ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ローレライ』

2005-01-20 00:16:11 | 新作映画
------『ローレライ』って潜水艦の映画だよね。
どうだった? おや、顔が暗い。
「映画って、数多く観れば観るほど
記憶として蓄積されていくだろ。
すると、どうしても同ジャンルの映画、
同テーマの映画と比較せざるをえなくなってしまう。
たとえばこの『ローレライ』だと、
過去の潜水艦映画が自然に頭に浮かんでしまう」

------それは仕方がにゃいかもね。
「潜水艦映画はどこに魅力があるかといえば、その閉息的状況。
深海に沈んでしまったらほぼ絶望という極限状況だからこそ、
そこで生まれるドラマも厚みを持つ。
そしてもう一つは敵艦とのスリリングな攻防だね。
こちらの居場所が敵に分からないよう、
艦内の音一つ取っても
最新の注意を払うわけだ。
ところが、なんなんだろうこれは?」

------おや、お怒りだにゃ。
「ローレライ。
これはナチスが人間の超能力を開発して作り上げたシステムで、
海底地形や敵艦配置図を狂いなく3次元ビジュアル化し、
果ては魚雷の誘導までする。
まあ、そのSF的設定はいいとしよう。
しかし、その頭脳となる女の子が
かん高い声で朗々と歌い上げる。
それが敵艦に恐怖を与えてるということのようだけど、
普通に考えたらこちらの居場所を教えてるだけ。
敵艦との攻防にしても、サスペンスがまったくない。
“こっちが撃った、あっ敵も撃った”---だけで、
たいした駆け引きもなければ、
魚雷に命中するか否かのスリルに至っては皆無」

------だけど監督が特撮界の大物・樋口真嗣。
「そうなんだよね。堤真一が役所広司を呼びつける導入部は
なかなか凝った映像。
俳優たちも楽しそうで、同時代の監督の演出を楽しんでるように見えた。
でも、それが大きな落とし穴で、
あの『69 Sixty-nine』が60年代ごっこをしてるようにしか見えず、
時代の空気感が全くなかったように、
ここでも潜水艦ごっこをしてるようにしか見えない。
おそらく、当時を知ってる年配の方のブーイングはすごいのでは?」

------でも、映画ってリアルである必要はないって言ってなかった?
ハリウッドには戦争アクションと言うジャンルもあるし....。
「もちろんそう。嘘を語るのはいい。
でも、映画の中ではその嘘を信じさせてくれなくちゃ。
艦長は左遷から久しぶりの職務復帰。乗員も寄せ集めばかり。
そんな彼らが、なぜ接収した“ドイツ潜水艦”を
訓練もなしに操舵できるの?
互いの連係が芽生えるだけでも大変なのが普通では?
なのに、敵艦との戦いは楽々(にしか見えない)クリアー。
緊張感がなく、退屈退屈。
しかも見え見えのミニチュア。
これは『亡国のイージス』に期待するしかないかな」


(byえいwithフォーン)

※困ったちゃん度


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