風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

井上道義&読売日本交響楽団 @東京芸術劇場(11月18日)

2023-12-30 00:27:53 | 日々いろいろ



復活?復活と言うのは、キリストの事で死んだのに生き返るということ。安易に復活復活と言うなかれ。有り得ない出来事なのだから。マリアの聖霊受胎も同様、人間界ではありえない事。でもマーラーのいう復活は輪廻転生の事。三島由紀夫などもこの東洋思想には激しく憧れを抱いていたようだ。最近?では新井満「千の風になって」がそれだが、これなら復活しなくても死んでも好きな人の近くに生き続けることが出来そうで『安心』するってもんだ。(嫌いな人は風を感じない・・・ふふふ)
(井上道義)

ソプラノ:髙橋絵理
メゾソプラノ:林眞暎
合唱:新国立劇場合唱団

群響とのショスタコ4番が素晴らしかったので、こちらも行ってみました。
井上さんの都響との最後の共演のマーラー2番『復活』。
私はマーラーは1番と9番ばかりを聴いていて(たまたま)、それ以外を聴くのは初めて。

今日の演奏が全体的に滑らかな音作りだったせいもあるけれど、群響のあの驚異的な集中力&熱量の高さに比べると、今日の読響は割と日常モードの音に感じられました。

とはいえ、井上さんは改めていい指揮者ですねえ。
どの楽器からも、どのフレーズからも常に「井上さん」の音がする。
どの指揮者も多かれ少なかれそうだけれど、井上さんは特にそう感じる。
彼の中で表現したい何か、世界がはっきりとあるのだろうと思う。

そこに人工的な作為を感じさせないのは、同時にちゃんとショスタコやマーラーという作曲家の存在がその音から強く感じられるからだろうと思います(これらの作曲家は彼に合ってますね)。
また、押しつけがましさが全くないのもいい。常に自然で丁寧。
この強い個性、いまの時代にとても貴重な指揮者さんだと思いますし、私は好きです。

彼岸の響きはあまり感じなかったけれど、人間マーラーや井上さんの生き様のようなものを強く感じて、この生々しさといいますか、リアルさが妙に耳に残りました。

2番、美しい曲ですね。
他の作曲家もそうだけれど、あちらこちらで1番や9番に通じる音が聴こえてきて、マーラーの個性ににやにやしちゃいました。
井上さんもプログラムでコメントされていたけれど(冒頭に載せた文)、この2番の歌詞はもちろんキリストの復活を表面的には表しているのだろうけれど、それよりもマーラーの個人的感情の表れのように感じられました。井上さんは輪廻転生と仰っているけれど、特に今日の演奏からは、私は「この世界での輪廻転生」という風に感じられたな。もう一度生きるために生まれる、みたいな。・・・ってどこかで聞いた言葉だなと思ったら、みゆきさんの歌詞だ

それにしてもマーラーもショスタコもあんなにとっちらかった音楽なのに、無駄な音というのが一つもない(ように聴こえる)んですよね。
面白い作曲家ですねえ。

※ソリストさん達は、悪くはなかったけれどイマイチに感じました。。




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