大震災の惨状は、テレビ画面でみて、まずその規模に驚く。死者、行方不明の方あわせて2万数千人にのぼる。
何もない状態でも、日本の場合、毎年自殺者数が、ここ10数年、3万人を越えているという。毎年、この大震災の犠牲者よりも多い数なのである。
この実態は、どう見ればいいのだろうか。
昨日、BSで、「トウキョウソナタ」をみた。黒澤清監督作品である。突然リストラを言われて、退職したサラリーマンと家族、同じ境遇になった学校時代の友人の生活、激変する生活の齎す惨状。
だが、これは、ドラマであるが、実態をよく反映している。小泉、竹中路線の帰結の実態。当然起こるべくして起こる労働条件の切捨て、弱肉強食論理の結果、あっけなく、「普通の生活」が破壊される。
労働者側に、戦いを起こす雰囲気もなく、共産党は、選挙のみの戦いだし、労働紛争は、活発には起こらない。マスコミも問題の切り込みをしない。労働官庁も積極的な動きをしない。
その結果、各所に、その事情の影響が広がる。自殺者数は、それらの総合計としての数字ではないか。
毎年、大震災が起こっているのである。我々は、どこから手をつけていくべきだろうか。
昨日というより、今朝早朝、やはりBSで、小説家の五木寛之さんのブータン旅行の番組があった。仏教国で、国民の幸福度が高いとされる国である。欧米流の文化を取り入れることに、慎重といわれる。国民は、温厚で、インタビューに、異口同音に幸せであると応える。
自然との付き合い、仏教の精神、考え方と生活との関係。多くのヒントがある。ただ、日本においては、日本の方向があるだろう。この大震災を契機として、本質的な、新しい方向性を切り開きたいものである。