雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

空色バトン

2012-11-26 21:42:22 | 

笹生陽子"空色バトン"を読みました。
四十歳で主婦が急死しました。
高校生の息子と小学生の娘がいます。
葬式に母の学生時代の友人だという三人の女性が弔問に
訪れます。
息子、母、母の友人たちがそれぞれ時を違えて誰かに
語ったり独白したりする変わった構成の話です。

"サドルブラウンの犬"
望月(旧姓樹村)ショーコが亡くなる場面です。
セイヤ、マドカの二人の子供が残されます。
夫は単身赴任中です。
吉野、森川、陣ノ内の三人の女性が弔問に訪れます。
ショーコが彼女たちと中学の時漫画の同人誌を1冊
作ったことがあることを知ります。

"青の女王"
小学五年の時の話で陣ノ内が語ります。
陣ノ内は転校してきました。
前の家にいた時に絵画教室に通っていました。
人の輪に入ろうとしませんでした。
ショーコによって絵が好きな三人のグループに
出会いました。

"茜色図鑑"
中学三年で吉野が語ります。
森川はソフトボール部ですが盲腸をこじらせしばらく
運動はできません。
吉野は漫画を描いては投稿していますが認められません。
卒業記念に漫画の冊子を作ることを思いつきます。
4人のほかに仲間を募りました。
野球部の芹沢が加わりました。
先生の要望で登校拒否している平岡が加わることに
なりました。
平岡のうちの彼が住んでいるプレハブで作業することに
なりました。
平岡は内にこもっているタイプとは違ってよくしゃべる
タイプです。

"ぼくのパーマネントイエロー"
大学生の芹沢の語りです。
2浪後の1年生です。
平岡への手紙の形式をとっています。
平岡は大検の受検準備中です。
合コンで森川と出会います。
森川は専門学校で簿記を学んでいます。
吉野は国立大、陣ノ内は美術大学に行っています。
ショーコは地元の短大を出て結婚することになっています。
中学の時の冊子作りに関わった人達のその後が芹沢に
よって紹介されます。

"パステル・ストーリー"
亡くなったショーコが語り手です。
セイヤが8歳の時ですから10年ほど前30歳ぐらいの
時の話です。
夫が単身赴任となりました。
必要にせまられ車の免許を取りました。
陣ノ内が隣の市で展覧会を開くことになり車で出かける
ことになりました。
吉野はバリバリ働いています。ミクという子供がいます。
森川はママさんバレーや草野球を楽しむという生活を
しています。
ショーコはいわば平凡な主婦です。
仲間に会ってちょっと落ち込んでいます。

"マゼンダで行こう"
現在に戻って吉野の娘のミク14歳が語ります。
吉野は離婚して故郷にミクを連れて帰ってきました。
エプロンをつけて犬の散歩をしているセイヤに出会います。
セイヤの妹のマドカとも知り合っていました。

時間があっちへとんだりこっちへとんだりでへんな
雰囲気の話でしたがおもしろかったです。
ショーコを若くして死なせてしまう設定でなくても
いいじゃないとは思いました。
小説なんだもの、どんな設定だってできるんだもの
これからがある人を殺さないで欲しいな、と感じました。
学生時代の仲間が大人になって、それぞれ別々な
生き方をしているけどつながりがあっていいです。