このはなしは、1時間を超える。インターネットで、偶然に発見して、見入ってしまった。人情噺であるが、泣かされてしまった。
志ん朝のはなしぶりは、きちんとしていて、スムースで、完全に中味の世界に引きずり込まれていた。いかにも、江戸っ子にありそうな噺である。
、「お金を投げつけて逃げてきた、・・・」それがわからない、の夫婦げんかの場面。ふんぎりをつけて最初に金をさしだすまでの葛藤の場面など。感動的な場面が続く。
こういう世界は、日本だけのことだろうか。人情噺のようなことは、世界にもあるはずだが、あまり、聞かない。だとすれば、もっと世界にひろげたいものだ。
昨日の時代祭のおとなりの人もいっていたが、べっぴんさんが来ますよ、などと言いながら、人間のせいで世界は滅びてしまうような気がしている、とも。
人間社会の異常な面が、誰の目にもはっきりしてきているなかで、こういう古典話のなかに、貴重な教訓がある。
こうしたはなしの考え方は、おそらく、世界では常識的ではないだろう。義理や人情、人間としての弱さ、そして強さなど、人間社会で起きる健全な物語が、こんなに感動的なのは、人間社会の大事にしなければならない世界、みんなが生存できる世界、を展望しうると思う。