乾ルカ著"森に願いを"を読みました。
たぶん北海道の都市部にあるあまり人に知られていなくて
人がやってこない森です。
森には森番の若い男性がいます。
森にやってくる人はどうやって生きていったらいいのか
分からなくなった人、いきずまってしまってそこからどう
やって抜け出したらいいかわからなくなってしまった人々です。
森に入っていって森番に声をかけられます。
森番は特にどうしなさいというアドバイスをするわけでは
ないのですが、人々は少し違った見方ができるようになります。
学校へ行けなくなった男の子、両親は彼をせめるばかりです。
自分は優秀だと、自分に見合った仕事ではないとはねつける女性。
病気で死期が迫っていると知らされた男性。
地方から有名校に入った高校生、自分の能力がこの中では
さほどではないと知ります。
会社で目立たない男性、リストラに会います。
過去の嫌だったことにとらわれいつまでも恨んでいる女性。
同性の友人から好きだと打ち明けられ、軽々しく傷つける
言葉を口にした高校生。
なんだかつらくなるそれぞれの状況です。
自分のことを見ているみたいです。
ここまで追い詰められなくても似たような状況に遇ったことは
あるのではないでしょうか。
誰かが手を差し伸べてくれて、その手をつかむことができれば
なんとか抜け出せるものなのかもしれません。