風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

ヴァレリー・アファナシエフ ピアノリサイタル @フィリアホール(12月1日)

2023-12-30 17:28:43 | クラシック音楽



・ポロネーズ第3番 イ長調 op.40-1「軍隊」

・ワルツ イ短調 op.34-2
・ワルツ 嬰ハ短調 o.64-2
・ワルツ ロ短調 op.69-2
・ポロネーズ 第2番 変ホ短調 op.26-2

(休憩)

・ポロネーズ 第1番 嬰ハ短調 op.26-1
・マズルカ ロ短調 op.24-4
・マズルカ 変イ長調 op.41-4
・マズルカ 変ニ長調 op.30-3
・マズルカ 嬰ハ短調 op.30-4
・マズルカ ハ長調 op.56-2
・マズルカ ヘ短調 op.63-2
・マズルカ 嬰ハ短調 op.63-3
・マズルカ イ短調 op.68-2

2021年11月のリサイタル以来、2年ぶりに聴くアファナシエフ。
今回初めて行った青葉台にあるフィリアホールは決して大きなホールではないけれど、それでも半分くらいの入り。

先に関西で聴いた方達のSNSの感想から不穏な気配はあったので、覚悟して聴きに行きました。
もともと独特な音のピアニストではあるけれど、正直なところ、最初のポロネーズ3番の冒頭から「うーん・・・・・・」と・・・。
2年前には独特な中にもアファナシエフにしか出せない魅力を強く感じることができたのだけれど、今回はそれを感じることも難しかった。
舞台に出てくるときに一人で歩くことも難しそうだったので、ご体調が悪そうなのは確か。
今回の来日を最後にするつもりとご本人は仰っているようだけれど、体調も関係しているのだろうか。
ただ前回は殆ど楽譜を見ながら弾いていたけれど、今回は全て暗譜。

3曲目辺りからは音楽が流れ始め、音に力強さが出てきました。
ワルツの暗みは、まさにアファナシエフ。
特に前半最後のポロネーズ2番は、音と音の間の存在感も含めて(”間”も音楽だよね!)、彼独自の世界を聴かせてくれました。

今日のプログラムで一番「アファナシエフ」を感じることができたのは、後半最後のイ短調のマズルカ。これは文句なしに素晴らしかった。これが聴けただけでも、今日来てよかったと心から思いました。アファナシエフもとても丁寧に弾いていて、アファナシエフでしか聴くことができないショパンだった。
アファナシエフはプログラムでショパンの音楽をダンテの煉獄編に喩えていたけれど、彼の弾くショパンは確かにそういう音楽だと私も感じる。

ただ前回のリサイタルでもそうだったけれど、アファナシエフって、一曲一曲の最後の音の処理をあまり大切にしないのよね・・・。前回も最後の音の響きが残っているうちに次の楽譜を捲っていたりしたけれど、今回もやはり音が残っているうちに腕まくりしたりしていた。まぁこれも彼の個性なのでしょう。

今日のピアノ、高いド?の音のときにいつも耳障りな細い金属音が小さく聞こえたたけれど、あれはなんだったのだろう。結構気になってしまった。アファナシエフにはあの音は聞こえなかったのだろうか(高音って年をとると聞こえなくなるというし・・・)。

アファナシエフ自身は今日の演奏会のことをどう思っているのだろう。
決して「弾けている」とは言えない今日の演奏。でも素晴らしかった最後のマズルカ。
アンコールがなかったのは、きっと最後のイ短調のマズルカの演奏に満足したからだろうと私は感じました(前回の茅ヶ崎でも、素晴らしいブラームスを弾いた後のアンコールはとてもやりたくなさそうに見えたもの)。
「ピアニストがピアノを弾くというのは、どういうことなのだろう」と、そんなことを考えさせられたリサイタルでした。
フレイレのことを思い出したり。
生の演奏会は本当に人生の色々なことを教えてくれますね。





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