アメリカの高校を舞台にしたコメディ。特に目立たない存在の女子生徒オリーヴエマストーンがひょんなことから親友アリアンヌアマンダバインズに大学生と寝たと嘘を言ってしまう。それをトイレで聞いた他の女子生徒が学校中に噂を広めてしまい、その噂にもどんどん尾ひれがついてオリーヴは一躍有名人になってしまった。
これまで誰にも見向きもされなかった自分が校内の注目の的となり、最初はまんざらでもなくその噂に乗っかって嬉しがっていたオリーヴ。その噂を利用してゲイでいじめられているブランドンダンバードが自分とセックスしたことにしてほしいと頼んでくる。同級生の家のパーティで2人はセックスしたふりをし、オリーヴはアバズレというレッテルを貼られてしまうが、この際開き直ってしまえと授業で習ったばかりの「緋文字」のヒロインのように服に「A」という刺繍を服に貼り付けビッチな服装で通学するように。
ブランドンとの噂の真相を知る男子から次々と嘘のセックスの依頼が舞い込み、オリーヴはクーポン券や現金などを受け取って、冴えない男子たちとセックスしたふりをしてあげる。
しかし、やがて嘘にも限界を感じ始め、お金を払ったらヤらせるんだろという奴に襲われそうにもなるし、気になる男子と真剣に交際もしたいし、ということでそれまでの嘘をネット配信で告白することにする。
ウィルグラック監督の演出がうまく、映画の運びとしては最初からオリーヴがネット配信をするところでスタートしており、観客もその告白を聞く形で事の顛末を知るようになっている。「ステイフレンズ」はそこまで素晴らしいとは思いませんでしたが、これは結構良かったな。
エマストーンは可愛いけどとびきりの美人ではなく、賢そうに見えるので、アバズレの噂を流されながらも実はとても真面目というこのオリーヴの役柄に非常に合っていた。なぜか彼女が80代の青春映画に詳しくてジョンヒューズ作品へのオマージュが見られるのだけど、これは監督の趣味なのかな。ジョンヒューズ作品を知っているととても嬉しくなってしまうシーンがあります。
全編エマストーンのナレーションで進むのだけど、彼女の落ち着いた印象でドタバタしたシーンもバカバカしくなり過ぎず、それは彼女の演技力の賜物かなと思いました。
オリーヴのお気に入りのグリフィス先生にトーマスヘイデンチャーチ、その奥さんでスクールカウンセラーにリサクドロー、出番は少ないけど校長先生にマルコムマクダウェルとなかなかのメンバーがオリーヴの高校生活を支え、さらにオリーヴのお母さんにパトリシアクラークソン、継父にスタンリートゥッチと家庭でも大先輩の役者さんがしっかりと支えてくれて安心して見ることができます。
このねー、オリーヴの両親のキャラクターが最高なんですよー。オリーヴの下に養子にした弟君がいて、その子が黒人なんです。それで、その子が養子だからうんぬんって話をすると「どうして知ってるんだっ?時期を見て話そうと思ってたのに!」とかわざと大騒ぎしてみたり、オリーヴの良い所は僕に似たんだなーって継父なのに言ってみたり、「私がアバズレってことになってて」と話すと「お母さんもそうだったから大丈夫よ。ほとんどは男の子が相手だったけど、、、」とか娘としては絶対に聞きたくないようなことをあっけらかんと話したり。もう2人とも面白すぎ。パトリシアクラークソンとスタンリートゥッチだからまたそれもカッコ良くてねー。ワタクシの中ではこの両親のおかげで映画の評価が上がってます。
「スパイダーマン」のヒロインとして日本でも有名になる少し前のエマストーンが見ることができます。「スパイダーマン」で彼女のファンになった方も多いと思いますのでぜひご覧になってみてください。
オマケ「緋文字」がモチーフとなっていますので、原作をご存知ない方はリサーチしてからのほうが楽しめるかもしれません。オリーヴはデミムーアバージョンはダメって言ってましたけど、それでもよろしいかと思います。