日本の戦争に、中心部分で関与する陸軍参謀本部に勤務していた瀬島龍三氏の著書であるが、元は、ハーバード大学からの要請によって、先の大戦の回顧をした講義録である。
瀬島氏は、陸軍士官学校、陸軍大学を優秀な成績(トップとか、2番だとか)で卒業して、陸軍参謀本部に勤務、終戦直前に、満州関東軍の参謀となったため、戦後、ソ連に抑留され、帰国後、伊藤忠に入社、商社員として、経営陣のトップに至った人である。瀬島氏は、先日、亡くなった山崎豊子さんの小説「不毛地帯」のモデルになっている。
この本は、ハーバード大学から、要請をうけてのが7月、講義が11月、わずか、4ヶ月でまとめられた講義録をもとに書かれた本である。
日本がどのようにして、大東亜戦争(マッカーサーがこの呼び名を禁じたため、太平洋戦争と一般には呼称されている。)に突入していったのか、簡潔に、しかし、そこには、聞いたことのない、詳細な事実が語られている。
著者の頭の良さ、問題点の把握の的確さ、瀬島氏の講演を聞いて、アメリカ側が、どのような反応をしたのか、知りたいところである。
結果として、敗戦となり、日本はすべての権益を失ったが、今の現状を考えるとき、人類社会が今後どのようにすすんでいくべきか、単に日本の問題だけではないことが示唆される。