ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『小さな命が呼ぶとき』

2010-05-15 21:42:04 | 新作映画
(原題:Extraordinary Measures)

----もしかしてこれって、難病の子供の映画?
タイトルからすると、そんな感じ受けちゃうけど…。
「うん。それはそうなんだけど、
いわゆる“涙、涙の感動作”にはなっていない。
原題からも想像がつくように、
主人公のジョン・クラウリー(ブレンダン・フレイザー)は、
体内に蓄積されたグリコーゲンが全身の筋力低下を引き起こす
“ポンぺ病”という難病に冒されている子供たちの命を救うため
ある“尋常ではない手段”に出ちゃうんだ」

----えっ。子供“たち”って?
病気にかかっているのは、ひとりじゃないの?
「うん。、
彼には8歳の娘メ―ガンと6歳の息子パトリックがいる。
平均寿命はわずか9年というこの病気に治療薬はない。
残された時間は、あと1年。
苦悩の中、彼はポンぺ病の権威である
ロバート・ストーンヒル博士の研究に唯一の希望を見出す」

----そのストーン博士を演じるのが
ハリソン・フォードってことだね。
「そう。ところがこの博士は、
いわゆる理論こそ先進的であるものの、
医者として実際に患者を看ているわけじゃない。
薬だってまだできてないしね」

---それじゃ、博士にコンタクトをとっても無理なのでは?
「もし、ストーンヒル博士の理論に基づき薬を作るとしたら、
その実験費だけで50万ドル。
『残された時間を子供たちと過ごした方がいい』と諭す博士。
しかし、ジョンにしてみればそう言われたからって
簡単に引き下がるわけにはいかない。
彼は、妻アイリーンとともに知人らに働きかけ、
自分たちが設立したポンぺ病の財団への寄付を募る。
集まった資金は目標額にほど遠い9万1,250ドル。
ところがそれを受け取ったストーンヒル博士は思わぬ提案をジョンに出してくる。
その提案とは、
バイオ・テクノロジーのベンチャー企業を共同で設立するということ」

----おおっ。確かに尋常ではない展開だ。
「さて、映画はここからグッと加速を増してゆく。
ジョンはもとよりビジネスマン。
そのキャリアやノウハウを基に投資家に話を持ちかける。
当然、彼ら投資家は厳しい条件を付けてくる。
しかし、それまで研究施設内でのみ仕事をして、
一般社会との接点はゼロに近いストーンヒル博士にとって、
それらが面白かろうはずはない。
一方、ジョンは、子供たちの命がかかっているわけだから、
なんとか丸く収めようとする。
そして、そのふたりの出発点と目標の違いが、
ゆくゆく大きな軋轢を生みだしていくんだ」

----軋轢って?
「さらなる資金を確保するために、
ジョンは自分たちの研究施設を大手製薬会社に身売り。
しかし大企業になればなるほど、博士にとっては自由が利かなくなる。
会社のシステムにまったく馴染もうとせず、
かたくなに自分のやり方での研究に没頭するストーンヒル。
かくしてジョンは、社内で孤立した博士と上層部の間で板挟みに。
しかしそこで彼は、
これまで恩義があるストーンヒル博士サイドに立とうとはしない。
ジョンの目的は、あくまでも薬を完成させ、自分の子供たちを救うこと。
ところがそこまで会社に尽くしても、
彼の前には、また別の大きな“会社の理論”が壁となって立ちはだかる」

----ニャるほど。
「難病もの、そして実話だけに
こう言っては失礼かもしれないけど、
生き残りをかけたジョンの戦いは壮絶。
“パートナーである博士を切り捨ててまで子供たちを救おうとする。
だけど…。”
と、こういう流れの映画は、これまであまり見たことがない。
もちろん、最後にはある落としどころがやってくるし、
権威が失墜するばかりの博士の活躍の場もあるにはあるけれど…。
いずれにせよこれは、
世の中というのは善意だけでは通用しないという、
今の時代を象徴するような映画だったな」



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「現実は厳しいのニャ」悲しい


※ハリウッドの難病モノも変わった度


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