会社の後輩のKくんの〖邦楽演奏会』に行った時に感じたんだけど、ライブの音とオーディオの音とは、違う範疇で考えなければいけないんじゃないかと思ったよ。何んてったって、目の前に生身の演奏者がいるというのは決定的だよね』と小生。

『いくら録音技術やオーディオ機器が進歩したと言っても、そこは電気的に変換された世界、ライブの音の世界とは違うわね。オーディオの音にライブの音の100%再現を求められてもね・・・・。それより、オートグラフにせよJBLにせよ、はたまたマルチスピーカシステムにするにせよ、生とは異なる別の音の世界であるけど共通するのは、素晴らしい演奏は生はもとより、音響機器を介して聴いてもやっぱり感動を与えてくれるということじゃないかな』

『悪い、悪い、そういう意味ではなくて俺はライブの音とオーディオ機器の音とは違うということが今聴いてはっきりとわかったと言いたかったわけよ』とMさん。


この日、前述のとおり緊急の用事ができて小生はここで中座したのだが、この後もしばらくこの論議は続いたらしい。

後日、Mさんがメールで知らせてくれたのだが、小生が帰った後、色々なジャンルの音楽を聴き、もう一度中島みゆきのCDを頭から通して聴いたらしい。すると、最初に聴いた時より音もシャープになり、広がりも出て後から聴く(時間が経つ)方が段々と音が変わってきたとのこと。

Kさんによれば、真空管アンプだから十分暖めないと本来の音がでない、やっといつもの音が出はじめたとのこと。

オーディオの世界はこれだから奥が深くて、面白いとのだと再認識し、やむをえないこととは言え中座したのが惜しまれた。

次回の『談笑会』の例会は、12月。

いつものとおりベートヴェンの『第9』がメインになるだろう。

2004年はクレンペラーの1957年11月15日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールにおけるライブ盤、2005年はカラヤンの1979年10月21日東京・普門館におけるライブ盤そして昨年はマタチッチの1973年12月19日NHKホールにおけるライブ盤といずれも白熱のライブ盤を聴いたが、今年の『第9』は誰の、どんな演奏になるのか今から楽しみだ。


Mさんとは30数年来の長い付き合いである。
実は、小生の結婚式の司会役を務めてくれたのも彼であり、ゴルフの筆おろしに連れて行ってくれたのも彼である。
一時期、転勤等の関係で付き合いが希薄になった時もあったが、リタイアしてからこのオーディオ談笑会を通じて親しい付き合いが復活した。
今度、今月と来月続けてゴルフを一緒に回ることになっている。20年ぶりぐらいになるだろうか、実に楽しみであり、その日が待ち遠しい。