ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『デビルズ・ダブル-ある影武者の物語-』

2011-11-23 18:39:29 | 新作映画
(原題:The Devil's Double)



----これって、どういう意味?
『ボディ・ダブル』なら聞いたことあるけど…。
「うん。『ボディ・ダブル』はブライアン・デ・パルマ監督の映画のタイトルにもなったからね。
その意味は、“代役”。
映画では、ヌードシーンやスタントシーンなど、
俳優本人が演じにくいときに他の人がその代わりを務める。
さて、この作品の場合は
副題にもあるように、
ある有名人の“影武者”。
代役を務める人自身が主人公となっている。
洋の東西を問わず、
命が狙われるような立場にある権力者は、
昔からこの“影武者”を使ってきた」

----だけど、これ“デビル”ってなっている。
悪魔の代役ってどういうこと?
「(笑)。
悪魔というのは、あくまでも(あっ、ダジャレ)比喩。
これはね、サダム・フセインの息子の影武者なんだ。
ウダイ・フセインという名の彼は、
自分と顔が似ている、かつての同級生ラティフを
影武者に仕立て上げる。
ところがこのウダイ、
“狂気の申し子”“ブラック・プリンセス”と呼ばれたほどの悪の権化。
莫大な資産と権力を元手に、
連日連夜、パーティで遊び呆けている。
しかも、気に入らないことがあれば、
すぐ頭に血が上って、
ところかまわず相手を傷つける蛮行に及ぶ。
そればかりか、
街で気に入った女性を見かけると、
相手がまだ年端が行かなくても
自分の車に乗せてモノにしてしまう」

----酷いニャあ。
そんな人の代役なんて、絶対断りたいよね。
「うん。できるものならね。
でも、そうもできない事情があるんだ。
影武者として指名されたラティフはウダイとは正反対の性格。
できることなら逃げだしたいけど、
そうすると家族に害が及ぶ。
このあたり、どこぞの独裁国と似ているね。
ところが、
結婚式中の女性までモノにするなど、
ウダイの欲望と狂気はとどまることを知らない。
そんな中、彼の最もお気に入りの女性サラブと
危ない関係になってしまったウダイは、
自らの命と引き換えに息子を救おうとする父の忠告で
ついに、国を飛び出すが…」

----スゴい話だニャあ。
フセインというのは実在の人だけど、
これって実話ニャの?
「どうも、そうらしいね。
原作者で、実際にウダイ・フセインの影武者を務めたラティフ・ヤヒア氏本人が
11月27日~29日にかけて来日することになっているからね。
ただ、ウダイの愛人で、ラティフの禁断の恋の相手でもあるサラブの件はどうなんだろう。
これって、あまりにも危なすぎる。
いくら、ふたりが似たような境遇(逃げ出せない。でもう大のお気に入り)にいるからって、
ウダイの狂気をそばで見聞きしていたら、
とても怖くって手が出せないはず。
もしかして、映画用に脚色したのかもね」

----でも、それって
この映画においてはマイナスにはならないんでしょ?
「うん。
これはなにも
悪を告発したり権力は腐敗するものだ…ということを
声高に言うような映画じゃない。
監督が『007/ダイ・アナザー・デイ』リー・タマホリ
アクションもたっぷりに織り込んだ
エンターテイメントの要素が強い。
もし、これを史実通りにすべて鵜呑みにしちゃうと、
『ほら、ブッシュの判断は正しかった』と、
アメリカの保守派を喜ばせるだけ。
さて、その“フィクションありき”を前提でこの映画を観ると、
本作最大の見どころは
ウダイとラティフ、正反対のキャラを演じたドミニク・クーパー。
ぼくなんか、途中まで、それぞれ別の俳優が
ふたりを演じていると思ったほど。
ドミニク自身も
このウダイを嫌悪し、理解できる要素はなかったと語る。
ところがスクリーンの前のウダイは喜々として
暴君の限りを尽くしている。
まあ、こういうケレン味たっぷりの演技は
評価されにくいのが常だけど、
ぼくはオスカーの主演男優賞候補に推したいくらいだったね」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「だからポスターもゴールド、金まみれニャんだ」ちょっと怒るニャ


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