風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

歌舞伎座新開場 こけら落四月大歌舞伎 第二部(4月4日)   

2013-04-04 21:10:21 | 歌舞伎



行ってまいりましたよ~、杮茸落第二部。
開場して3日目。
歌舞伎座前も道路を挟んだ反対側も写真を撮っている人達でいっぱいで、杮茸落ならではの華やいだ雰囲気に入場前からテンションが上がりました。
内部もまだペンキや木の匂いがして、ピカピカです。
写真で見ていた限りは以前と全く同じに見えた内部でしたが、結構変わったんですね。
って、私が好きだった西側売店コーナーがなくなってる・・・。がーん。
あの大して買いたい物もないのについぶらぶらしてしまう、昭和の雰囲気漂う雑雑とした一画が大好きだったのに・・・。
東側1階にできた売店は京都のお洒落なお土産屋さんみたいで、以前のどこか懐かしい雰囲気がなくなり、すっかり小綺麗な洗練された空間になってしまっていました。
大好きだった実演販売も鯛焼き(ともちろん人形焼)くらいになってしまい、各階のドリンクコーナーなどまるで先日行った新国立劇場オペラパレスみたい。。
寂しいけれど、これも時代の流れなんでしょうね。。。平成生まれのお客を呼び込んでいくには、こういう方が親しみやすいのだろうと思うし。
あと、エスカレーターとトイレ、あれは設計ミスではなかろうか。
エスカレーターは閉幕後に3階から降りていく客に2階の客が合流し、すごく危険な状態になっていました。あれどうにかしないと、いつか事故が起きると思う。
トイレは入口と出口が違う場所なのは四季劇場と同じなのですが、どちらが入口でどちらが出口か非常にわかりにくいため、誘導スタッフが必須状態。入口は列をつくっているのに出口からさっさと入る客が多数(わざとではなく)。 
とはいっても、新しい劇場というのはやっぱり気持ちがいいものです。

※追記:11日に行ったときには、係員が階段も利用するよう誘導するようになっていたので、エスカレーターの混乱はなくなっていました。また、トイレの出口も引き戸が基本閉まるように変わっていたため、こちらも改善されていました。素早い対応!

さて、私の席は3階B席の一番うしろ。
おー、本当にちゃんとすっぽんが見える。
舞台は遠いけど、傾斜のおかげで前の人の頭で遮られることもなく。いいじゃないの。のーぷろぶれむ。
と、開演前は思っていたのですが――。
後ほどA席との2000円の差の意味を、嫌というほど思い知らされることになったのであります。。。。。。。。
というわけで、以下、お芝居の感想。


【弁天娘女男白浪】

弁天小僧!!!
将門目当てで買った第二部でしたが、この菊五郎さんだけでも十分にチケット分の価値がありました。
youtubeで義経@勧進帳を観たときは「この人のどこがよいのだろう、、、」と思った私でしたが(すみません)、この弁天小僧はすっごくいい。
御名残公演のときよりも台詞のテンポがゆったりめでしたが、言い回しや絶妙な“間”はさすがで、聞いていて実に気持ちがいいです。
「知らざあ言って聞かせやしょう」、わかっていても痺れるっ。
左團次さんの南郷力丸も、ガラ悪くていいわ~。 菊五郎さんとのチンピラコンビ、素敵すぎます。
菊之助も、呉服屋の坊ちゃん役がぴったりでした。
鳶頭清次は、なんと幸四郎さんですよ。脇までも超豪華です。実は私、この人のお芝居があまり好みじゃないのですが、鳶頭は悪くなかったです。声を荒げず大人しい分、妙な凄みがありました。この役にこういう凄みが必要かどうかはともかく、舞台に杮茸落らしい花を添えてくれたことは確か。
吉右衛門さんの日本駄右衛門は思っていたよりも無難な感じがしたけれど、盗賊の頭領の重みは十分に感じられました。
花道での弁天小僧と南郷力丸のお決まりの言い合いも、ちゃんと見えましたよ。この場面の、分け前をテキトーに半分こしちゃう二人が大好き。いつでもどこでもギャンブル。
そして稲瀬川勢揃いの場で時蔵さんの赤星十三郎と三津五郎さんの忠信利平が加わり、大物役者5人が立ち並ぶその光景の美しいこと!まさに錦絵。
お揃いの「志ら浪」の傘に、それぞれの個性を打ち出した紫の衣装も、くぅ~~~、カッコよすぎるっつーの!台詞もイチイチカッコよすぎるのよ、あんたたち!
だからこそ思うんですけど、、、、この後の極楽寺立腹の場って必要ですかね・・・?なんか蛇足な気がしてならないのですが。
菊五郎さんの立ち回りも、なんとなく気が抜けた感じですし(追手はめっちゃ気合い入ってるけど)。。。
しかし、再び台詞を話し始めるとやっぱりさすがで、切腹~がんどう返しの演技は息をのむ迫力がありました。
だからこそ思うんですけど(二回目)、、、、この後の山門~滑川土橋の場って必要ですかね・・・?なんか蛇足な(以下略)
いや、仕掛けは確かにすごいのですけど、なんかそれだけのような。ここは深く考えずに石川五右衛門のパロディを楽しんでください、ということでしょうか。
まぁこういう場面こそ、とっても歌舞伎らしいといえばらしいのですけれど。
意味があるとかないとか、そういう現代の観点とはまったく違う観点で動いているところも、私が歌舞伎を好きな理由のひとつなのですけどね、結局。

