折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

わが家の宝物

2006-09-13 | 仕事・職場
朝一番で小生の前の内線電話が鳴った。

社長からだ。

「おはよう。家の新築おめでとう。今日は、一緒にプレゼントを買いに行こう。」

「そんな、とんでも、ございません・・・・・。」

「では、昼休みに。」

「・・・・・・・。」



<新築祝いに頂戴した置時計>


昼休み


社長の秘書が呼びにくる。

「社長が車寄せで、お待ちです。」

「ええ、本当。」

上司のS課長、「早く行かなきゃ。」

大急ぎで車寄せへ、そして車は伊勢丹へ。


伊勢丹にて



「何か欲しいものはないかね。」と言われて、困ってしまい、モジモジしていたら、

「置時計にされたら。」と伊勢丹の外商担当のMさんが、見かねて声をかけてくれた。

それまでも、家電売り場、紳士服売り場とあちこち歩き回った末のことである。

「でも・・・・。」

「置時計か、いいね、うん、それにしよう。遠慮は無用だよ。家を建てるのは、男の一生の仕事で、誇るべきことなんだから。」

「でも・・・・。」

折角のご厚意なのだから、と再度Mさんからの助言。

そして、結局はこの置時計を頂戴したのだが、帰り際に、Mさんが小生に話しかけた。

「社員の新築祝いを買いに、社長がわざわざお見えになるなんて、見たことも、聞いたこともない。」と。



<結婚式の時に、頂いた時計>



この時頂いた置時計と結婚式のお祝いに頂戴した時計は、以来ずっとわが家の宝物、「家宝」となっている。

今から25年前、小生が入社以来15年間にわたりお仕えし、偉大な経営者として、また、滋味溢れる一人の人間として、心から尊敬し、お慕いしてやまなかった創業社長との、忘れえぬエピソードの一コマである。

その、創業社長がお亡くなりになって今年で19年になる。