風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

レザール・フロリサン 《ヨハネ受難曲》 @東京オペラシティ(11月26日)

2023-12-30 16:41:29 | クラシック音楽



ウィリアム・クリスティ指揮

クリスティのもと開いたフランス古楽界の花。
美しくやわらかなハーモニーで描く「救済」のメッセージ。



古楽器オケによるバッハはフライブルク・バロック・オーケストラとバッハ・コレギウム・ジャパンでしか聴いたことがなかったけれど、このレザール・フロリサンもまた全く違った個性で素晴らしかった。
予習で聴いた重々しい迫力あるリヒターの音源に比べると、こちらは華やかな柔らかさがフランスフロリサンって感じ
なのに不思議と生々しくリアルなんですよね。それは古楽器オケの特徴でもあるけれど。

ソリストの人達の歌声も、とてもリアルに胸に迫ってきました。なのに、ちゃんと美しく音楽的。
特にエヴァンゲリストのバスティアン・ライモンディの若く繊細で、かつ包容力と温かみを感じさせる声に強く引き込まれました。
あと、ヴィオラ・ダ・ガンバの音色が雄弁で、人の声のようでとてもとても美しかった。

R側の席だったので、イエスの御姿は最後まで見えず
でも歌声はしっかり聴こえたので問題なしです。

クリスティはマケラと同じく赤いソックスをはいていて、お洒落でした♪
またぜひ来日していただきたいなぁ。


ウィリアム・クリスティ(指揮)
バスティアン・ライモンディ(テノール/エヴァンゲリスト)
アレックス・ローゼン(バス/イエス)
レイチェル・レドモンド(ソプラノ)
ヘレン・チャールストン(アルト)
モーリッツ・カレンベルク(テノール)
マチュー・ワレンジク(バス)
レザール・フロリサン(管弦楽&合唱)


結成から44年。熟成の高みにあるクリスティ&レザール・フロリサンの特別な一夜
いよいよその“季節”がやって来る。ウィリアム・クリスティとレザール・フロリサンによる“バッハの大宗教曲の季節”である。2016年9月に彼らはパリのフィルハーモニーでヨハン・ゼバスティアン・バッハの《ミサ曲ロ短調》を録音した。ルネサンス期からバロック期にかけての膨大なレパートリーを経験して来た両者だからこそ可能な、緻密にして壮大なバッハの宗教曲の世界。ありきたりに言えば彼らの「熟成」のレベルの高さに、しばし言葉が見つからなかった。
そしてこの晩秋に日本を再訪する彼らはバッハの《ヨハネ受難曲》を携えて来る。古楽界最高の実力を備えた奏者だけでなく、いまヨーロッパで注目を集める若手歌手を揃えた歌手陣は、クリスティの厳しい相馬眼にかなった人材。いずれもヘンデル、モーツァルトのオペラや宗教曲のソリストとして活躍中である。福音史家を担うバスティアン・ライモンディも宗教曲だけでなく、モーツァルト、オッフェンバック、ムソルグスキーなどのオペラでも活躍している。その幅広い可能性をクリスティは高く評価しているのだろう。
2016年の《ミサ曲ロ短調》の録音の際、クリスティ自身が幼い頃のバッハ体験についてコメントしている。クリスティの母親はニューヨークの教会の聖歌隊指揮者であり、その母親の指揮する《ミサ曲ロ短調》の合唱曲を聴いて以来、クリスティにとって特別な作品となったと言う。おそらく、バッハが残した「受難曲」もクリスティにとっては《ロ短調」に並ぶ特別な作品であったはずだ。1979年に結成されたレザール・フロリサンが21世紀のいま開こうとしているバッハの新しい扉。たった1日のみの日本公演は、まさに記念碑的なものとなるだろう。

片桐卓也(音楽ライター)




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