そうそう。
3B最後列の席からは、ラストの日本駄右衛門の見得はまっっったく見えませんでした。
首から下しか見えないのです。
まぁこの演目は菊五郎さんでお腹いっぱいに満足させてもらったので、さほどショックではありませんでしたが、もしいつかまた歌舞伎座でこれを観ることがあったら、そのときは絶対に3Aにしようと思いました。

とはいえ、粋な江戸の美学溢れる弁天娘女男白浪、大満足でございましたよ^^


【忍夜恋曲者~将門~】

ドロドロドロンな登場シーンから、もう玉さまに釘付け。
美しいです。妖しいです。色っぽいです。・・・・・・自分のボキャブラリーの貧困さに泣けてきます。
この人はつくづく“人ならぬもの”が似合いますね。そしてこういうアヤカシやモノノケといった類の美人は歌舞伎の女形にぴったりの役だと、改めて感じました。生物学的な女には決して出すことのできない、独特の妖しい艶。
蜘蛛の糸の刺繍柄の衣装も、透けた傘も美しい。
でもっていつも思いますけど、玉さまは伏し目がちな表情が実に綺麗ですよね。。。瞬きする間も惜しいくらい、この登場シーンは見入ってしまいました。
滝夜叉姫のにらみの見得も、色っぽくて&可愛くてよかったけど(*^^*)

しかし良かったのは玉さまだけではありませんよ。
松緑の光圀が、とても良かったのです。
舞踊が半端なくカッコよかった。私、バレエもですけど、こういう男性的な振付が大好きなのです。
玉さま目当てで買ったチケットでこんなに良いものが観られるとは思っていなかったので、とても得した気分でした。
そして、そんな素敵な二人の絡みが悪いわけがない。
美味しすぎました。。
光圀を誘う如月、エロい。こんな美人にこんな風に誘われて靡かない男がいるだろうか。
ここで冷静に正体を探っている光圀がまた、かっこよかったです。

しかしこの演目で最強なのは、光圀でもなければ滝夜叉姫でもありません。
そう。
“ガマ”です。
なんなのでしょう、この可愛いイキモノ。。。。。。。口パクパクしてる。。。。。。。
緊張感みなぎる戦いの場面なのに、思わず頬がほころばずにいられない。
ラスト数分のみの登場にもかかわらず、その強烈なインパクトで光圀のカッコよさも、滝夜叉の美しさもすべて一瞬で吹き飛ばしてしまうラスボス、ガマ。
まさしく「将門」最強のキャラでした。

ちなみに3B席の悪夢は、この演目でも容赦なく襲い掛かりましたよ。
なんと最後の最後の玉さまの見得が、やっぱり首から下しか見えなかったのです!
「弁天」と違い、これは正直かなりショックでした。
玉さまの美しいにらみが、可愛いガマを従えた麗しい姿が見えないなんて・・・!

以上、なんのかんのありましたが、杮茸落ならではの賑やかさと配役の豪華さに、大変充実した観劇となりました。
そうそう、おめでたい雰囲気満点の沢山の大向こうも良かったですよ^^ おかしな大向こうもなかったし。
「〇代目!」っていうかけ声、かっこよくて好きです。

次回は来週、第一部です♪


※4/7追記:「情熱大陸」で菊五郎さんが弁天小僧の極楽寺の立ち回り場面について、「屋根の板を付けている糊が浮いてきて、足の裏に付いてつるつる滑る。皆は草鞋を履いて濡らして出てくるからいいんだけど、私は出っぱなしだから足の裏が乾いてきちゃって、それで糊がつるつる滑っておっかない」と仰っていました。立ち回りが気が抜けているように見えたのには、そういう理由もあったみたいです。怪我をされたら大変だ・・・。千穐楽までまだまだ長いですし、今からでもなんとか解決されるといいですね。

※2回目鑑賞の感想

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