ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『幕末太陽傳<デジタル修復版>』

2011-11-05 23:25:39 | 新作映画
----これって、川島雄三監督が撮った、昔の日本映画だよね?
「うん。太陽族が話題なった頃に作られた。
『2009年キネマ旬報のオールタイム・ベスト映画遺産200 日本映画篇』
なんと第4位に輝いている。
ちなみに1位が『東京物語』、2位が『7人の侍』、3位が『浮雲』

----それはスゴい。
でも、この映画についてはあまり聞かなかった気がする。
「いやあ。
少なくとも映画ファンを自認するんだったら、
これくらいは観ていなければ…という作品。
ただ、そんなにも強くは言えないところも
この作品の場合にはあったんだ」

----どういうこと?
「実は、ぼくも以前はビデオでの鑑賞だったんだけど、
フィルムがあまりにも劣化。
映像が暗いだけでなく音がこもっていて、
何を喋っているのかが、よく分からない。」

----しかし、そんな状態でも4位にランクインしたってことは、
よほど、最初に観た印象が強烈だったってことだよね。
「そういうことだろうね。
この映画、冒頭から意表を突く。
物語の主要舞台は幕末。
なのに、現代(と言っても作られた当時)の品川からスタート。
古典落語の『居残り佐平次』を軸に、
『品川心中』『三枚起請』など、
さまざまな噺が一本の物語に紡ぎあげられている。
簡単に物語を説明しようか…。
品川宿の遊女屋相模屋。
そこに佐平次(フランキー堺)の一行がやってくる。
さんざ遊んだ挙句に懐は無一文。
さて、どうするかと思いきや彼は行燈部屋に籠城。
いつの間にやら、玄関へ飛び出して番頭みたいな仕事を始めるが…。
で、何がオモシロいかって、
この創作上の人物に、
幕末の著名人、たとえば高杉晋作(石原裕次郎)らが絡み、
彼らの目論む公使館焼き打ちにも、
この佐平次が一役買ってしまうところ。
佐平次はそれだけではなく、
遊女屋で起こるもめ事を次々と解決していくんだ…。
キャスティングも超豪華で、
岡田真澄、二谷英明ら、当時の新進スターから
芦川いづみ、南田洋子、左幸子といった美人女優、
そして、金子信雄、山岡久乃、西村晃、熊倉一雄、小沢昭一、殿山泰司、市村俊幸など、
実力派のベテランがずらり勢揃い。
そうそう、小林旭も出演。
彼が裕次郎と顔を合わせているのはこの映画と『錆びたナイフ』、
それに浜田光夫復帰のオールスター友情出演ムービー、『君は恋人』くらい」

----ニャるほど。
それだけでもオモシロい映画になりそう…。
「うん、ただ、
ぼくが今回喋りたいのは映画の内容よりも
日活創立100周年記念の一環として行なわれた
“デジタル修復” について。
そこでは、これまでもごもご状態だったセリフがクリアーに。
そのことによって、“観る”行為に集中ができるように。
そこで、改めて分かる
フランキー堺の天才的な演技。
なかでも、
石原裕次郎扮する高杉晋作に
“悪い咳”を指摘された時の佐平次の顔に浮かぶ
聞いてはいけないものを聞いてしまったという怯えの表情は圧巻。
映画はここから
まるで「死相」が世界を覆ったかのように一転。
その隠喩として “墓場” まで登場。
しかし、最後には…。
いやあ、ほんとうに見事な幕切れだわ」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「結局、映画の魅力を語っているのニャ」身を乗り出す

※ストレスフリーは映画にも重要。これからもこの試み、増えて欲しい度

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