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風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

京極夏彦 『前巷説百物語』

2007-05-04 19:57:20 | 



「お前等が何でもねえように、侍だって百姓だって何でもねェんだよ。町人だってだってだって何でもねェやい。そりゃ枠はある。枠ゥとっ払いたくなるこたァある。枠ン中あ不自由だし、おまけにピンキリだ。下の者は苦しいし上の者は辛ェんだ。人はみんな哀しいんだよ。それをな、枠の外から斜に見て、小馬鹿にするようなこと語るんじゃねェぞこら。お前らだけが虐げられてる訳じゃねェわい。そう思ってンなら、そりゃ侍が百姓見下げる心持ちと変わりねェじゃねェか。違うかよッ」
(京極夏彦『前巷説百物語』p687)

巷説世界から戻ってまだひと月もたっていないのに、『前巷説~』の発売によりまた京極彼岸へ旅立っておりました。
面白かったです!

付録の巷説年表&人物相関図もたいへん役立ちました。百介&おぎんさんの年齢の謎はあいかわらず解けなかったけど・・・。
百介といえば、『前巷説~』では登場しないんだろうなぁと諦めていたので、ちょっぴりでも登場してくれたのは嬉しかった♪シーンも可愛かったし。

一番の読みどころは、やはり稲荷坂に関する書き下ろしの「旧鼠」でしょう。面白かった!!
ただちょっと残念だったのは、「狐者異」と読み比べると、内容に微妙にズレがあったことかな。先に「狐者異」を書いて、後から辻褄を合わせながら「旧鼠」を書いたのかしら。

とはいえこのシリーズはほんと良い。
京極先生は魅力的なキャラを作り出す天才ですな。
山崎さん、恰好イイ!
若又さん、青くて可愛い!

※写真:
鎌倉の名越切通し~巡礼古道の途中にあったお稲荷様。花瓶に白いお花が活けてありました。有名な仏像もいいけれど、古道沿いに散らばるこうした無名の石像や遺跡も親しみやすくて好きです。

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