輪渡颯介著"ばけたま長屋"を読みました。
弦次は指物師として独り立ちしたばかりです。
長屋に部屋を借りました。
長屋には三五郎という何をしているのかわからない調子の
いい男が一人住んでいるだけです。
夜になって寝て、人がいない原因を知ることになります。
ある部屋に出る幽霊の姿を見るのです。
絃次は部屋を調べて幽霊が出る理由を知り、取り除いてやります。
幽霊はでなくなります。
雲井朔天という絵師が長屋に引っ越してきます。
朔天は安房屋の佐兵衛に幽霊の絵を描くよう依頼されています。
本物の幽霊を見て参考にしたいと引っ越してきたのです。
幽霊が出なくなったことに責任を感じて絃次と三五郎は幽霊話を
聞いてきてはその場所へ出かけていきます。
実際には幽霊は出なかったこともありますし出ることもあります。
妹の幸せを思って姉が出ることがありました。
菓子屋の息子が亡くなり友達だった男がその家に泥棒に入ったら
菓子を作っている幽霊に出会います。
最後の話はちょっとおそろしいです。
盗みに入った泥棒たちは家人に気づかれ皆殺しにしてしまいました。
その泥棒たちが一人ずつ殺されていきます。
幽霊話ですがぞっとする怖さはありません。
幽霊を見せてやろうと幽霊を追っかける話でその発想がおもしろいです。
幽霊が人を殺すことはないと何かで聞いた気がしますが、
この本に出てくる幽霊は人を死なせます。