先頭の近づく気配があって、ただ見の人々が立ち始める。我々夫婦も立ち上がる。めっせで会った赤い花笠をつけたおばさんたちが、列を組んでコースを悠然とおどり始めた。ずっと、稽古をつんでこられているのだろう。なれた、おちついた雰囲気である。後ろ姿の腰つきなど、一瞬、色気を感じたりする。
いよいよパトカーの先導があって、二頭の馬。若い警察官の男女が騎乗している。 新鮮!
人馬のハーモニー、御所からの行列の最終地点らしい雰囲気もある。
明治維新から、時代をさかのぼっていく、生きた時代絵巻である。地元山科にお住まいという右隣のお人は、常連で、親切にも次々と解説をしてくださる。写真が好きでと、多くの作品を見せてくださった。
カメラの同好会にはいり、趣味三昧のお暮らしのようだ。顔色もよく、当方より、10歳も年上といわれるが、腰が痛くて、何度かしゃがみこんだ当方とは違って、まったくお元気で、シャッターを切り続ける。
戦争時代のことや、平和の大事さ、自治体市長の評価などなど、始めて会ったとも思えないほど、話が深まる。これもまた、祭りの魅力だろう。
行列をみながら、人間の営みの不思議さに思いがいたる。わかい娘さんたちの扮する歴史上の女性達の綺麗さは当然ながら、子供からお年寄りまで、年代層もひろく、いやいやをしながら、歩く馬の表情、落馬してしまった武将、まわりの心配。乗り直しての拍手。くたびれた表情を隠せない子供。写真撮影のために、観衆からの声掛けに応えて、ポーズをとる武将と歓声。なごやかである。
帰り道、学生アルバイトから、パンフレットを買う。500円という。笑顔のすてきな学生。言葉の感じから、日本人ではないと思って聞くと、ヴェトナム人だという。その笑顔がすばらしかった。