風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル @サントリーホール(2月25日)

2023-02-26 03:49:49 | クラシック音楽




ショパン:ノクターン ヘ短調 Op.55-1
ショパン:4つのマズルカ Op. 6
ショパン:ポロネーズ第7番 変イ長調 Op.61「幻想ポロネーズ」
ショパン:2つのポロネーズ イ長調・ハ短調 Op40
ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53「英雄」
(20分間の休憩)
ドビュッシー:ベルガマスク組曲
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K.331「トルコ行進曲付」
シマノフスキ:12の変奏曲 Op. 3
ショパン:ワルツ第7番 Op. 64-2(アンコール)
ショパン:24の前奏曲第7番 Op. 28-7(アンコール)

シャン🐼が21日に中国に帰ってしまい、中国到着時に雅安に行くトラックに積まれるときの怖がって鳴き叫んでいる様子をずっと現地のライブで見ていたから心配で心配で・・・。翌日に帰ったアドベの永明さん🐼達は帰国時も落ち着いていて、すぐに基地での元気な様子が公開されたけど、シャンはそういう続報の映像が一切なく、行き先も彼らと違うから、一体いまどういう状況にいるのか・・・。上野にいた時から環境の変化に弱い繊細すぎる子だったから、心配でたまらない・・・。上野からの情報は、タケノコ〇キロ食べたと中国側から聞いている、とかそんな曖昧な情報ばかりだし。
悲しいことばかりがあったこの数年間、あんなに私達に幸せをくれた子なのだから、絶対に幸せになってくれなきゃいけないのに。人間達だけが一方的に幸せをもらってしまって、こちらからはあの子に何も返せないどころか今は苦しい思いをさせてしまっているのがただただ辛い・・・。頑張って乗り越えてほしい・・・。動物にこんな辛い思いをさせるしかないのなら、🐼に限らず人間の都合による動物園間の長距離移動は一切やめるべきと思う。キリンのひまわりちゃんも本当に可哀想だった。それで一生パンダやシロクマや象やキリンを日本で見られなくなったとしても私は全く構わない。

と情緒不安定な状態が続くここ数日のワタシですが、チケットを買ってあったので、気分転換も兼ねてサントリーホールへ(その道中も上野と中国の情報をチェックしつつ。google翻訳様様)

当初発表されていた曲順(上のチラシの曲順)はショパンが休憩前後に分かれていて、さらにラストが英雄ポロネーズで、なんかしっくりしないなと思っていたので、会場で曲順の変更を知ってほっとしました。
うん、変更後の方がずっといい。

ブレハッチの名前だけは知っていたけれど、聴くのは初めてです。
いやあ、新鮮。
殆どクセがないので薄味といえば薄味だけど、こういうのもまた「ピアノ」だよなあ、ということを思い出させてくれる演奏というか。知らず凝り固まっていた「ピアノ感」がデトックスされるような。
ロシア系ピアニスト達のように魔法のような音色を出すわけでも、スケールが大きいわけでも、温かく歌うわけでも、色彩豊かなわけでも、技巧で圧倒させるわけでもなく。
強音も重い低音もないんだけど、音色の「気品と華やかさと暗さのバランス」が、なんだかとてもポーランドぽくて、ショパンぽい。(ちなみに音の色はちゃんと見えた。)
そんな”いわゆるショパンぽい”演奏を「新鮮」と感じるのは、こういうショパンらしいショパンを弾くピアニストが意外に少ないからだと気付く。
同じポーランド人だけど、ツィメルマンのショパンとも違う。
ポリーニとも、フレイレやアルゲリッチとも違う。ポゴレリッチとももちろん全然違う。
でも、こういうショパンもとてもいいと感じました。特にOp.40、よかったな。
幻想ポロネーズは、先日のポゴレリッチの素晴らしい響きが耳に残ってしまっていて、あまり入り込めず…。
マズルカのリズムは、ツィメルマンのマズルカを聴いたときと同じ感覚を覚えました。「舞踊的というのともちょっと違う、クラシックにジャズを少し混ぜたような重めの品のあるリズム感」「自分がいまショパンの時代にいて、その音楽を聴いているような感覚」とは、ツィメルマンのマズルカを聴いて私が書いた感想。、、、ってツィメさんのリサイタルの日も、私はシャン🐼を見に行っていたんだな…。

ドビュッシーの「月の光」、美しかった。柔らかな月の光が見えた。体温がありすぎない、でもほどよく温かみのある光。私はやはり太陽よりも月の光の方が落ち着くなと思いながら、聴いていました

意外だけど感銘を受けたのが、モーツァルト
ブレハッチの弱音ってとても美しいのだけど、個人的にはもう少し芯のある響きの弱音の方が好みではあるのだけど。押しつけがましさが全くない、でもちゃんと意思を感じさせる、純粋で美しい音のモーツァルトに、今夜は疲れている心がとても癒されました。
3楽章も、ブレハッチの音でトルコ行進曲ってどうなんだろう?と思っていたら、綺麗な透明感のある音で弾かれるこの曲、とってもよかった。シフや光子さんやバレンさんのような”モーツァルトぽさ”はないけど、こういうモーツァルトもいいね。

最後のシマノフスキも、コッテリ系の演奏ではないけれど、暗さと甘さと軽みのバランスがとてもよくて。シマノフスキって本来はこういうものなのかもと感じさせられました。

アンコールのOp. 64-2も、以前マツーエフで聴いたロシアぽいそれと全然違い(あれもとてもよかったですが)。ここでもブレハッチの音の気品、華やかさ、甘さ、暗さのバランスに、やはりポーランドぽさ、ショパンぽさを感じました。好きだなあ、この演奏。ついでに、か細い外見もショパンぽい

というわけでブレハッチ、とてもいいピアニストだなと感じたのだけれど、敢えて言うなら、その丁寧さと美しさを保ったまま、あともう一歩だけ突き抜けた演奏をしてほしいとも感じてしまった。タイプは違うけれど、シフがそういう演奏を聴かせてくれるように。贅沢な注文だろうか。
ステージマナーもその演奏と同じく謙虚で誠実そうで、好感がもてました
そしてうまく言えないのだけれど、こういう演奏をするピアニストがいることに「西洋の良心」のようなものを感じたりもした。シフにしてもツィメルマンにしても、アンデルシェフスキもそうだけど、東欧ならではの何かだろうか、とも。大国に脅かされ続けた、今も脅かされ続けている彼らの国々の歴史に思いを馳せつつ、それはそのままウクライナの現状にも繋がり。日本もいつまで他人事でいられるか…。

twitter情報によると、客席にはツィメさんご夫妻がいらしていたそうで(RBの最上段とのこと)。どちらもジャパンアーツ所属ですね。
今年も日本で冬を過ごしているんですね
ショパコンで優勝したときにツィメさんが色々今後のアドバイスをくれたとブレハッチがインタビューで言っていたのを読んだことがあります。面倒見よさそうですもんね、ツィメさん
そして演奏会で客席のツィメさんと一緒になるのはもう何回目だろうか。ポリーニのときと、シフのときと、ゲルギエフ&マリインスキー&真央君のときと、今回で4回目?他にもあったかも。



今夜は懐かしいポーランドの風を感じさせてもらえました。
でも今のワルシャワはきっとこんなのんびりした空気ではないのだろうな…。



Chopin: Polonaise No. 3 in A Major, Op. 40, No. 1 'Military'

Chopin: Polonaise No. 4 in C Minor, Op. 40, No. 2

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