ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『麦子さんと』

2013-11-02 15:19:54 | 新作映画
----『麦子さんと』って、
『ばしゃ馬さんとビッグマウス』
吉田恵輔監督の作品だよね。
「そう。
『ばしゃ馬さん~』も
“夢をあきらめること”を題材としたユニークな作品で
嫌いじゃないんだけど、
ぼくは、こちらを推したいな」

----“麦子さん”を演じているのが堀北真希だっけ?
「うん。
物語自体は、たいしたものじゃないんだ。

声優を目指して、専門学校への入学金をアルバイトで稼いでいる麦子は、兄・憲男と二人暮らし。
ある日、自分たちを捨てた母親・彩子(余貴美子)が突然舞い戻ってくる。
顔も覚えていない母との生活に戸惑う麦子。
『あなたのこと、母親だと思っていないから』。
ところがその母が、肝臓癌で急死してしまう。
兄に押し付けられて母の故郷へ納骨に行く麦子。
そこで彼女は、母がかつて町のアイドルだったことを知る。
しかも、麦子は母の昔の姿にうり二つ。
行く先々で人々からの歓待を受けるのだった…」

----確かに、たいした話じゃないニャあ。
ちょっぴり変わってはいるけど…。
「そうなんだ。
吉田恵輔監督の映画は、
たいていは“日常”が基本。
そして出てくる人物たちは、みな普通。
取り立てて変わった人というのはいない。
しかしそれって、
いわゆる映画の中では異端に属する。
通常、映画には、必ずと言っていいほど、
どこか強い個性を持った人が出てくるもの。
しかし、吉田監督の世界にあっては、
人それぞれに育ってきた歴史がある”を前提としている。
そのため、みなどこにでもいるようで、
でもここが他とは違うよ…という
それぞれに血が通った、ちょっぴりの個性”が強調される。
でも、その “ちょっぴり個性”は、
本人たちにとってはとても重要、生きていく上での核となる部分でもある。
それゆえにその二つは完全には交わらない。
どこかギクシャクしたものに。
そして、そこから映画に独自の“おかしみ”が生まれる。
だから、彼のコメディはいつもオモシロい。
おかしな奴を出してきて、
ボケ、ツッコミで笑いをとる“バラエティ”映画とはまるで違う」

----それ、ちょっと過激(笑)。
だけど、今回は、周りが泣いていたんでしょ…?
「うん。ご多分にもれずぼくもね。
それはね、
何もお母さんが亡くなったからとか、
なのに麦子が冷たい態度を取ったからとか、
そういうこととは微妙に違う。
麦子が、
完全に解け合うことは不可能”が前提であるはずの
“違う個性”の中に
あえて足を踏み入れていくからなんだ。
しかし、それは相手を傷つけるばかりではなく
自分も傷つくという痛い代償を伴う。
でも、そうせざるを得ない麦子。
ここに、ぼくは吉田恵輔監督の次なるステップを見た気がした。
『純喫茶磯辺』同様、
その転換は居酒屋で行われる。
アルコールの力を借りてのそれはいかにも危うい。
ただそれでも
本音バトルで映画を屹立させようとした吉田恵輔監督の気概を、
ぼくは買いたいな」


                    (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「なんか、本筋が語られていに気がするのニャ」小首ニャ

「赤いスイートピー」、温水洋一のボウリング、ふせえりのたこ焼き、そして麻生裕未…
語り出したらキリがない度
コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

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