ロシア軍がウクライナへの侵攻を開始してからまもなく5カ月目に入るが、主戦場のドンバス地域ではロシア系住民が多いうえ、重要なポストを抑えているため、ウクライナ側は思うように制圧できず、難航している。こうした状況下で、ウクライナのゼレンスキー大統領は7月17日、同国の検察庁と情報機関(保安局)のトップを更迭する強硬策に打って出た。
更迭されたのは、ウクライナ検察庁のベネディクトワ検事総長と、保安局のバカノフ長官の2人。その理由としてゼレンスキー大統領は、ロシア軍に制圧された東部ハリコフ州や南部へルソン州で、今も検察と内務局の職員らが職務を続けていることを「ロシアへの協力」とみなし、検察庁と保安局のトップに対し、国家反逆罪として責任を取らせたといえる。
この背景には、ロシアは自分たちが制圧した地域に親露的な「軍民行政府」を一方的に設置し、将来のロシア編入を先取りしてロシア化政策を進めていることがある。一方、ベネディクトワ検事総長はロシア軍による戦争犯罪の捜査を指揮しているが、ゼレンスキー大統領は検察庁による戦争犯罪の立件が遅いことなどに不満を抱いていたとされる。捜査・情報機関のトップ2人がそろって更迭された背景には、対ロシア対策を急がせようという狙いが込められている。
ウクライナは欧米からの軍事援助を背景に、反転攻勢に向けた動きを強めているが、時間が経過する度にロシアの軍事力や経済力が回復し、ウクライナとの差はどんどん広がっているのが実情だ。このためウクライナは起死回生の対応策を探っているが、米国をはじめとする西側諸国の支援も尻すぼみになりつつある。ゼレンスキー大統領による捜査・情報機関のトップ解任は、ウクライナの窮状を国内に伝え、政権内部を引き締めようという、窮余の一策といえそうだ。(この項終わり)
更迭されたのは、ウクライナ検察庁のベネディクトワ検事総長と、保安局のバカノフ長官の2人。その理由としてゼレンスキー大統領は、ロシア軍に制圧された東部ハリコフ州や南部へルソン州で、今も検察と内務局の職員らが職務を続けていることを「ロシアへの協力」とみなし、検察庁と保安局のトップに対し、国家反逆罪として責任を取らせたといえる。
この背景には、ロシアは自分たちが制圧した地域に親露的な「軍民行政府」を一方的に設置し、将来のロシア編入を先取りしてロシア化政策を進めていることがある。一方、ベネディクトワ検事総長はロシア軍による戦争犯罪の捜査を指揮しているが、ゼレンスキー大統領は検察庁による戦争犯罪の立件が遅いことなどに不満を抱いていたとされる。捜査・情報機関のトップ2人がそろって更迭された背景には、対ロシア対策を急がせようという狙いが込められている。
ウクライナは欧米からの軍事援助を背景に、反転攻勢に向けた動きを強めているが、時間が経過する度にロシアの軍事力や経済力が回復し、ウクライナとの差はどんどん広がっているのが実情だ。このためウクライナは起死回生の対応策を探っているが、米国をはじめとする西側諸国の支援も尻すぼみになりつつある。ゼレンスキー大統領による捜査・情報機関のトップ解任は、ウクライナの窮状を国内に伝え、政権内部を引き締めようという、窮余の一策といえそうだ。(この項終わり)