雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ナイン 9つの奇跡

2012-11-17 20:41:45 | 

川上健一著"ナイン 9つの奇跡"を読みました。
草野球チームの9人を中心に描いた物語です。
野球はよくわかりませんが読み終わってあぁ楽しかったと
心がのびのびする本です。
チーム名はジンルイズです。
チームメイトはインターネットでチームメイトの
募集を見て集まった人達です。
勝つのが目的ではありません。
楽しむための野球です。
エラーをしてもみんなで笑い転げます。
大リーグなみの華麗なファインプレーも出ます。
チームメイトは9人しかいません。
毎日曜日に神宮外苑で試合をします。

吉見高志 26歳 ラーメンチェーン店の社員では
ないけど店長です。

山本節雄 60歳 は大きな不動産会社の社長です。
アナウンサー兼解説者兼カメラマンです。
試合をしながらも長島や小西などいろんな人のまねで
解説をします。
この解説がチームメイトや相手チームも楽しませています。
山本の会社は外国資本に乗っ取られそうな危機です。

鈴木誠 31歳 記録部長兼週間ベースボール人類主筆です。
記録を取ることが好きです。
試合中もスコアブックを話しません。
恋人はいませんでしたが弁当を買うコンビニの店員と
スコアのつけ方の話をするようになりました。

堀田徳兵衛 81歳 特攻隊で野球仲間の友人二人を
亡くしています。
妻は病気の後遺症であまり動けませんがとても仲が
いい夫婦です。
二人の友人のためにも彼らのグローブを交代で使って
野球をしています。
撃てませんし球を取れませんし走れません。

ジーン・スミス 42歳 子供のころは日本で野球を
やっていました。ところが数年前に気がついたら
子供のころの記憶がすっぽりと消えていました。
記憶を取り戻したいと野球をやっています。

榊原英喜 20歳 中学2年までは野球チームに入って
野球をやっていました。
大リーグのような目立つプレーがしたくてやっている
のですが監督には嫌われとうとう辞めさせられて
しまいました。
このチームでは思う存分目立つプレーをしています。

宮脇志保 24歳 女性ピッチャーです。
子供のころは野球選手になることを夢見て男子に混じって
野球をやってきました。
しかし高校生となって女性は参加できないことを知って
打ちひしがれました。
現在妻子ある男と不倫中です。

佐藤博行 43歳 社会人野球をやっていましたが会社の
不振で野球部がなくなりその時普通の社員になりました。
人を纏める才能がある人です。
ジンルイズの監督です。

桂木義雄 49歳 元プロ野球の有名選手です。
クビになりました。コーチとして迎えるといわれて
いますが現役でプロ野球選手として野球をやることを
あきらめていません。

吉見はホームレスの遠藤が高熱を出して震えているときに
ラーメンをご馳走し風邪薬を飲ませました。
遠藤はお礼にラーメンの味付けを教えてくれるように
なりました。
ある日遠藤は占いをする老人のところへ吉見を連れて
いきました。
今なら二つの夢が叶うといいます。願えといわれて
吉見はジンルイズがりっぱな草野球チームになることを
願います。
もう一つは遠藤が全日本野球選手権大会で優勝することと
願いました。

全日本野球選手権大会なんて大会があるかどうか吉見は
しりません。しかし事務局から申し込みを受け付け
ましたという手紙がきました。
遠藤が申し込んでくれたようです。
ジンルイズは大会に出場することにしました。
願いをかけてからみんなは野球がやりたくてやりたくて
しょうがありません。
野球がやれることがうれしくてたまりません。
勝とうと思ってやっているわけではないのにどんどん
勝ってしまいます。
吉見は自分たちの力ではなく魔法がかかって勝って
いるのではないかと心配しています。

優勝はしません。
4回戦で鈴木が好きな店員が故郷へ今日帰ると手紙を
置いていきました。
電車がでる時間が気になってとうとう泣き出してしまいます。
ジンルイズは試合を放棄して鈴木を駅に向かわせました。

榊原は大リーグの入団テストを受けました。
たぶん大リーグへいけそうです。
監督の佐藤の大学時代の友人が今度プロ野球の監督に
なります。
佐藤はそのチームのコーチにならないか誘われています。
妻は1年先はどうなるかわからない不安定な仕事に
反対です。
しかし佐藤はたぶん引き受けるでしょう。
佐藤はすでにコーチを引き受けた気分で桂木を未来の
球団に誘います。
ジーンは子ども時代の記憶を取り戻します。
忘れてしまいたいことがあって過去の記憶にふたが
されたのです。

それぞれの人達に起こる出来事もおもしろいのですが
なによりおもしろいのは野球の試合中を書いた部分です。
とてもいきいきしていて情景がうかびます。
野球に興味がなくても楽しそうな雰囲気に呑みこまれます。
この本の一番の良さはやはりここでしょうね。