シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

薔薇の名前

2010-03-31 | シネマ は行
原作者のウンベルトエーコの作品はどれも読んだことがありません。興味はあるのですが、どうにもチキンアウトしちゃうんですよねー。なんかとっても難しそうで。

この「薔薇の名前」も原作本のほうは、哲学やらキリスト教の教義論争やら、過去の書物からの引用やら色々とややこしそうなので、読むのはちょっと怖いです。

んなわけで、ワタクシは映画のみで感想を書きます。原作本の情報からすると、多分映画は、ウンベルトエーコが原作に施した色んな仕掛け的な哲学の話とかそういうのを取っ払ってミステリーの部分を大幅にフィーチャーし、そこにちょこっとキリスト教義的なスパイスを振り掛けたという感じでしょうか。

1987年公開作品ですからね。古いですね。ワタクシ、子供のときにテレビで放映されていたのを見ていたんですが、今回ケーブルテレビでもう一度見直してみました。ショーンコネリーが主人公ウィリアムなんですが、ショーンコネリーって最近どうされてるんでしょう?もう、今年で80歳かー。隠居?されてるんでしょうか。そして、ウィリアムの弟子アドソをクリスチャンスレーターが出ています。当時まだ17歳とかくらいです。最近はぱっとしないけど、当時は可愛かったですね。

お話は教会がらみのミステリー。と聞くと「ダヴィンチコード」を思い出す人も多いかもしれません。こちらのほうがずっと重厚な雰囲気です。中世イタリアの修道院で起こる連続殺人事件をウィリアムが名探偵ホームズばりに解決していくお話です。先にも書いたように原作にあるような難しいことは抜きにして単なるミステリーとして楽しめばいいと思います。

異端審問官としてF.マーレイエイブラハムが登場します。「アマデウス」のサリエリ役を演じた俳優さんですね。彼はどこに出てきてもなんだか薄気味が悪い。そういう雰囲気が異端審問官にぴったりです。最近、ディスカバリーチャンネルで「拷問と処刑の歴史」というなんとも趣味の悪い特集をやっていて、中世の異端審問官の残酷さを見たばかりだったので、妙にタイムリーでした。その特集をわざわざ録画してまで見たワタクシも我ながらなんとも趣味が悪いですね。別にサドとかじゃないんですよ。知的好奇心をくすぐられたからなんですが。

アドソはあのマグダラのマリアのような少女と姦淫の罪を犯してしまうわけですが、よくあの娘が異端審問にかかってアドソのことを口にしなかったもんだなと思います。あそこでチクられててもおかしくなかったような…

古い映画なので、わざわざって感じがしないでもないですが、昔のショーンコネリーやクリスチャンスレーターを見たい人はぜひ。